危険物取扱者の勉強のために! 簡単にわかるアクリル酸の性質

アクリル酸は危険物として指定されています。そのため、危険物取扱者の試験のために、アクリル酸の保管方法や取り扱い方法の詳細を知っておかなければいけません。情報を記憶するだけではなく、アクリル酸の性質と実際の使用環境を知っておくなら、イメージしやすく理解も深まるでしょう。

それでは、アクリル酸の性質と取り扱い方についてご説明します。

  1. アクリル酸の性質
  2. アクリル酸の危険性
  3. アクリル酸の取り扱い・保管方法
  4. アクリル酸に関するよくある質問

1.アクリル酸の性質

1-1.アクリル酸の分類

アクリル酸は、もっとも簡単な不飽和カルボン酸であり、危険物としては第4類、引火性液体に分類されます。さらに、その中でも第二石油類に分類されているものです。工業的に合成する場合は、プロピレンの二段階酸化を行う方法が取られます。

アクリル酸の引火点は54度で、常温では生じにくい温度ですが、管理場所や取り扱いを間違うなら、火災が発生する危険な温度になり得ます。危険物としては、引火点が21度以上で70度に満たないのものは、第2石油類の分類となるため、アクリル酸は第2石油類となるわけです。

ちなみに、融点は12度であるため、凝固したアクリル酸を溶かそうとして、温度の設定を間違い、引火するという危険もあります。上記の性質から、アクリル酸は常温では、水溶性液体です。

また、蒸気は可燃性があるため注意してください。アクリル酸は、水・ベンゼン・アルコールなど、ほかの液体に溶けやすい性質もあるため、水質汚染にも注意が必要です。

1-2.アクリル酸の利用

アクリル酸はアクリルポリマーの原材料になります。アクリルポリマーは生理用品や紙おむつなどの吸収素材を生成するときの原料です。また、アクリル樹脂やアクリル繊維にはアクリル酸エステルを原材料として使用します。このアクリル酸エステルも、アクリル酸を原材料とするのです。そのため、アクリル酸は工場での使用が多く、大量に保管する状況も生じます。

アクリル酸は化学式がメタクリル酸とは似ていますが、メタクリル酸はメタクリル樹脂の原材料です。メタクリル樹脂は硬い樹脂ですが、アクリル酸を原材料とするアクリル樹脂はやわらかい樹脂であり、多くの点で違いがあります。とはいえ、メタクリル酸も引火点が77度であり、アクリル酸と同じように指定された危険物です。

1-3.アクリル酸は重合しやすい

アクリル酸の注意するべきもうひとつの性質は、重合しやすい点です。特に、アクリル酸のラジカル重合反応には注意しなければいけません。高い温度では重合反応速度が速くなり、暴走反応になります。また、重合すると重合禁止剤が効果を失うこともしばしばです。アクリル酸の事故例でも、重合による暴走反応が原因となるケースが多くあります。

アクリル酸は危険物第4類に分類されるんですね。
はい。そして、アクリルポリマーの原料にもなるので、多くの工場で使われています。

2.アクリル酸の危険性

2-1.アクリル酸の火災の危険

アクリル酸の引火点は低く、蒸気も可燃性です。そのため、常に火気厳禁を徹底しなければなりません。アクリル酸の消火方法は窒息消火が効果的です。そのため、粉末や耐アルコール泡などが消火方法として用いられます。また、アクリル酸の火災時には有毒ガスが出るため、火災が生じた際には十分な距離を保った避難が必要です。爆発の危険も高く、慎重な消火作業が求められます。

2-2.アクリル酸の爆発の危険

アクリル酸は重合の暴走反応による爆発の危険もあるため、注意が必要です。実際に生じた事故例では、保管していたアクリル酸の爆発があります。とはいえ、自然爆発ではなく、凝固したアクリル酸を溶かそうとして、バンドヒーターを巻いたことが原因でした。また、液漏れが事前に確認できたのに対処が遅れたため大事故に至った例もあります。工場全体が損壊する被害や死亡事故の例もあるため、取り扱いには特別の注意が必要です。

2-3.アクリル酸の体への影響

アクリル酸は体にも有害です。液体でも気体でも、腐食性が強いため、接触は徹底して避けなければなりません。液体のアクリル酸が皮膚と接触すると、やけどになります。もしアクリル酸が体に触れたなら、水ですぐに洗い流して、病院で診察するべきです。また、アクリル酸の蒸気を吸引すると、呼吸器にやけどを負います。肺水腫になる危険もあるため、アクリル酸の漏れなどが発覚したなら、呼吸器保護具なしで近寄ってはいけません。

アクリル酸の取り扱いには十分注意する必要があるんですね。
はい。保管は火気厳禁の環境で行い、腐食しないよう定期的に容器なども点検しましょう。

3.アクリル酸の取り扱い・保管方法

3-1. アクリル酸の取り扱い方法

アクリル酸は液体でも引火点が低いため、火気は絶対に避けなければいけません。特に工場内では、火花が近くで生じないか確認しましょう。通気性も大事ですが、事故による近隣への拡散を避けるための設備も必要です。アクリル酸の取扱時には、保護具、保護手袋はもちろんですが、呼吸器保護具やアイゴーグルの使用も必ず心がけてください。

3-2.アクリル酸の保管方法

アクリル酸は冷暗所に貯蔵するべきです。また、アクリル酸を保管する容器は密閉しなければいけません。保管容器も静電気などを伝えることがないよう注意する必要があるため、ガラス、ステンレススチール、アルミニウム、ポリエチレン被覆容器だけが許されています。また、食品や飼料から離しておくことも大切です。水に溶けやすいため、川や下水に流れないようにも注意します。また、腐食性が強いため、コンクリート床なども適切ではありません。工場の床はアスファルトが勧められています。

3-3.知識に基づいた管理が大切

アクリル酸は用途が多岐にわたるため、工場での使用も多いものです。しかし、管理を間違うなら大きな事故につながります。危険性をしっかり知っているなら、管理の徹底が可能です。この点で危険物取扱者には、ほかの人の命を守る重要な責任があります。

アクリル酸の取り扱いや保管には専門の知識が必要なんですね。
はい。そのため、指定数量未満でもアクリル酸を保管する場合は、危険物取扱者の有資格者が求められることもあるでしょう。

4.アクリル酸に関するよくある質問

Q.第二石油類は、アクリル酸のほかにどのようなものがありますか?
A.灯油や軽油なども第二石油類です。

Q.腐食性とはどのようなものでしょうか?
A.特定の物質をもろく崩れやすくする性質のことです。アクリル酸はコンクリートを腐食させます。

Q.アクリル酸は少量でも取り扱いに注意が必要なのでしょうか?
A.もちろんです。直接触れてしまうと、皮膚も腐食させてしまいます。

Q.アクリル酸が発火した場合、水で消火はできるでしょうか?
A.できません。二酸化炭素や粉末などによる窒息消火を行います。

Q.アクリル酸を扱う上で注意点はあるでしょうか?
A.揮発しやすいので、換気をよく行いながら使用してください。

まとめ

アクリル酸は身近な製品の原材料に使われていますが、アクリル酸そのものには危険な要素がたくさんあります。ですから、管理方法や取り扱い方法には正確な知識を学び、応用していく必要があるのです。アクリル酸以外にも、知っておくべき身近な危険物がたくさんあります。危険物取扱者としてしっかりと知識を整え、企業と人の命を守る重要な役割を果たしたいものです。