熱膨張の原理や熱膨張によって起こる現象とは?

危険物取扱者の資格取得のために勉強していると、「熱膨張」という言葉をよく目にすると思います。
熱膨張は、私たちの身の回りでよく発生している現象でもあるのです。
危険物も熱膨張を起こすものがあるため、保管には気をつけなければなりません。
そこで、今回は熱膨張の原理やそれによって起こる現象などをご紹介しましょう。
熱膨張というと、気体というイメージを持っている方もいるかもしれません。
しかし、熱膨張はどんな物質でも起こるのです。
興味のある方や危険物取扱者の資格取得を目指している方は、ぜひこの記事を読んでみてくださいね。

目次

  1. 熱膨張の原理とは?
  2. 熱膨張で起きる現象とは?
  3. 物質の状態による膨張の違いとは?
  4. 危険物取扱者の試験で出題される熱膨張に関する問題とは?
  5. 熱膨張を防ぐための危険物保管の方法とは?
  6. おわりに

1.熱膨張の原理とは?

熱膨張とは、温度の上昇にともなって物体の体積や長さが膨張する現象です。
最も身近な熱膨張は、水が沸騰して蒸気になることでしょう。
水を沸騰させると蒸気になります。
この蒸気をすべて集めると、水よりも体積がだいぶ大きくなるのです。
また、長さが膨張する例としては、電車のレールがあります。
電車のレールは外気温が高くなると伸びてしまうのです。
ですから、線路の継ぎ目はわずかに隙間があいています。
温度が上がると物質を構成している原子や分子の動きが激しくなるのです。
その結果、原子や分子同士の間が幅広くなり、体積が膨張します。
つまり、原子や分子が激しく動きやすい物体ほど、熱膨張も激しくなるのです。
ちなみに、温度が1度上がるごとに物体が膨張する割合のことを、「熱膨張率」といいます。
「熱膨張係数」という物体もあるのです。

2.熱膨張で起きる現象とは?

熱膨張をすると、単に体積が増えるだけではありません。
この項では、熱膨張で起きる現象をご紹介します。

2-1.体膨張

体膨張とは、体積が膨張することです。水が気体になるのは、この体膨張にあたります。
体膨張の求め方は「体積=元の体積x体膨張率x(上昇した温度-元の温度)」という式になるのです。
膨張率は固体、液体、気体の順で大きくなるでしょう。
熱伝導率と逆と覚えておくとよいですね。

2-2.線膨張

膨張とは、長さが増加することです。前述した線路の膨張もこの線膨張になります。
線膨張をする長さは、「増加する長さ=元の長さx線膨張率x(上昇した温度-元の温度)」で表せるのです。
ちなみに、温度が1度上がるごとに線膨張する長さのことを「線膨張率」といいます。

3.物質の状態による膨張の違いとは?

この項では、物質の状態によって異なる熱膨張の違いをご紹介します。
固体と液体、さらに気体ではどんな違いがあるのでしょうか?

3-1.固体の熱膨張とは?

固体は、熱膨張すると体積と長さが両方変化します。
特に、棒状の物体は線膨張が顕著です。
一般的に、固体の体膨張率は線膨張率の3倍になります。
これは、線膨張が横しか伸びないのに対し、体膨張は縦、横、高さの三方向に膨張するからです。

3-2.液体の膨張

液体の膨張は、線膨張がありません。
体膨張だけで考えましょう。
ちなみに、危険物は液体が多いですが、液体の危険物を運転するときは内容積の98%以下の収容率にするように決められています。
これは熱膨張による体膨張が起こっても容器から危険物が漏れ出ないようにするため。
55度の温度でももれない空間容積を取るという決まりも、同じ理由です。

3-3.気体の膨張

気体の熱膨張も体膨張のみ起こります。
気体の体膨張は固体や液体よりも大きくなるのが特徴です。
気体の膨張率はシャルルの法則に従い、どの気体でも圧力が一定のとき、温度が1度上昇するごとに0度のときの体積の273分の1ずつ膨張します。
つまり、0度だった気体の体積は273度で倍になるのです。

4.危険物取扱者の試験で出題される熱膨張に関する問題とは?

熱膨張は、基礎物理の範疇(はんちゅう)になりますので、危険物取扱者の資格試験では、出題される可能性かあります。
熱膨張については、中学や高校で学ぶ人もいるでしょう。
しかし、卒業してから時間がたっている人ほど内容を忘れていると思います。
熱膨張は、危険物を取り扱っていくうえで大切なものです。
ですから、参考書をよく読んで過去問をくりかえし解きましょう。

5.熱膨張を防ぐための危険物保管の方法とは?

では最後に、熱膨張を防ぐための危険物保管の方法をご紹介します。
危険物取扱者の方は、ぜひ参考にしてください。

5-1.高温になる場所に置かない

危険物は、高温になる場所に置かないようにしましょう。
この、高温になる場所というのは、単に温度が高いということではありません。
たとえば、日光によって保管場所の温度が上がるところでは、たとえ火の気がなくても熱膨張が起こるかのせいがあります。
特に、化学反応する関係で金属の容器に保存してあるものは、熱を吸収しやすいので注意が必要でしょう。

5-2.運搬中も気をつける

前述したように、金属の容器で危険物を運搬するときは、ふちぎりぎりまで危険物を入れてはいけないことになっています。
これは、熱膨張によって危険物が噴き出したりするのを防ぐためです。
しかし、容器の量の98%以下というのは非常にわかりにくい数字でしょう。
ですから、多めに入れるよりは少ない分量で入れてください。
98%というと、満タンよりもほんのわずかに少ないくらいの量です。
この量をきっちりはかるのは難しいでしょう。
ですから、ぎりぎりまで入れようと思わないことです。

5-3.個人で保管や運搬するときも気をつける

灯油など個人で保管することの多い危険物もあります。
2013年に花火大会で熱膨張したガソリンが原因で、爆発炎上した事故がありました。
あの事故は、火の元の近くに保管容器いっぱいのガソリンを保管してあったことが原因で起こった事故です。
このような事故は、ご家庭でも十分起こりうる事故でしょう。
ですから、灯油などを買う場合は欲張って容器満杯に買わないことです。
また、ガソリンは必ず専用の携帯缶に入れておきましょう。
灯油を保管するポリタンクでは、ガソリンが気化してしまいます。
また、ホワイトガソリンなどは、バーナーで使えるのでリュックサックなどに入れて持ち歩く人もいるでしょう。
しかし、リュックサックは背中に密着していますから、意外と高温になりやすいのです。
ですから、ホワイトガソリンを携帯する場合も容器に満タンに入れないように気をつけましょう。

6.おわりに

いかがでしたか?
今回は熱膨張についていろいろとご紹介しました。
まとめると

  • 熱膨張とは熱を加えると膨張する物質の力である。
  • 熱膨張は固体、液体、気体どれでも起こる。
  • 固体だけは体膨張と線膨張の両方が起こる。

ということです。熱膨張は、どんな物質でも起こりうる現象。
ですから、危険物を保管するときも熱膨張のことを考えて保管しましょう。
また、気化する温度にも注目しなければなりません。
もし、有毒性のある危険物を気化させてしまったら、体積が何倍も膨らんでしまいます。
つまり、被害が拡大する恐れがあるということ。
さらに、液体が膨張した場合は、ふたを開けた瞬間に危険物が飛びだすこともあるのです。
取り扱う際は十分に注意してください。
さらに、危険物を保管する容器も熱膨張によってもろくなれば、破損の可能性があるのです。