危険物の防爆構造とは?危険物を扱う仕事で知っていただきたい基礎

石油化学工場、ガソリンスタンド、タンクローリーなど、私たちの生活の周りには、危険物がたくさんあります。爆発や火災を起こさないように、さまざまな対策が講じられてきました。防爆構造もその1つです。
防爆構造とはどのようなもので、どんな種類があるのでしょうか。危険物を取り扱う仕事と合わせて紹介します。

  1. 防爆構造とは
  2. 防爆構造の種類
  3. 危険箇所の3分類
  4. 危険物取扱者の仕事
  5. まとめ

1.防爆構造とは

防爆構造とは、名称からもわかるように「爆発を防止する構造」のことです。石油化学工場など爆発性ガスがある場所では、普通の電気機器を使うと、電気機器から生じる電気火花で引火し、爆発の危険があります。このため、このような危険な場所(危険箇所)では、防爆構造で安全に使用できるように設計された防爆機器が不可欠です。労働安全衛生法で義務づけられています。
危険箇所に使用するには、厚生労働省の検定に合格し、認定された防爆構造の電気機器でなければなりません。石油化学工場を始め、ガス、ガソリン、薬品などの取扱所や塗装や溶剤洗浄をする場所など、あらゆる危険物を使用する工場・設備が対象です。

2.防爆構造の種類

 防爆対策は、危険領域、レベル、対象物質などによって規制があります。労働安全衛生総合研究所の「工場電気設備防爆指針(国際整合技術指針)」による分類では、防爆構造の種類は9つです。ここではふれませんが、防爆構造の器具には、アルファベット記号により、構造・性能が示されています。

2-1.耐圧防爆構造

爆発性ガスが電気機器の容器内に侵入して爆発しても、容器が圧力に耐え、かつ、外部の爆発性ガスに引火するおそれがないようにした全閉の防爆構造です。

2-2.内圧防爆構造

容器の内部に清浄な空気や不活性ガスを圧入し、内圧を保つことで爆発性ガスが侵入してくるのを防ぐ構造です。

2-3.油入防爆構造

電気機器の電気火花またはアークを発する部分を油中に納め、油面上にある爆発性ガスに引火する心配がないようにした構造です。

2-4.安全増防爆構造

正常運転中や高温を生じてはならない部分で、熱が発生するのを防止するため、構造および温度上昇に特に安全度を増加した防爆構造です。

2-5.本質安全防爆構造

正常時や事故発生時に発生する電気火花、または高温部により爆発性ガスに点火しないことを、公的機関で確認された構造です。

2-6.樹脂充填防爆構造

運転中または設置された状態で、粉じん層や爆発性ガスに点火しないように、点火する部分をコンパウンド内に封入した防爆構造です。

2-7.非点火防爆構造

通常運転中および通常予期される特定の事象が生じた際に、周囲の爆発性ガスに点火させない防爆構造です。

2-8.容器による粉じん防爆構造

粉じんの侵入を防止し、表面温度を制限する容器で電気機器を保護する防爆構造です。

2-9.特殊防爆構造

上記以外の構造で、爆発性ガスの引火を防止できることを、公的機関で確認された構造です。

3.危険箇所の3分類

ひと言で危険箇所といっても、危険の程度はさまざまです。大きく3タイプに分類されています。共通するのは、ひとたび事故が起きると、従業員や建物・設備に重大な影響を与えるだけでなく、周囲にも被害が拡大するおそれがあることです。したがって、入念な防爆対策が必要になります。

  • 特別危険箇所(0種危険場場所):連続・長時間または頻繁に爆発の危険濃度に達する最も危険な場所です。可燃性液体の容器やタンク内の液面上部の空間などがあります。使えるのは、本質安全、樹脂充填、特殊の防爆構造です。
  • 第1類危険箇所(第1種危険場所):通常状態で爆発の危険濃度に達する可能性のある場所です。爆発性ガスを放出する開口部などが該当します。採用されているのは、本質安全、樹脂充填、耐圧、内圧の防爆構造です。
  • 第2類危険箇所(第2種危険場所):通常状態で爆発の危険濃度に達するおそれが少ない場所です。容器類が腐食などで破損し、漏出するおそれがある場所などが該当します。各種の防爆構造が使用可能です。

4.危険物取扱者の仕事

引火性液体など危険物を一定量以上貯蔵、または取り扱う施設を危険物施設といいます。こうした施設での危険物の取り扱い作業や保安監督・定期点検は、消防法の規定で「危険物取扱者」の資格をもつ人でなければできません。国家規格です。化学・石油・運送業界などで仕事をする人にとっては、なくてはならない資格といえるでしょう。危険物取扱者の資格は、取り扱う危険物の種類によって、3種類に分かれています。

4-1.甲種危険物取扱者

すべての種類の危険物を取り扱うことができます。最も難易度が高い資格です。

4-2.乙種危険物取扱者

第1類から第6類に分けられ、それぞれの類に規定されている危険物を取り扱うことができます。

  • 乙種第1類:酸化性固体(塩素酸塩類、過塩素酸塩類、無機過酸化物、ヨウ素酸塩類、過マンガン酸塩類など)
  • 乙種第2類:可燃性固体(硫化りん、赤りん、硫黄、鉄粉、金属粉、マグネシウムなどの可燃性固体)
  • 乙種第3類:自然発火性物質および禁水性物質(カリウム、ナトリウム、アルキルアルミニウム、アルカリ金属など)
  • 乙種第4類:引火性液体(アルコール類、灯油、軽油、重油、 動植物油類など)
  • 乙種第5類:自己反応性物質(有機化酸化物、硝酸エステル類、ニトロ化合物など)
  • 乙種第6類:酸化性液体(過塩素酸、過酸化水素、硝酸など)

4-3.丙種危険物取扱者

特定の危険物(ガソリン、灯油、軽油、重油など)に限り、取り扱いと定期点検ができます。
危険物取扱者の資格を得るには、独学で受験することも可能でしょう。でも、きちんとした備えをするためには、やはり専門の教育機関で勉強するのが早道です。
教育機関の中には、危険物乙4類の試験に、最短3日間の学習で合格可能な講座や、DVDを使った講座など、きめ細かなコースを用意しているところもあります。ご自分の条件や希望に合った教育機関を選んでください。

5.まとめ

危険物を取り扱う施設で義務づけられている防爆構造について、紹介しました。要点を整理します。

防爆構造の種類

  • 耐圧防爆構造
  • 油入防爆構造
  • 内圧防爆構造
  • 安全増防爆構造
  • 本質安全防爆構造
  • 樹脂充填防爆構造
  • 非点火防爆構造
  • 容器による粉じん防爆構造
  • 特殊防爆構造

また、防爆対策をする危険箇所は、3つに分類されます。

  • 特別危険箇所(0種危険場場所)
  • 第1類危険箇所(第1種危険場所)
  • 第2類危険箇所(第2種危険場所)

危険物を取り扱う仕事は、危険を除去するという意味で、たいへん重要でやりがいのある仕事です。化学・石油・運送業界などで働いている方だけでなく、これから仕事につきたい方にも、ぜひとも危険物取扱者の資格を取得することをおすすめします。