過炭酸ナトリウムの毒性や性質とは?どんな製品に含まれているの?

危険物とは、消防法で定められた火災や爆発を起こしやすい物質の総称です。
自動車や暖房の燃料としてなくてはならないガソリンや灯油も、危険物に指定されています。
今回は、危険物にごく最近指定された過炭酸ナトリウムの特徴や毒性についてご紹介しましょう。
危険物は消防法で定められるものですから、法律が改訂されれば危険物に指定される物質も増えたり減ったりします。
すでに危険物取扱者の資格を取得している方も、ぜひこの記事を読んでみてください。

  1. 過炭酸ナトリウムとはどんな物質?
  2. 過炭酸ナトリウムの毒性や危険性
  3. 危険物としての過炭酸ナトリウム
  4. 過炭酸ナトリウムをご家庭で保管する場合は?
  5. おわりに

1.過炭酸ナトリウムとはどんな物質?

過炭酸ナトリウムとは、炭酸ナトリウム(別名、炭酸ソーダ)と過酸化水素水の混合物です。
化学名を「炭酸ナトリウム過酸化水素付加物」といい、「過炭酸ソーダ」や「過炭酸塩」という商品名で販売されていることもあります。
ものものしい名前ですが、酸化力があるので、漂白剤、除菌剤、食器洗い乾燥機用洗剤、パイプクリーナー、洗濯槽クリーナーなどに幅広く使われているのです。
「驚くほど真っ白になる」とうたわれている漂白剤には、ほぼ入っているといってよいでしょう。
また、使用すると炭酸ソーダと酸素、水に分解されるので、環境にも優しく毒性もありません。
ですから、家庭用浄化槽を設置している家では、消毒剤として推奨されてもいます。
薬局、スーパー、ホームセンターなどで過炭酸ナトリウム入りの商品は簡単に買えますし、過炭酸ナトリウム自体も取り扱われているところが多いでしょう。

2.過炭酸ナトリウムの毒性や危険性

このように幅広く使われているか過炭酸ナトリウムの毒性や危険性はどんなものでしょうか?
この項で詳しくご紹介します。

2-1.過炭酸ナトリウムの危険性

過炭酸ナトリウム自体は不燃性の物質です。
しかし、ほかの物質を強く酸化させるという性質があり、熱、衝撃、摩擦(まさつ)といった現象で酸素を放出した際、周囲の可燃物を激しく燃焼させる危険性があります。
つまり、燃焼しやすい物体と過炭酸ナトリウムを一緒に保管しておいた場合は、ちょっとした衝撃で大火災が起きる可能性があるのです。
また、過炭酸ナトリウムは長期間保存しておくと酸素が出てきます。
そのため、密閉した容器に入れておくと、容器が膨張して破裂したり変形したりする可能性が高いでしょう。
さらに、金属製の容器に入れておくと酸化して腐食してしまいます。
どこでも手に入りやすい物質だからといって、保管方法がいいかげんだと火事や爆発の原因になるかもしれません。

2-2.過酸化水素ナトリウムの毒性

過酸化水素ナトリウムは、水に激しく反応して酸化力を出します。
ですから、目や口などに入ると、痛みや刺激を感じることもあるでしょう。
少量ならば洗い流せば問題はありません。
しかし、長時間にわたって痛みが治まらない場合は、病院を受診しましょう。
過酸化水素ナトリウムは、住まい用の洗剤のような感覚で使えるため、不用意に使ってしまいがちですが、目や口の中に粉末が入らないように注意しなければなりません。

3.危険物としての過炭酸ナトリウム

この項では、危険物としての過炭酸水素ナトリウムの扱い方についてご紹介します。
指定量や保管方法はどのようなものでしょうか?

