炎が一気に燃え広がるフラッシュオーバーとは? 仕組みと防止策を解説!

危険物を取り扱ったり保管していたりする場所で、最も気をつけなければならないのが火災です。危険物の中には火をつけると激しく燃えたり爆発したりするものも少なくないため、万が一火災が起きたらすぐに消火や避難しなければなりません。特に怖いのが、フラッシュオーバーです。

そこで、今回は火災が起きたときに発生するフラッシュオーバーの仕組みと、その対策方法をご紹介しましょう。危険物取扱者の資格保持者の方や実際に危険物を取り扱っている職場に勤めている方は、ぜひこの記事を読んでみてくださいね。

  1. フラッシュオーバーって何?
  2. フラッシュオーバーはなぜ起こるの?
  3. フラッシュオーバーの危険性とは?
  4. 危険物から発火した場合は被害拡大の恐れも
  5. フラッシュオーバー現象を防ぐための対策は?
  6. おわりに

1.フラッシュオーバーって何?

フラッシュオーバーとは、火災の際に一気に火が燃え広がる現象です。火災が起きると、だんだんと火元の近くにあるものを燃やしながら燃え広がっていく、というイメージを持っている方は多いでしょう。しかし、実際に火災が起きると炎よりも煙が発生します。

そして、一定の時間がたつと爆発したかのように炎が燃え広がるのです。ですから、「まだボヤだから貴重品を持ってくる」と火災現場に引き返して、命を落とす人も少なくありません。

2.フラッシュオーバーはなぜ起こるの?

ものが燃えると煙と熱が発生します。炎がなくても、火災現場にある物体は、100度以上の熱にさらされ続けるのです。子どものころ、黒い紙に太陽の光を集めて発火させたことのある方もいるでしょう。火だねがなくても高温になると可燃物は発火します。危険物に発火点があるように、可燃物にも高温ですが発火点があるのです。

また、火災のときに発生する煙は可燃性があります。ですから、一定の温度になると煙とともに発生した可燃ガスや高温になった可燃性の物体が一気に発火するのです。これが、フラッシュオーバーの原因。

ちなみに、「フラッシュバック」と呼ばれることもありますが、これは間違いです。また、同じように炎が一気に燃え広がる現象に「バックドラフト」がありますが、これはフラッシュオーバーとは全く別物になります。

バックドラフトは、火災が発生して室内の酸素を燃やし尽くしてしまうと、炎が小さくなって消えたようになるのです。しかし、室内はまだ高温で可燃性物質がたっぷりと残っています。そこに外部から酸素が供給されると、一気に炎が噴き出してくるでしょう。火災が起こった場合、フラッシュオーバーと同じくらい気をつけなければならない現象です。

3.フラッシュオーバーの危険性とは?

フラッシュオーバーは、煙の流れに沿って発生します。3階建ての建物の1階部分で火災が発生したとしましょう。煙は高いところへ向かいますから、2階、3階へと充満していきます。そして、一定の時間がたつと発火点に達した煙と可燃性物質が一気に燃え広がり2階3階の天井付近は火の海になるでしょう。しかし、煙が行かなかった火元以外の1階部分は燃え残った、ということも珍しくないのです。

つまり、フラッシュオーバーは煙が行きやすい高層階の天井付近が最も危険だということ。「火元はまだ遠いので、慌てずに避難しよう」とか「1階は火元だから、このまま上層階にとどまって消防士の救助を待とう」などと思うと、フラッシュオーバーの犠牲になる可能性があるでしょう。多数の犠牲者を出した「ホテルニュージャパン火災」や「千日前デパート火災」でも、フラッシュオーバーが発生したため、被害が大きくなりました。

4.危険物から発火した場合は被害拡大の恐れも

危険物とは消防法で定められた、無造作に放置しておくと発火したり爆発したりする危険性が高い物質のことです。消防法で定められた数量を超えた危険物を取り扱ったり保管したりするためには、危険物取扱者の資格が必要になります。危険物取扱者の資格保持者や資格取得のための勉強をしている方ならお分かりいただけると思いますが、危険物の中には発火すると有害なガスを発生させるものもあるのです。

また、一般的な火災の場合は、水を使った冷却消火を行いますが、危険物の中には水をかけると爆発したり逆に燃え広がったりするものもあるでしょう。何も知らない消防士が通常の火災と同じような消火活動をした場合、2015年の8月に中国の天津市で発生した爆発事故のようなことが起こる可能性もあります。

ですから、万が一危険物を保管してある建物で火事が発生した場合は、必ず危険物取扱者が消防に通報し、保管してある危険物の種類と量を伝えましょう。そうすれば、消防も設備を整えて出動してくれます。

5.フラッシュオーバー現象を防ぐための対策は?

では、フラッシュオーバー現象を防ぐための対策はあるのでしょうか? この項では、その一例をご紹介します。

5-1.天井を防火性のものにする

フラッシュオーバーで怖いのが、天井が焼けて落ちてくることです。また、天井に木材などの可燃性物質を使っている場合は輻射熱(ふくしゃねつ)で発火することもあるでしょう。それを防ぐために、天井に防火性の素材を使うと効果的です。また、一定の規模の建物に設置が義務づけられているスプリンクラーも、煙の発生を防いでフラッシュオーバーを予防する効果があります。

5-2.防火扉を設置する

炎が燃え広がるのを防ぐための防火扉は、煙も防いでくれます。ですから、建物の数か所に防火扉を設置し、火災が起きたときに閉めるとフラッシュオーバーを防げるでしょう。ただし、防火扉を閉めて延焼を防ぐと、バックドラフト現象を引き起こす可能性があります。ですから、防火扉を閉めて避難したら消防士にその旨を必ず伝えましょう。

5-3.火事を起こさないようにする

当たり前のことですが、これからの季節は空気も乾燥し、火災が起きやすくなります。特に、危険物は常温でも火を近づければ引火する物質も少なくないでしょう。今は、裸火を使う機会はほとんどなくなりました。暖房器具の安全性も高くなり、通常の生活をしていれば火災を起こしてしまうことはまずありません。しかし、静電気から生じる火花などで火災が発生することもあります。

特に、セルフサービスのガソリンスタンドで給油する際は、しっかりと静電気を除去してから給油してください。海外では、静電気が原因で給油中のガソリンに引火したという例は決して少なくないのです。

6.おわりに

いかがでしたか? 今回は、フラッシュオーバーが発生する原因や対策についてご紹介しました。
まとめると

  • フラッシュオーバーとは、発生した火災が一気に燃え広がる現象のこと。
  • 煙と輻射熱(ふくしゃねつ)によって可燃性物質が燃え上るので上層部ほど被害を受けやすい。
  • 天井を防火性の物質にしたりスプリンクラーをつけたりすることが、代表的な対策である。

ということです。火災は、いつ発生するか分かりません。高層ビル内のショッピングモールに出かけたら、火災に遭遇することもあるでしょう。火災に遭遇したら、パニックになって人の流れに押し流されると、二次災害の危険性があります。まずは場内アナウンスに耳を傾けて、火災の発生場所や避難経路を知りましょう。

また、ホテルなどに宿泊する場合は、念のために避難経路を確認しておいてください。消防法を守っている施設ならば、必ず避難通路や初期消火の施設が備えてあるはずです。ですから、落ち着いて避難しましょう。