【資格取得】特定化学物質について解説! 取り扱うために必要な資格は?

危険物について

特定化学物質とは、労働安全衛生法によって定められた労働者に健康障害を発生させる可能性が高い化学物質の総称です。特定化学物質に定められた物質を扱ったり製造したりするためには、さまざまな規則が定められています。

今回は特定化学物質の概要や、取り扱うための決まりや必要な資格などを解説しましょう。

  1. 特定化学物質の基礎知識
  2. 特定化学物質を扱うために必要な決まりや資格
  3. 特定化学物質に関するよくある質問

この記事を読めば、特定化学物質に関する規則や取り扱うための資格取得の方法がよく分かります。特定化学物質を取り扱う職場で働いている人や、転職を考えている人はぜひ読んでみてください。

1.特定化学物質の基礎知識

はじめに、特定化学物質の定義や種類などを解説します。

1-1.特定化学物質とは何か?

前述したように、特定化学物質とは労働安全衛生法で定められた、労働者に健康障害を発生させる可能性の高い化学物質の総称です。特定化学物質を安全に扱うために、さまざまな規制が設けられています。また。特定化学物質の製造や取り扱う施設では、特定化学物質作業主任者の選任が義務づけられているのです。

1-2.特定化学物質の種類とは?

特定化学物質は、第1類~第3類まで3種類に分類されています。分類の基準や規制については以下のとおりです。

  • 第1類物質:発がん性や遅発性障害を引き起こす可能性が最も高い物質で、製造に用いる設備や作業方法に決まりがある。製造には厚生労働大臣の許可が必要。製造以外の取り扱いも、発散源を密閉するなどの規制がある。複合物質の場合は、第1類物質に含まれている化学物質の含有量が0.5~1%を超えるものが該当。該当物質は、ジクロルベンジジン・塩素化ビフェニルなど
  • 第2類物質:第1類より危険度は低いが、取り扱いや製造には規制が必要な化学物質が該当する。漏えいに注意しなければならないものは特定第2類物質、それ以外は管理第2類物質と区別されているので注意。それぞれ取り扱い規則が異なる。該当物質は、アクリルアミド・アルキル水銀化合物・エチルベンゼンなど。複合物質の場合は、該当する化学物質が1~5%含まれている物質が分類される
  • 第3類物質:危険度が第1類、第2類より低く、大量漏えいによって急性中毒を起こす可能性が高い化学物質が該当する。該当物質は、アンモニアや一酸化炭素など。複合物質の場合は該当物質が1~6%含まれていると第3類に分類される

1-3.特定化学物質の取り扱い方とは?

1-2でご紹介したように、特定化学物質は取り扱うだけでも健康に害があるものから、大量漏えいすると急性中毒が起こるものまでさまざまです。

第1類や第2類に分類されている化学物質の取り扱いは、基本的に遠隔操作や化学物質を密閉して作業します。また、プッシュプル型換気装置など専門の換気装置、空気中にある化学物質の濃度を測る測定装置、緊急遮断装置の設置も必要です。

さらに、漏えい事故に備えて避難経路の確保・警報設備や除害に必要な設備の設置・救護組織の確立も必要になります。

2.特定化学物質を扱うために必要な決まりや資格

この項では、特定化学物質を扱うために必要な決まりや資格等を解説します。

2-1.特定化学物質を扱うために必要な決まりとは?

1-3でご紹介したように、特定化学物質は労働安全衛生法等で定められた設備等を備えた場所でなければ取り扱うことはできません。業務拡大で新たに特定化学物質を扱うようになったという場合は、専用設備を備えた施設を新たに建設しましょう。

また、特定化学物質を取り扱う従業員は、特別健康診断や安全教育を受ける必要があります。特定健康診断とは、3~6か月ごとに実施され、特定化学物質が健康を損ねていないか検査するものです。安全教育は、化学物質の危険性や取り扱い方、事故が起こった際の対処方法、予防規則などを学びます。安全教育は1日で修了しますが、必要ならば定期的に行わなくてはなりません。

2-2.特定化学物質を取り扱うために必要な資格

特定化学物質を取り扱う事業所では、特定化学物質作業主任者の選任が必要です。特定化学物質作業主任者は、特定化学物質を取り扱う作業方法の決定・作業の監視・排気装置等の点検等の職務を行います。現場の安全管理を行う責任者と考えれば、理解しやすいでしょう。

2-3.資格取得方法

特定化学物質作業主任者の資格は、「特定化学物質及び四アルキル鉛等作業主任者技能講習」を受講し、修了試験に合格すれば取得できます。講習は、各自治体にある労働基準連合会で開催されていますので、ホームページ等を確認してください。講習資格などは定められていません。誰でも受講が可能です。ただし、18歳未満は資格を取得しても選任を受けることはできないので注意しましょう。

3.特定化学物質に関するよくある質問

Q.特定化学物質取扱作業主任者には、女性も選任可能ですか?
A.はい。可能ですが化学物質によっては妊婦や産婦(産後1年未満の女性)は取り扱うことができないものもあります。そのため、妊娠の可能性がある女性は選任しないという独自のルールを定めている会社もあるでしょう。

Q.特定化学物質の中には危険物に指定されているものがありますか?
A.はい。危険物だけでなく毒物・劇物に指定されているものも豊富です。

Q.特定化学物質を取り扱うには、特定化学物質取扱作業主任者以外にも資格が必要でしょうか?
A.化学物質によっては、毒劇物取扱責任者などの別の資格も必要になります。

Q.特定化学物質を取り扱う場合、安全教育のほか衛生教育も必要でしょうか?
A.法律で義務化はされていませんが、必要ならば行ってください。

Q.特定化学物質を取り扱う場合、特に注意しなければならないことなどはありますか?
A.特定化学物質とほかの物質を取り違えないようにすることや、安全教育を徹底することです。特に、勝手に作業を省略してしまうと労災につながることもあるでしょう。

まとめ

今回は特定化学物質について解説しました。特定化学物質は、取り扱い方を間違えると大規模な労災を引き起こす可能性が高いものです。従業員1人1人に安全教育を徹底し、取り扱い方を厳重に守らせることが大切になります。

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