自然発火する性質を持っている物質のことを「自然発火性物質」と言います。
自然発火性物質は、発火性のある危険な物質でもあるので、取り扱いには注意しなければなりません。
特徴をきちんと把握し、正しい消化方法・火災予防を知ってください。
自然発火性物質とはどのようなものになるのか、説明します。
気になっている人は、ぜひチェックしてくださいね。
目次
- 自然発火性物質の特徴
- 自然発火性物質の火災予防
- 自然発火性物質の消化方法
- まとめ
1.自然発火性物質の特徴
自然発火性物質とは、どのような特徴を持っているのでしょうか。
安全に生活するためにも、自然発火性物質について詳しく知らなければなりません。
特徴を知り、どのような物質があるのか、頭の中に入れておきましょう。
1-1.消防法で定めている「第3類危険物」
自然発火性物質は、消防法において「第3類危険物」になっています。
自然発火性物質は「危険物」として取り扱わなければなりません。
普段身近にあるものだとしても、危険であることに変わりはないのです。
第3類危険物は、自然発火性物質のほかにも、禁水性物質があります。
禁水性物質は、水に触れると発火する危険性があるのです。
しかし、自然発火性物質の特徴は、“自然発火しやすい”ところにあります。水に触れるのではなく、空気中にある自然発火しやすい物質です。
同じ第3類危険物に含まれていても、特徴は異なるので気をつけてくださいね。
自然発火しやすいということは、火の気があるところに置いておくと発火する可能性が高くなります。
自然発火性物質の保管には、十分に気をつける必要があるでしょう。
1-2.「液体」と「固体」
自然発火性物質の特徴は、およそ20℃の常温で「固体」と「液体」にわかれていることです。
自然発火性物質の固体は、ほとんどが炭化水素溶媒やオイルで溶かす、沈めるなどして販売しています。
密封されたグローブボックスで保存するものですが、グローブボックスの値段がとても高いからです。
そのため、炭化水素溶媒やオイルなどで保管できるようにしています。
一方、液体の場合は、フロン加工されているビンに保存するのが一般的です。
少量の場合は、ビンで構いません。
しかし、大量の自然発火性物質の液体を保存する場合は、金属タンクが必要になります。
液体と固体では、大きな違いがあるので必ず把握しておいてくださいね。
1-3.どんなものが自然発火性物質になるの?
自然発火性物質の特徴について把握したところで、いったいどのような物質が、当てはまるのでしょうか。
自然発火性物質に当てはまるものをいくつか紹介します。
- 固体・・・第1族元素の金属、ウラン、リン
- 液体・・・ヒドラジン
- ガス・・・アルシン、リン化水素、シラン
- 粉末・・・アルミニウム粉
以上のような物質が、自然発火性物質に当てはまります。
初めて名前を聞く物質もたくさんあるでしょう。
以上の自然発火性物質を取り扱う人は、必ず“火災予防”と“消化方法”について知っておかなければなりません。
きちんと知らなければ、いざというときに適切な対処ができなくなってしまいます。
安全に取り扱うためにも、きちんと正しい知識を身につけておきましょう。
2.自然発火性物質の火災予防
2-1.空気・火の気のある場所を避ける
自然発火性物質を取り扱う場合、きちんと火災予防を知っておかなければなりません。
事故を防ぐためにも、自然発火性物質の特徴を知り、正しい火災予防を知ってください。
最も大切なポイントは、「空気・火の気のある場所を避けること」です。
自然発火性は、空気の中に発火する要素・物質があると、火花や炎が起きる危険性があります。
空気と触れる場所に保存した結果、火災になったというケースも多く挙がっているのです。
できるだけ、空気との接触を避けてください。
また、火の気がある場所も避けなければなりません。
高温体や火を使う場所などに自然発火性物質を置かないように気をつけてくださいね。
日の光が当たる場所よりも、冷暗所を選びましょう。
火災予防でとても大切なことなので、必ずチェックしてください。
2-2.保管する容器に要注意
最初に説明したとおり、自然発火性物質を保管するには容器が必要です。
容器も、量によって適切な種類が異なります。
空気に触れると非常に危険です。容器は必ず密封してください。容器に隙間ができてしまうと、空気に接触します。
隙間ができるだけで火災の危険性が高まるので注意しなければなりません。
容器に保存する場合は、しっかり密封しているかどうか確認しましょう。
そして、容器が破損していないかどうか、腐食していないかどうかも注目してください。
ずっと保存すると、腐食する恐れもあります。
自然発火性物質を入れる前に、破損・腐食していないかどうか確認しましょう。
定期的に自然発火性物質の容器が腐っていないか、確認することも大切です。
3.自然発火性物質の消化方法
3-1.第3類危険物すべての消化方法は「窒息消化」
自然発火性物質は、ほとんどが「窒息消化」です。
窒息消化とは、乾燥砂や膨張ひる石・膨張真珠岩などを振りかけて消化する方法になります。
もし火災が起こったときは、ほとんどが水での消火になるでしょう。
しかし、自然発火性物質の場合は、窒息消化になるので気をつけてくださいね。
いつ火災が起きてもすぐ消化できるように、窒息消化に使うものをすぐ近くに置いておくと良いでしょう。何かあってからでは遅いです。事前に準備することが大切になります。
窒息消化に使うものは、以上の3つになりますが、ほとんどは乾燥砂になるでしょう。
正しい方法で消化してくださいね。
3-2.黄リンの場合は消化方法が「冷却消化」
自然発火性物質の中には、消化方法が異なるものもあります。
自然発火性の特徴だけ持っている“黄リン”は、消化方法が「冷却消化」になるのです。
冷却消化とは、水・強化液・泡を使った消化方法になります。
普通の火災で消化する方法が使えるでしょう。
窒息消化は、水を使いませんでしたが、冷却消化は水を使ってもOKです。
自然発火性物質と同じ、第3類危険物の種類「禁水性物質」は、水や泡などの消化剤がNGになっているので気をつけてください。
第3類危険物の一般的な消化方法は窒息消化ですが、中には、冷却消化ができるもの、水や泡で消化ができないものもあります。
そのような違いをきちんと把握しておきましょう。
4.まとめ
自然発火性物質の特徴や火災予防・消化方法について説明しましたが、いかがでしたでしょうか。
自然発火性物質の取り扱いをする人ほど、危険物について把握することが大切です。
実際に、取り扱う人は、危険物取り扱いの資格を取得しなければなりません。
特徴や正しい火災予防・消化方法を把握してから、自然発火性物質を取り扱いましょう。
- 消防法で定めている「第3類危険物」
- 「液体」と「固体」にわかれる
- 自然発火性物質になるものを把握する
- 空気や火の気のある場所を避ける
- 保管する容器に注意する
- 第3類危険物すべての消化方法は「窒息消化」
- 黄リンの場合は消化方法が「冷却消化」
以上のポイントは、必ず押さえてくださいね。
自然発火性物質の取り扱いは十分に気をつけなければなりません。
事故を未然に防ぐためにも、正しい知識を身につけましょう。
違った方法で保管すると、大事故につながる可能性があります。