
実は身近にたくさんある!? 危険物取扱所ってどういう場所?
危険物取扱者の資格を取得するうえで覚えておかなければならないのが「危険物取扱所」の種類と決まりごとです。そこで今回は、危険物取扱所について少しご紹介しましょう。意外にも私たちの身近な場所にもたくさん存在しているのです。危険物取扱者の資格を取ろうと勉強している方、資格に興味がある方はぜひ読んでみてくださいね。
1.危険物取扱所とは?
危険物取扱所とは、文字通り危険物を取り扱っている場所のことです。こう説明すると市街地から遠く離れた場所にある施設のようなイメージがありますが、実際は街中でもいたるところで見かけることができます。では、危険物取扱所の区分を挙げていきましょう。
1-1.危険物の給油取扱所
給油取扱所とは、ガソリンスタンドのことです。危険物の貯蔵や取り扱いを行う施設の中では最も数が多いものの一つになります。給油取扱所では、ガソリンや軽油・灯油などの給油・詰め替え・自動車やバイクの点検や整備・洗浄などを行うことが可能です。給油取扱所の構造や設備の基準は以下のようなものになります。
- 間口10m以上、奥行き6m以上の給油空地(給油するための空き地)を設ける
- 専用タンクの容量は無制限であり、廃油タンクの容量は10,000L以下である
- 耐火構造または、不燃材料でできた高さ2m以上の堀や塀を作らなければならない
1-2.危険物の販売取扱所
販売取扱所とは、危険物を容器入りのまま販売する施設のことです。ガソリンスタンドはガソリンを容器入りで販売してはいないので、販売取扱所には分類されません。また、容器入りの危険物を別の容器に移し替えるなどし、小分けして販売することは禁止されています。販売取扱所は、販売する危険物が指定数量の15倍以下が、第一種販売取扱所、15倍を超え、40倍以下は第二種販売取扱所と区別されますので、覚えておきましょう。販売取扱所に設けられている基準は、以下のようなものです。
- 建物の1階であること(2階以上及び地下は不可)
- 店舗部分と配合部分は隔壁で分けなければならない
- 店舗部分の壁や隔壁は耐火構造か不燃物質で造り、窓には網入りガラスを用いる
- 配合質は6平米以上10平米以下である
- 出入り口の敷居は0.1m以上し、床は傾斜をつけ、ためますを設ける
- 可燃性蒸気が発生する恐れがある場合は、蒸気排出設備を設ける
1-3.危険物の移送取扱所
移送取扱所とは、配管やパイプラインで危険物を輸送する施設です。石油パイプラインなどが該当します。配管には、以下のような措置をしなければなりません。
- 伸縮吸収措置
- 漏えい拡散防止措置
- 可燃性蒸気の滞留防止措置
また、鉄道や道路などのトンネル内には設置できません。さらに市街地の道路下に埋設する場合は、1.8m以下にすることは禁じられています。
1-4.危険物の一般取扱所
一般取扱所とは、指定数量以上の危険物を取り扱う施設で給油取扱所・販売取扱所・移送取扱所以外の場所です。以下のような施設が該当します。
- 吹付塗装等:指定数量の30倍未満の量で、第3類と特殊引火物を除く第4類危険物のみを扱える
- 洗浄等
- 焼き入れ作業等:指定数量の30倍未満の量で、引火点が70℃以上の第4類危険物だけを取り扱える
- ボイラー等:指定数量の30倍未満の量で、引火点が40℃以上の第4類危険物だけを取り扱える
- 充てんや詰め替え:指定数量の30倍未満の量で、引火点が40℃以上の第4類危険物だけを取り扱える。車両に固定されたタンクを使用する場合、容量は4,000L以下でなければならない
- 油圧装置等を設置している一般取扱所:指定数量が100倍未満で、高引火点危険物だけを100℃未満の温度で取り扱うことができる。
- 切削装置等を設置する一般取扱所
- 熱媒体油循環装置を設置する一般取扱所
なお、一般取扱所の構造は製造所の基準に準ずるので、覚えておきましょう。
こうして挙げてみると意外と身近に危険物取扱所がある、ということがわかりますね。さて、この取扱所ですが危険物を取り扱っている場所すべてがそうとは限らないのです。
灯油などは一般家庭でも保管されていることも多いですが、一般家庭は取扱所には指定されませんよね。ここで基準になるのは「指定数量」。指定数量以上の危険物を取り扱っている場所が、取扱所に指定されるのですね。また、取扱所はあくまでも危険物を取り扱う場所のことで、危険物を貯蔵する場合は「貯蔵所」という別の施設扱いになり、決まりごとも変わってきます。
2.危険物取扱所の決まりごとの覚え方
危険物取扱所には、位置や構造、設備に基準があります。細かい数値など覚えなくてはならないことがたくさんあり、難儀している方も多いでしょう。そこで危険物取扱所の基準を覚える方法のひとつとして、実際に見学に行ってみてはいかがでしょうか? ガソリンスタンドならばすぐに見つかりますよね。参考書片手に見学してみれば、ガソリンスタンドがいったいなぜどこも似たような作りになっているか理解できます。また、会社にボイラー室などがある方はぜひ見学してみましょう。
3.危険物取扱所に関するよくある質問
Q.指定数量未満の危険物を販売したり取り扱ったりする場合は、危険物取扱所に該当しませんか?
A.消防法ではそのとおりですが、自治体によっては独自の条例を定めているところがあるので確認してみましょう。
Q.危険物を販売しなければ、危険物取扱所に該当しませんか?
A.はい。その場合は貯蔵所になります。
Q.危険物を販売したり取り扱ったりする場所は、一般的な家屋を改造しても作ることはできるでしょうか?
A.可能ですが、大がかりな工事になります。
Q.危険物の販売取扱所が独自に容器を作り、小分け販売することは可能ですか?
A.いいえ。小分け販売は禁止されています。
Q.危険物取扱所は、市町村に届け出が必要ですか?
A.新たに取扱所を作った場合は、最寄りの消防署に届け出が必要になります。
おわりに
いかがでしたか? 今回は危険物取扱所について説明しました。細かい数値などは覚えるのが大変ですが、実際に建物を見学すれば頭の中にイメージが作りやすくなり覚えやすいでしょう。