危険物第4類アルコール類とは? 対象アルコールと取扱方法を解説!

危険物取扱者の試験合格を目指しているのであれば、出題率の高い危険物第4類についても理解しておきましょう。中でもアルコール類に関する問題が出題されることが多いです。アルコール類といっても全てのアルコールが危険物扱いになるわけではないため、消防法で指定されるアルコール類にはどういったものがあるのか確認しておきましょう。

アルコール類の種類や火災の予防方法、消化方法などを詳しくご紹介するので危険物取扱者試験の勉強をしている方は参考にしてみてください。

  1. 消防法で指定されるアルコール類
  2. 火災予防と消火方法
  3. アルコール類の取り扱い

1.消防法で指定されるアルコール類

1-1.危険物第4類とは?

危険物第4類とは引火性液体のことで、特殊引火物、第1石油類、アルコール類、第2石油類、第3石油類、第4石油類、動植物油類といった種類があります。危険物に指定されていることからもわかるように扱い方を間違えると火事や爆発などの大事故を招いてしまうものでもあるので、適切な知識を持って取り扱いましょう。

危険物第4類は引火しやすく、水に浮くことが大きな特徴です。火災が発生した時には水をかける消火方法が一般的ではありますが、危険物第4類に対して水をかけると水上に火が広がってしまう可能性があります。消防法の対象となるアルコール類は次のものです。

1-2.メチルアルコール

メチルアルコールはメタノールとも呼ばれるもので、危険物取扱者試験の試験では最も多く関連問題が出題されます。そのためこちらの項目についてはよく勉強して理解しておく必要があるでしょう。化学式はCH3OHで、アルコールランプの燃料やホルマリンの原料として使われることが多いアルコールです。メチルアルコールは引火点が11℃とアルコール類の中で最も低く、引火する危険性が高いアルコールとしても知られています。

揮発性も非常に高く、毒性が高いのもメチルアルコールの大きな特徴です。毒性の問題は度々騒がれていて、メチルアルコールを飲んだことが原因で発生したさまざまな中毒症状が世界各地で報告されています。日本でも過去にメチルアルコール混入酒を飲んだことが原因で多くの死者が出たこともありました。

死亡にまでは至らなくてもメチルアルコールを飲んだことが原因で目の網膜を損傷してしまうことがあり、失明の危険性もあります。これが理由となり「目散るアルコール」と呼ばれることもあるので毒性の高さについては十分に理解しておきましょう。

1-3.エチルアルコール

エチルアルコールはエタノールという呼び名で知られており、化学式はC2H5OHです。エタノールといえば酒類の主成分として知っている人も多いのではないでしょうか。また、消毒剤としても使われていますよね。

炎は太陽光の下では見えにくい青白色をしており、消防の消火訓練中に火が消えたと思ってエチルアルコールを注ぎ足したところ大爆発が起こって周囲にいた数人が巻き込まれる事故が起きたことがありました。

1-4.n-プロピルアルコール

n(ノルマル)プロピルアルコールは1-プロパノールとも呼ばれ、化学式はC3H7OHです。
無色で特有のにおいがあるアルコールとなっており、引火点が23℃と低いという特徴があります。メチルアルコールやエチルアルコールに比べると試験での出題率は低いですが、こちらも確認しておいたほうがいいでしょう。

1-5.イソプロピルアルコール

イソプロピルアルコールは2-プロパノールとも呼ばれ、化学式は(CH3)2CHOHです。燃焼しても炎や煙が出にくいといった特徴を持っています。出題頻度が低いn-プロピルアルコールと比較してもイソプロピルアルコールは出題頻度がかなり低いと言えるでしょう。

アルコール類にも複数種類があるんですね。
はい。ですから危険物取扱者乙種第4類取得を目指すならば、それぞれの特徴や違いを覚えましょう。

2.火災予防と消火方法

2-1.火災予防の方法

危険物第4類のアルコール類を取り扱う際には、火災予防もしっかり行わなければなりません。火災を予防するうえで特に大切なのが蒸気を溜めないこと。蒸気が発生する場合は風通しを良くするだけでなく、換気もしっかり行いましょう。

それと、消防法で指定されたアルコール類を保管する際には容器に対して満杯に入れるのではなく、空間を残すことが大切です。これをしっかり密栓し、冷暗所に置きます。

当然のことながら危険物第4類のアルコール類の蒸気が滞留するところに火気は厳禁です。火花なども火災の原因になってしまうことがあるので注意しておきましょう。火気対策として忘れがちなのが静電気の対策です。静電気も火災が発生する原因となるため、忘れずに対策を行わなければなりません。

2-2.火災発生時の消火方法

火が出てしまった際に選択できる消火方法には除去消火、窒息消火、冷却消火といった方法がありますが、消防法でアルコール類に指定されたものを消火するには窒息消化が有効です。これは、酸素を取り除くことによって火災を抑える方法で、耐アルコール泡、二酸化炭素消火剤、粉末消火剤などを使用します。

火気厳禁で窒息消火をするんですね。
はい。アルコール類は水より比重が軽いので、冷水消火はできません。

3.アルコール類の取り扱い

3-1.アルコール類の指定数量

指定数量とは、消防法によって規制の対象となる基準のことをいいます。いくら危険物とはいえほんの少しの量であればそれほど危険性が高くないものもあるため、少量では消防法の規制を受けることがありません。危険物第4類アルコール類の場合はどうなのかというと、400Lが指定数量となっています。

ちなみに、危険物第4類のうち最も指定数量が多いのは動植物油類で10000 Lです。これに比べてアルコール類が400Lということは、動植物油類に比べて危険性が高いということ。同じ危険物第4類であったとしても種類によって指定数量が違うのでよく理解しておきましょう。

3-2.指定数量の倍数について

消防法でアルコール類は400Lが指定数量になっていると説明しました。つまり、アルコール類のみの貯蔵・取扱いは400L未満なら許可が必要ないということですね。ですが、ケースによっては同じ場所に他の危険物も保管することがあります。この場合、危険物ごとに決められている指定数量から指定数量の倍数というものを計算し、結果が1以上であれば許可が必要です。

どのようにして計算をするのかというと、危険物の数量を指定数量で割り、その結果を足します。例として、指定数量が400Lであるアルコール類を200Lと、特殊引火物の指定数量が50Lである特殊引火物を20L保管するとしましょう。

危険物の数量を指定数量で割ると、アルコール類が200÷400で0.5、特殊引火物が20÷50で0.4、結果を合計すると0.5+0.4で0.9となり、1には届きません。この場合は規制の対象にならないということです。

他にも危険物ごとに指定数量が指定されているため、どれくらいまでならば許可を得ずに保管できるかは計算したうえで判断することになります。それと、規制数量未満の危険物だからといって自由に取り扱っていいわけではありません。指定数量未満でも市町村の条例によって規制されます。

指定数量以上の取り扱いや保管は危険物取扱者の資格が必要なんですね。
はい。自治体によっては、独自に条例を定め、指定数量以下でも危険物取扱者の有資格者しか保管や取り扱いができないところもあります。

まとめ

危険物取扱者試験で合格するためには指定数量について正しく理解しておく必要があるのですが、中でも危険物第4類に関する問題はよく出題されます。アルコール類だけでなく、その他の品名に関する指定数量も理解しておきましょう。今回ご紹介した指定数量の倍数計算なども参考にしながら指定数量について勉強してみてくださいね。

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