硫化リンの性質や特徴とは?

消防法で定められている危険物には、私たちの身近にあるものからあまりなじみのないものまでいろいろあります。
今回は、危険物第2類に分類されている硫化リンの性質や特徴をご紹介しましょう。
危険物取扱者の甲種を受ける方や第2類を受ける方は、硫化リンの特徴や性質をよく覚えておく必要があります。
また、硫化リンはいくつかの種類があり名前も似かよっていますので、覚え間違えの内容に注意しましょう。
これから危険物取扱者の試験を受けるという方は、ぜひこの記事を読んで参考にしてみてくださいね。

目次

  1. 硫化リンってどんな物質?
  2. 硫化リンの種類とは?
  3. 硫化リンの保管方法と消火方法とは?
  4. 危険物第2類とはどんなもの?
  5. 危険物取扱者乙類は、複数受験しておくとよい
  6. おわりに

1.硫化リンってどんな物質?

まず始めに、硫化リンの性質や特徴をご説明します。
よく似た名前のものが複数ありますので、覚え間違えのないように注意しましょう。

2.硫化リンの種類とは?

硫化リンには、「三硫化リン」「五硫化リン」「七硫化リン」といった種類があります。
硫化リンは硫黄とリンの化合物です。リンにいくつの硫黄元素が結合しているかで、名前が変わってきます。
共通の特徴としては、黄色や淡黄色(たんこうしょく)をした固体であること。
水やお湯を加えると分解する「加水分解」の性質を持ち、分解すると硫化水素ガスが発生します。
また、燃焼させると亜硫酸ガスが発生するのです。硫化水素ガスも亜硫酸ガスも毒性があり、多量に吸いこむと命が失われることもあるでしょう。
特に、硫化水素ガスは一時期故意に発生させる事件が相次ぎ、問題になりました。取り扱いには十分な注意が必要です。

2-1.三硫化リンの性質や特徴とは

三硫化リンというと聞きなれない名前です。
でも、「どこでこすっても火がつくマッチ」という商品をご存じの方もいるでしょう。
そのマッチの頭につけられているのが、この三硫化リンなのです。
三硫化リンは、黄色の結晶になっています。発火点は100度で、水より重いという特徴があるのです。
熱湯と反応して、有毒で可燃性の「硫化水素ガス」を発生させます。
また、二酸化炭素やベンゼンに溶けるとく性質もあるのです。
ですから、キッチンに不用意に置いたり、アウトドア中にうっかり熱湯の中にマッチを落としたりしないように気をつけましょう。
ちなみに、マッチが燃焼したときにも多少有毒の亜硫酸ガスが発生しますが、1本程度なら体に害はありません。
ただし、大量の三硫化リンが発火したときは、発生した亜硫酸ガスで命を落とす可能性もあります。
ですから、三硫化リンそのものだけでなく、三硫化リンを使った製品を大量に保管する際は火気厳禁の場所にしましょう。

2-2.五硫化リンの性質や特徴とは?

五硫化リンも条件によって硫化水素ガスや亜硫酸ガスが発生するところは、三硫化リンと同じです。
しかし、三硫化リンがお湯で加水分解するのに対し、五硫化リンは水で加水分解します。
また、水より重くて二酸化炭素だけに溶けるという性質があるのです。
比重は三硫化リンよりわずかに軽く、淡黄色(たんこうしょく)をしているのも特徴。
三硫化リンと保管する際は、紛らわしくならないように保存する容器の色を分けておきましょう。

2-3.七硫化リンの性質や特徴とは?

七硫化リンは、水と反応するところや淡黄色(たんこうしょく)の色合いが五硫化リンによく似ています。
しかし、水との比重が2.19と最も重く、二酸化炭素にわずかに溶ける程度です。
もちろん、加水分解すれば硫化水素ガスが発生し、燃やすと亜硫酸ガスも発生します。

3.硫化リンの保管方法と消火方法とは?

