密度と比重の違いとは? 間違えないように覚えるにはどうすればいいの?

危険物取扱者の資格を取得するために勉強をしていると、「密度」と「比重」という言葉がよく出てきます。
このふたつは混同しやすいのですが、違うものなのです。
そこで、今回は密度と比重の違いについてご説明します。
この違いが分かれば、理解度もアップするでしょう。
密度と比重の違いがよくわからないという人や、危険物取扱者の資格取得を目指しているという方はぜひこの記事を読んで違いを理解してください。
また、すでに資格を持っている方の復習にも役立ちますよ。

目次

  1. 密度と比重とは?
  2. 密度・比重と危険物について
  3. ​危険物取扱者が、比重や密度を知っておくべき理由とは?
  4. 比重と密度を間違えないようにするには?
  5. おわりに

1.密度と比重とは?

まず始めに、密度と比重とは何かということをそれぞれ説明していきます。
いったい何が違うのでしょうか?

1-1.密度とは?

密度とは「物質の単位あたりの質量」のことです。
g/cm3という単位を使って表します。
この「単位あたりの質量」がよくわからない、という方も多いでしょう。
物質は、条件が変わると形状も変化するものが多いです。
例えば、水を熱すると気体になり凍らせると固体になります。
しかし、「質量保存の法則」がありますから、質量自体は変わりません。
気体になった水と固体の水では気体の方が何倍も大きく見えます。
しかし、同じ体積の中にどれだけ物質の質量が含まれているかを比べれば、個体の方が重いでしょう。
これが「密度が大きい」ということです。
一般的な物質は気体が液体になると体積が少なくなり、密度が増します。
しかし、物質の基準になりやすい「水」は4度で体質が最小になるという特徴があるのです。
このときの密度は最大で1g/cm3になります。

1-2.比重とは?

比重とは、定められた基準物質と物質の質量の比です。
基準物質に比べて「重い」「軽い」で判断します。
ですから、単位はありません。
基準物質には1気圧4℃における同体積の水が用いられることが多いです。
水の比重を1として、物質の質量がそれより重いか軽いかを比べます。
比重が1より軽い物質は水に浮き、重い物質は水に沈むのです。
比重は危険物以外にもいろいろなところで用いられますので、仕事で物質の比重を量ったことがある、という方は多いでしょう。

2.密度・比重と危険物について

では、危険物の密度と比重を知るとどのような場面で役立つのでしょうか?
この項では、その一例をご紹介します。

2-1.保存に役立つ

危険物の中には蒸発しやすいものも多いです。
ですから、密閉容器で保存することも珍しくありません。
しかし、危険物の中には密閉容器での保存が難しいものもあるのです。
比重が水よりも重く、さらに水に溶けにくい物質であれば水中で保存ができます。
一例をあげると、二酸化炭素。
二酸化炭素は通常の状態で保存しておくと、可燃性の蒸気が発生しやすいです。
そこで、水中に保存することで蒸気の発生を防ぎます。

2-2.消火に役立つ

水よりも比重が軽い危険物は、水で消火しようとしても水に浮いてさらに燃え広がってしまいます。
東日本大震災のときに、水面に浮かんだ重油が燃えている映像を見たことがある人もいるでしょう。
灯油やガソリンなど危険物第4類に指定されている物質の多くが、水よりも軽いために起きる現象です。
ですから、水よりも比重の軽い危険物は窒息消火を行います。

2-3.取り扱いの注意点が分かる

危険物の中には、蒸発して気体になりやすいものも多いです。
そのような物質は保管方法にも気を配りますが、使用しているときに蒸発する場合もあります。
その物質の比重が空気よりも重ければ、蒸発した物質は低所にたまるのです。
逆に、物質の比重が空気よりの軽ければ高所にたまりやすいでしょう。
ですから、空気よりも比重が重い物質を使う場合は、足元を換気します。
比重が軽い場合はその反対です。
危険物が蒸発すれば目に見えなくなります。
しかし、引火性や可燃性には変わりがありません。
ですから、空気よりも比重が重いか軽いかを量ることで、危険な気体が室内のどこにたまりやすいのか予測するのです。

3.危険物取扱者が、比重や密度を知っておくべき理由とは?

では、なぜ危険物取扱者は危険物の密度や比重を知っておく必要があるのでしょうか?
この項では、その理由をご紹介しましょう。

3-1.危険物を保管したり管理したりするため

危険物は、保管方法が悪いと火災の原因になります。
前述したように、危険物の密度や比重によっては消火方法や保管方法が異なるのです。
灯油やガソリンのように私たちの身近にある危険物ならば、特徴や危険性を理解している人が多いでしょう。
しかし、危険物の種類は豊富です。資格を持っていない人は聞いたこともないような物質もあります。
そのような物質を正しく保管したり管理したりするためには、密度や比重を知っておくにこしことはありません。

3-2.危険物の取り扱いを監督するため

危険物取扱者ができることのひとつに、「危険物の取り扱いを監督すること」ということがあります。
つまり、危険物取扱者が監督していれば、無資格者でも危険物を取り扱うことができるのです。
セルフで給油するガソリンスタンドもそのひとつ。
職場によっては、無資格の従業員に取り扱い方を教えることもあるでしょう。
その際に、比重や密度を知っていると「なぜ水中で保管するのか」「なぜ、消火に水を使えないのか」ということを、分かりやすく教えることができます。
また、「水より比重の軽い危険物は消火に水が使えない」と覚えておけば、「この危険物は、水より比重が軽いよ」という一言で、消火方法の注意点を教えられるでしょう。

4.比重と密度を間違えないようにするには?

危険物取扱者の試験勉強をしていると、覚えることがたくさん出てきます。
比重や密度も数多く出てきますので「これは密度と比重、どっちだったっけ?」と迷う数値も出てくるでしょう。
覚え間違いをなくすためには、単位ごと覚えてください。
度には単位がつきます。
ですから、単位ごと覚えてしまえば「単位がついている方が密度」ということになり、間違えることはありません。
また、職場でも密度や比重を保存容器に書く場合は、単位を忘れないようにしましょう。
単に数字だけ書いたのでは、密度と比重を間違える人が出るかもしれません。
「単位が書いてあれば密度だから、間違えないように」と通達を出しておけばより完璧ですね。

5.おわりに

いかがでしたか?
今回は危険物の密度と比重の違いについてご説明しました。
まとめると

  • 密度とは物質の単位あたりの質量ということで、単位を用いて表される。
  • 比重とは、基準物質と物質の質量の比較したもので、単位は用いない。
  • 比重や密度を知っていれば、危険物の管理や保管、使用者を監督するために役立つ。

ということです。
危険物取扱者の資格を取得するために勉強をしていると、覚える数値がたくさん出てくるでしょう。
ですから、どの数値が何を表すかが分からなくなる人も多いと思います。
そのような覚え間違いを防止するためには、前述したようにかならず単位も一緒に覚えてください。
密度を表すには必ず単位を用います。単位ごと覚えれば間違いありません。
また、覚えやすい参考書を選ぶことも大切です。
危険物取扱者の勉強はほとんどの人が独学で行っています。
ですから、覚えやすく理解しやすい参考書を選べば合格率がアップするでしょう。
インターネットの口コミ掲示板などで、お勧めの参考書を聞いてみたりしてもよいですね。

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