常温で保存していると発火・爆発の危険がある物質を「危険物」といいます。
消防法によって1類~6類に分類され、保管方法や管理方法が厳重に定められているのです。
また、危険物を取り扱ったり保管したりするには、「危険物取扱者」という資格が必要。
しかし、これはあくまでも「指定数量」を超えた危険物が対象です。
実は私たちの身近にも、扱いを間違えると火災の原因になる危険物がたくさんあります。
そこで今回は、取り扱いに注意しなければならない身近にある危険物についてご紹介しましょう。
目次
- 家庭にある危険物とは?
- 危険物の取り扱いを間違えると……。
- うっかり火災を防ぐには?
- おわりに
1.家庭にある危険物とは?
危険物というと、人里離れた施設に保管されているものというイメージがあります。
しかし、家庭にも危険物はあるのです。
この項では、家庭でもよく使われている危険物をご紹介しましょう。
1-1.灯油
家庭にある危険物の中で、最も取り扱いに注意しなくてはならないものです。
ストーブなど暖房器具を使う際に必要ですが、引火点も低く火の気を近づければ常温でも着火するでしょう。
また、温度が高まれば自然発火や爆発する危険もあります。
毎年起こる火災の何割かは、灯油の扱いを間違えたことが原因です。
ちなみに、自動車やオートバイの燃料タンクに入っているガソリンも危険物ですが、家の中に持ちこまれることはあまりありません。
ですから、ガソリンタンクに入っている限り灯油よりも危険性は低いです。
ただし、登山などで利用する携帯用のバーナーはホワイトガソリンを燃料にしています。
キャンプや登山が趣味の方は取り扱いに気をつけましょう。
1-2.スプレー缶
ヘアスプレーや噴霧(ふんむ)式の殺虫剤、制汗スプレー、虫よけなどは中の薬剤を勢いよく発射するためにガスが入っています。
このようなスプレー缶を火のそばに置いておくと、爆発の危険があるでしょう。
一時期穴をあけてごみに出すように盛んに自治体が宣伝していたこともありました。
しかし、不用意に室内でスプレー缶に穴をあけると噴出したガスに火の気が引火する場合があります。
最近は、使い切ると同時にガスもなくなるように工夫されたスプレー缶も増えているので、わざわざ穴をあける必要がないものもあるのです。
また、カセットコンロの燃料であるガスボンベも取り扱いに注意しましょう。
毎年のように爆発事故が起こっています。
1-3.マニキュア除去剤や消毒用アルコール、ベンジン
化粧落としや掃除に使われるこれらの薬剤は、大変引火しやすい物質です。
しかし、「化粧品」や「掃除用具」としてのイメージが強すぎて、いいかげんな使い方をする人も多いでしょう。
これらを使いながらタバコをすったり、キッチンで火のそばに近づけたりすると火事になる危険があります。
1-4.アロマオイル
よい香りがするアロマオイルも、引火性があります。
アロマオイルの引火点は30度~60度と結構低め。
しかしこれは希釈する前のものですから、水で薄めると引火性は低くなります。
しかし、アロマオイルをしみこんだ布を大量に乾燥機で乾かした場合、発火する可能性があるのです。
ですから、アロマオイルを拭いた布は、必ずよく洗濯して完全にオイルを落としましょう。
1-5.アルコール度の高いお酒
ウォッカやウィスキーなどアルコール度が高いお酒は、一定の温度になると引火しやすくなります。
料理をする際、お酒のアルコール分を飛ばすために熱して火をつけたことがある人もいるでしょう。
たとえば、火がついているカセットコンロのそばにアルコール度の高いお酒を置いておくと、蒸発したアルコールに火がつく場合もあります。
お酒が少量なら、ろうそくの火でも引火するのです。
また、お酒に引火すると青い炎が上がりますが、これ明るい場所では見えにくいでしょう。
酔っているのならなおさらです。
ですから、うっかり触って大やけどをする場合もあります。
2.危険物の取り扱いを間違えると……。
この項では、実際に危険物の扱い方を間違えたことが原因で火災や爆発が起きた例をご紹介します。
うっかりやってしまいそうなことも多いでしょう。
2-1.ケース1
ストーブに灯油を入れようとポリタンクをストーブの前に持ってきましたが、用事がありその場を離れたのです。
そのときにストーブがついたままだったので、灯油が熱せられて爆発して火事になりました。
2-2.ケース2
マニキュアを落とそうと除去剤をしみこませたティッシュでつめを拭いていました。
そのときに、くわえタバコをしていたのでティッシュに含まれていた除去剤に引火。
そのまま火事になったのです。
2-3.ケース3
カセットコンロを2つ並べて置き、そこに大きな鉄板を渡して熱していたら熱せられたガスコンロが爆発しました。
2-4.ケース4
アロマオイルを使ったマッサージを行う店が使用済みのタオルを大量に乾燥機に入れて回したところ、タオルから発火しました。
3.うっかり火災を防ぐには?
どうですか?どれもうっかりやりそうなことでしょう。
では、最後に身近にある危険物を取り扱う際の注意点をご紹介します。
3-1.火気厳禁
灯油やアルコールが入った製品、そしてスプレー缶を使うときは火気厳禁です。
特に、危ないのがカセットコンロ。
量が少なくなったカセットコンロを食卓に置きっぱなしにしていませんか?
火が近いと火事になります。
また、くわえタバコで危険物を扱っては絶対に行けません。
3-2.専用容器で保管する
余った灯油やホワイトガソリンをペットボトルで保管する方がいますが、大変危険です。
必ず専用の容器に入れましょう。
余った灯油やガソリンはガソリンスタンドに持っていけば引き取ってくれます。
さらに、ガソリンを携帯しなくてはならないときは必ず専用の携帯容器で運びましょう。
プラスチック製の灯油タンクで代用してはいけません。
3-3.使い方を守る
カセットコンロの爆発事故は、使い方を間違っている場合に起こりやすいです。
ケース3であげた事例も同じ。
カセットコンロの上を完全にふさいて火をつけると、ガスが熱せられて爆発します。
3-4.給油はストーブを切ってから
給油したいけれど、ストーブを着るのが面倒くさいとストーブをつけたまま給油する人がいます。
大変危険ですのでやめましょう。
多くの死傷者がでた福知山の花火大会での爆発事故は、炎天下に置かれたガソリンの携帯缶を開けた瞬間に、気化したガソリンが噴き出したことが原因でした。
4.おわりに
いかがでしたか?
今回は身近にある危険物についていろいろとご紹介しました。
まとめると
- 灯油以外にも、消毒用アルコールやスプレー缶など家庭に危険物はたくさんある
- 面倒くさいからと火気の近くで使用すると火災が起きる
- 保管方法を間違えると火災が起きやすくなる取り扱い方を間違えると火災が起きる
ということです。
灯油はともかく、消毒用アルコールや度数の高いお酒などは危険物と思っている人の方が少ないかもしれません。
しかし、火のそばに近づけないでくださいと書いてあるものは、火気厳禁です。
また、アロマオイルなど一見すると引火性には見えない商品もあります。
ですから、「オイル」と名のつくものを使う場合は、必ず説明書をよく読んで使ってください。
また、つんと鼻をつく匂いを発する商品は引火性の可能性が高いです。
必ず火の気のないところで使ってください。
くわえタバコなどもってのほかです。