3-1.過炭酸ナトリウムの分類

過炭酸ナトリウムは、危険物第1類の酸性固体に分類されています。
酸性固体の特徴としては、「指定された物質自体が単独で燃焼することは少ない」「酸素を放出して燃焼を助長する」といった特徴があるのです。
過炭酸ナトリウムはそのどちらの特徴も兼ね備えています。
また、酸性固体は第1~第3まで分かれているのです。
過炭酸ナトリウムがどれに値するかは、製品ごとに異なります。
ですから、過炭酸ナトリウムが主成分の製品を購入するときは、必ずメーカーにどれに分類されるか尋ねておきましょう。
ちなみに、酸性固体の第1種の指定数量は50キログラム、第3種の指定数量は1000キログラムです。
詳しく尋ねておかないと、知らないうちに条例違反をしてしまったということもあり得るでしょう。

3-2.過炭酸ナトリウムの保管方法

過炭酸ナトリウムは、ほかの物質を酸化させる性質があるためアルミ以外の金属の容器に入れないように注意しましょう。
たとえ少量でも容器を変形させてしまいます。
また、周りに可燃物を置いておかないように注意しましょう。
危険物は専用の保管庫に保管されることが多いですが、過炭酸ナトリウムをはじめとする危険物第1類だけはそれだけをまとめて一か所に保管しておいてください。
もし、大震災などの災害が発生して過炭酸ナトリウムとそのほかの危険物が混じり合うと、火災や爆発の原因になります。

3-3.過炭酸ナトリウムが原因で火災が発生した場合は?

過炭酸ナトリウムが原因で火災が発生した場合は、基本的に水による冷却消火を行います。
しかし、ほかの危険物と一緒に保管しておいて火災が発生した場合は、一緒に保管してあった危険物の消火方法をよく確かめましょう。
もし、冷水消火ができない場合は泡やハロゲン、二酸化炭素といったもので窒息消火をしなければなりません。
また、火災の規模が大きくなった場合は、隣接する建物などにも水をかけて延焼を防ぎましょう。
前述したように、過炭酸ナトリウムは酸素を発生させてほかの物質の炎症を促進させます。
そのため、たんに消火だけを行っていると、延焼が激しくなる恐れがあるのです。

4.過炭酸ナトリウムをご家庭で保管する場合は?

さて、いかがでしょうか?過炭酸ナトリウムの危険性はご理解いただけたと思います。
過炭酸ナトリウムは、危険物に指定されてまだ新しい物質です。
ですから、古い過炭酸ナトリウムをほうりっぱなしにしているというご家庭もあるでしょう。
その場合は、できるだけ早く始末してください。
ご家庭で過炭酸ナトリウムを長期間保管するのは難しいのです。
酸素が発生して、品質が変化しているかもしれません。
少量でしたら燃えるゴミで始末しても構いませんので、散からないようにまとめてゴミに出しましょう。
また、過炭酸ナトリウムを扱う場合は、無風状態のところで少量ずつ使ってください。
過炭酸ナトリウムは通常、白い粉末状になっています。
不用意に大量に出すと目や口に入りやすくなるでしょう。

5.おわりに

いかがでしたか?今回は過炭酸ナトリウムの性質や毒性についてご紹介しました。
過炭酸ナトリウムは、今まで危険物に指定されてきませんでしたので、保管方法が無造作なところもあるでしょう。
さすがにそれを使って漂白剤や洗剤を作っている工場などは、管理がしっかりしていると思います。
しかし、ご家庭で使用されている場合や、少量の過炭酸ナトリウムを扱っている工場などは、意識が行き届いていないところもあるでしょう。
ですから、その危険性をよく知っておいて対処することが大切です。
また、過炭酸ナトリウムは人の肌を痛める物質を含んでいます。
そのため、たとえ危険物として指定されなくても、取り扱う場合は手袋をはめてください。
素手で触って肌が荒れてしまうとなかなか元に戻りません。
また、過炭酸ナトリウムが含まれた漂白剤などはいくら大量に持っていても危険物に指定されることはないでしょう。
安心してもよいですが、いいかげんな保管方法で保管しないように気をつけてください。

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