では、硫化リンはどのように保管すればよいのでしょうか?
この項では、消火方法と保管方法をご説明します。

3-1.硫化リンの保管方法とは?

硫化リンは、100度で自然発火します。ですから、熱を出すような摩擦(まさつ)や衝撃(しょうげき)はさけましょう。
また、水やお湯がかからないように保管する必要もあります。
さらに、粉末が飛び散らないように密栓をする必要もあるのです。
つまり、熱や衝撃や水分がこない冷暗所に、密栓して保管しておきましょう。
なお、水害が起きた場合は真っ先に避難させてください。
床上浸水になって硫化リンがぬれると大変なことになります。

3-2.硫化リンの消火方法とは?

硫化リンの消火には水が使えません。
そのため、乾燥砂や不燃性ガスによる窒息消火を行います。
硫化リンを保管したり取り扱ったりしているところでは、不燃性ガスを詰めた消火器を用意しておきましょう。
火災が発生した場合は、危険物取扱者の資格保持者が消防に通報します。
そのとき、必ず硫化リンが保管してあることを説明してください。
また、硫化リンが燃えると亜硫酸ガスが発生します。
ですから、近隣に住民がいる場合や従業員がいる場合は避難指示を出しましょう。

4.危険物第2類とはどんなもの?

危険物第2類とは、可燃性固体です。可燃性固体とは、燃えやすく酸化剤と混合すると爆発や火災の危険があるもの。
ちなみに酸化剤は危険物第1類と第6類に指定されているものが多いです。
ですから、複数の危険物を取り扱っている場所では、危険物の類によって保管場所を変える必要もあるでしょう。
また、2類に指定されている危険物には、鉄粉と金属粉というものがあります。
この2つは粉塵(ふんじん)爆発を起こす可能性もあるのです。
ですから、硫化リンだけでなくほかの第2類も密閉容器に入れて保管しましょう。
また、危険物を保管しておく場所には注意札をかけることも多いです。
注意札には「火気注意」と「火気厳禁」がありますが、必ず火気厳禁の方の札をかけましょう。

5.危険物取扱者乙類は、複数受験しておくとよい

危険物取扱者の資格には、甲種と乙種、丙種があります。
危険物取扱者というと乙種4類が代名詞となっているように、この類だけ突出して受験者が多いのです。
それは、危険物第4類に指定されているものが、ガソリンや灯油などなじみ深い危険物のため。
取り扱う場所が多ければ、有資格者も数多く必要です。
しかし、機会があるならば危険物乙類は複数取得しておきましょう。
第4類一種類だけよりも、扱える危険物の種類が多くなれば就職の場も広がります。
また、甲類を受験する方は物質同士を混同しないように気をつけて覚えましょう。
危険物は元素がくっついたり離れたりしただけで別の化合物になり、類が異なることも珍しくありません。

6.おわりに

いかがでしたか?
今回は硫化リンの特徴や性質についてご説明しました。
まとめると

  • 硫化リンは、似たような名前の化合物がある。
  • どれも加水分解し、熱すると亜硫酸ガスが発生するところは同じだが、溶けるものが違う。
  • 硫化リンは冷暗所に摩擦(まさつ)や衝撃(しょうげき)をさけ、密封して保管する。
  • 硫化リンは乾いた砂や不燃性ガスで窒息消火をする

ということです。
リンも硫黄も私たちの身近にある物質。
特に、硫黄は温泉などでよりポピュラーな存在でしょう。
しかし、この2つが化合すると危険物になってしまうのです。
なお、現在でも硫化水素を間違った方法で使うためにわざと発生させる方がいます。
そのときは、不用意に発生させた場所に入ってはいけません。
まずは消防に通報し、対応してもらいましょう。
また、硫化リンを保管しる場合は前述したように絶対に水につけてはいけません。
そのため、できるだけ高い場所に倒れないように保管するのがベストでしょう。