危険物の取り扱いをされる方は、劇物と毒物の違いについて既にご存じかもしれません。
今回は、おさらいの意味も込めて、劇物と毒物の違いについて詳しく見て行くことにしましょう。
【劇物と毒物の違いについて】
身の回りにある化学物質の中で、毒性のあるものは毒物、劇物のほか、特定毒物などに分類されます。
毒物と劇物の違いは以下の通りです。
● 毒物とは?
大人が誤って飲んだ場合、致死量が2gほどのものを毒物と言います。
「毒物及び劇物取締法第二条」の中には、法定毒物と政令で指定された毒物が存在します。
現在、法別表の中には27種類の毒物が指定されており、政令で指定された毒物には、95品目の毒物が表記されています。
これらは、GHS(化学品の分類および表示に関する世界調和システム)の急性毒性区分の1または2に相当します。
● 劇物とは?
大人が誤って飲んだ場合、致死量が2g〜20g程度のものを劇物と言います。
「毒物及び劇物取締法第二条」の中には286品目、法別表では93品目が指定されています。
劇物の場合は、致死量だけでなく刺激性の強いものも該当します。
これらは、GHS(化学品の分類および表示に関する世界調和システム)の急性毒性区分の3、および眼傷害性区分1、皮膚腐食成分区分1に相当します。
【表示の義務について】
● 毒物の表示義務
毒物と劇物には致死に至る成分、刺激性の強い危険な成分が含まれています。
このため、法律では毒物の容器に「医薬用解毒物」と赤字に白地で表記することが、法によって義務づけられています。
毒物を販売する場合も、毒物の名称、成分や含有量、解毒剤の名称のほか、製造者や輸入業者、厚生労働省などの定める事項をきちんと表示しなければなりません。
● 劇物の表示義務
また、劇物の場合も白地に赤の文字で「医薬用外劇物」と表示する義務があります。
また、販売する場合は毒物と同じように、毒物の名称、成分や含有量、解毒剤の名称のほか、製造者や輸入業者、厚生労働省などの定める事項をきちんと表示する義務があります。
【毒物と劇物の販売には登録が必要】
毒物や劇物を販売する場合は、登録が必要です。
販売業・製造業など、それぞれの業種によって申請方法が異なりますが地域の保健所、健康福祉センターまたは、地域保健センターで申請手続を行ってください。
また、劇物や毒物の申請で分からないことがあれば、自治体の「健康福祉課薬務部」などに問い合わせを行ってみてください。