甲種防火管理者っていったい何? なるために必要な資格とは?

一定数の延べ床面積をもつ建物や、不特定多数の人が出入りする建物は防火管理者を選任しなくてはなりません。
では、その防火管理者になるためにはどうしたらよいのでしょうか?
また、防火管理者には甲種と乙種があるそうですがその違いは何でしょう?
そこで今回は防火管理者になる方法や必要な資格・条件などをご紹介しましょう。
職場で防火管理者を選任しなければならないけれど、どうしたらいいの?という方や防火管理者になりたいという方はぜひ読んでみてくださいね。

1. 防火管理者とは

防火管理者とは、いったいどのような任務があり、選任されるのにはどのような立場の人なのでしょうか。
この項では防火管理者の任務や選任されるための条件、さらに防火管理者になるための方法などをご紹介します。

防火管理者とは?

防火管理者とは消防法で

消防法に基づいて、防火に関する講習会の課程を修了した者等一定の資格を有し、かつ、その防火対象物において防火上必要な業務を適切に遂行できる地位にある者で、防火対象物の管理権原者から選任されて、その防火対象物の防火上の管理を行なう者

と定められている資格者のことで、一定以上の面積を持つ建物や人の出入りがある場所に勤めている人の中から必ず選任しなくてはなりません。

防火管理者になれる立場の人とは?

防火管理者は、務めてさえいればアルバイトやパートでもよい、というわけではなく防火業務を適切に行うための管理的、監督的立場な人でなくてはならないのです。つまり、建物の管理者や、従業員の監督者のような立場の人が選任されなければならないのですね。

防火管理者になるためには?

防火管理者になるためには、都道府県知事や消防本部及び消防署を置く市町村の消防長・総務大臣登録講習機関(日本防火・防災協会)が主催する防火管理講習を受ける必要があります。
修了資格は全国共通ですのでどこの件で受けても大丈夫です。
防火管理者には乙種と甲種があり、甲種はすべての建物を管理できますが、乙種は管理できる建物の制限があります。
また、甲種の講習を受けた後、さらに防災管理講習を受ければ「防火防災管理者」の資格を持つことができます。
なお、この防災管理者という資格は、甲種の講習を受けなくても講習を受けて修了資格を取ることができますが、防火管理者の講習を受けない限り防災管理者とは有効にできません。
さらに、以下のような資格や学歴を持つ人は講習を受けなくても防火管理者に選任されることができます。

  • 大学・短期大学又は高等専門学校において総務大臣の指定する防災に関する学科又は課程を修めて卒業した者で、1年以上防火管理の実務経験がある人・消防職員であり、1年以上管理または監督の職務についていた人
  • 安全管理者・危険物保安監督者として選任された者で、甲種危険物取扱者の資格を持っている人
  • 警察官もしくは警察職員で3年以上管理や監督の職務についていた人
  • 建築主もしくは一級建築士で年以上防火管理の実務経験がある人

などです。

2. 防火管理者を選任しなければならない建物の種類とは?

では、防火管理者を選任しなければならない建物とはどのようなものなのでしょうか。この項ではそれをご紹介していきましょう。

10人以上の入所者がいる福祉施設

防火管理者が必うようなもっとも小規模な施設が、このようないざ火事になっても自力では逃げ出せない人が一定数いる場所。
つまり病院や介護施設です。全国各地にたくさんありますので、防火管理者も同じ数だけ必要となります。

不特定多数の人を30人以上収容できる建物

ホテル・劇場・飲食店・デパートなどがすべてこれに当てはまります。
このような場所はテナントごとに責任者が別れていることも多いので、その場合はすべての防火管理者を統括する、統括防火管理者を選任しなければなりません。

決まった人々を50人以上収容できる建物

こちらは学校や工場、倉庫や寮などが当てはまります。出入りしている人が決まっており、避難訓練も行えるということで不特定多数の人が出入りする場所よりも収容人数が多くなっています。

そのほかにも一定数が収容できる建築中の建物や船、規定数量以上の危険物を貯蔵しているタンクなどがある場所にも防火管理者を選任しなければなりません。

3 防火管理者の役割とは?

では、このように講習を受け、選任された防火管理者はどのような役割を担っているのでしょうか。この項ではそれをご紹介していきます。

消防計画の作成

防火管理者になったのなら、消防計画の作成が一番の仕事になるでしょう。
これは消防署に提出するものですが、

  • 燃えやすいものの管理・避難経路の日常的な点検。
  • 火災が起こった際、初期消火を行う人の選定及び訓練。
  • 消火設備の点検。

などを盛り込んで作成します。

避難訓練の計画と実施

学校や職場などで避難訓練を行ったことがある人は多いでしょう。
これを計画したり実施したりするのも防火管理管理者の役割です。
利用する人が多かったり、商業施設だったりすればなかなか避難訓練を行うことは難しいかもしれません。その場合は非元責任者だけでも避難訓練を行うなど、いざという時に慌てずに人々を避難できる体制を整えておく必要があります。

総括防火管理者との協力

ひとつの建物に複数のテナントが入っている場合、東日本大震災が起こる前は、それぞれのテナントごとに防火管理者を定めていれば大丈夫でした。
しかし、東日本大震災の教訓から、すべての防火管理者を総括する総括防火管理者の選定が義務化されたのです。
総括防火管理者は、避難経路が荷物などで塞がれていた場合はそれを片付けるように指導できる権限があります。
防火管理者は総括防火管理者と協力して、消防計画や建物内の防火設備の点検などをする必要があります。

このほかにも、防火設備の不備が見つかった場合は速やかにビルの所有者などに連絡して修理をしてもらわなくてはなりません。
また、時間や費用の問題などで中々防火設備の修理や増設をしてもらえない場合は、できるだけ代替え案をだしたり、代替品を置くことで万が一の時の被害を可能な限り防ぐことが求められます。

4. 万が一火事が起こってしまったら?

防火管理者が選任されている施設で火災が起きた場合、警察の取り調べの矢面に立つのが防火管理者になります。
防火設備の不備や管理の怠慢などが発覚すれば、その責任を厳しく追及されるでしょう。
万が一の事態に備えて普段から備えを怠らないように施設の設備や従業員たちを監督しなければなりません。選任する方も「とりあえず選任しておけばいい」という気持ちではダメなのです。

おわりに

いかがでしたでしょうか。今回は防火管理者についてご紹介しました。
まとめると、

  • 防火管理者は一定の面積がある建物や人が出入りする建物では必ず選任しなくてはならない。
  • 防火管理者は特定の施設で講習を受けるか、特定の実務経験を積んだ人でなくてはならない。
  • 防火管理者はその建物全体の防火設備や従業員に対して監督、管理できる立場の人でなくてはならない。

ということです。
防火管理者の資格を取るためには講習を受けるだけなので、難しくはありませんが時間はかかります。
また、非常口や避難経路にものを置かないと整理整頓ができない、という施設もあるでしょう。
しかし「しょうがないから」といってそのままにしておけば火事が起きた場合おおごとになります。
防火管理者は粘り強く施設や建物の防火設備の改善や従業員の意識改革を行っていかなくてはならないのです。

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