危険物第4類の一種、第1石油類とはどんな物質? 特徴や消化方法は?

第1石油類とは、危険物第4類に分類されている引火性液体の一種です。文字どおり石油を原料としており、引火点が低く火災の危険性が高いという特徴があります。危険物取扱者乙種4類を取得するために受験勉強に励んでいる方の中には、石油類は種類も多く、特徴などを覚えるのに苦労している方もいることでしょう。

そこで、今回は第1石油類の特徴などを解説します。

  1. 石油類って何?
  2. 第1石油類の特徴について
  3. 第1石油類の取り扱い・貯蔵に関する資格について
  4. 第1石油類に関するよくある質問

この記事を読めば、危険物取扱者の試験勉強のコツも分かることでしょう。危険物取扱者の資格取得を目指している方は、ぜひ読んでみてくださいね。

1.石油類って何?

はじめに、石油類の定義や種類といった基礎知識を紹介します。どのような引火性液体なのでしょうか?

1-1.石油類の定義

石油類とは、未精製の原油を加熱分類することによって製造された物質の総称です。ガソリン・灯油・軽油・重油・石油ガスなど、私たちの生活になくてはならないものも、石油類に分類されています。
石油類は引火性や発火性が高いので、「引火性液体」として危険物第4類に指定されている物質です。種類がたくさんあるので、引火点によって第1~第4類に分類されています。

1-2.石油類の分類について

石油類は、以下のように分類されています。

  • 第1:引火点が1気圧の時に21度未満
  • 第2:引火点が1気圧の時に21度以上70度未満
  • 第3:引火点が1気圧の時に70度以上200度未満
  • 第4:引火点が1気圧の時に200度以上250度未満

1-3.危険物について

危険物とは、消防法によって指定されている火災を起こしやすい物質の総称です。物質自体が火災の原因になる「可燃性物質」と、酸素供給源となる「支燃物」があります。危険物はその特徴によって6種類に分類されており、石油類は第4類の引火性液体の一種です。
また、危険物にはそれぞれ指定数量が定められており、指定数量以上の危険物を貯蔵したり取り扱ったりする場合は、危険物取扱者の資格が必要になります。

2.第1石油類の特徴について

この項では、第1石油類に指定されている物質の特徴や消化方法などを紹介します。どのような物質が分類されているのでしょうか?

2-1.第1石油類に分類されている物質について

第1石油類には非水溶性であり、指定数量が200リットルの

  • ガソリン(引火点-40度・沸点40~220度)
  • ベンゼン(引火点-10度)
  • トルエン(引火点5度)
  • メチルエチルケトン(引火点-7度)
  • 酢酸エチル(引火点-3度)

と、水溶性であり、指定数量が400リットルの

  • アセトン(引火点-20度)
  • ピレジン(引火点20度)

があります。水溶性は水に溶ける物質、非水溶性は水に溶けない物質です。

2-2.第1石油類共通の特徴その1・引火点が低い

第1石油類に分類されている物質は、1気圧の時に21度未満で引火します。つまり、常温の状態でも火種を近づければ火がつくということです。火種というと、マッチやライターの炎などがイメージされますが、静電気の火花も立派な火種になります。ですから、セルフサービスのガソリンスタンドには、静電気を逃す装置がついているのです。

2-3.第1石油類共通の特徴その2.蒸発しやすい

第1石油類のもう一つの特徴は、蒸発しやすいということです。ガソリンやベンゼン・トルエンなどの蒸気は有毒であり、吸い続けると中毒症状を起こすこともあるでしょう。また、第1石油類が蒸発してできた蒸気も、21度未満で引火します。ですから、密閉できる容器に保存し、通気性や換気性の良い場所に保管することが、防火対策です。

2-4.第1石油類の消化方法の特徴

第1石油類は水よりも軽いので、水による冷却消火は行えません。非水溶性の物質は泡や二酸化炭素・ハロゲン化合物による窒息消火を行います。水溶性の物質も窒息消火を行いますが、水に溶けるため耐アルコール泡や二酸化炭素・ハロゲン化合物が使われるのです。

3.第1石油類の取り扱い・貯蔵に関する資格について

この項では、第1石油類を取り扱ったり貯蔵したりすることのできる資格について紹介します。どのような資格なのでしょうか?

3-1.危険物取扱者の中で、第1石油類を扱えるものとは?

第1石油類を取り扱える資格は、危険物取扱者乙種4類と、甲種です。丙種はガソリンなど1部のみ取り扱うことができます。乙種の他の類を取得しても、第1石油類を含む引火性液体を取り扱ったり保安監督業務を行うことはできません。

3-2.取得方法について

危険物取扱者乙種・丙種の試験は受験資格が定められていないため、誰でも受験可能です。合格すれば第1石油類が取り扱えるようになります。甲種は、大学や短大などで化学に関する単位を取得するなどを取得していないと、受験することができません。詳しくは、試験を主催している消防試験研究センターのホームページを確認してください。

危険物取扱者を取得するには、資格試験を受けて合格しなければなりません。認定講習や認定校などはありませんので注意しましょう。

3-3.資格を活用する方法

第1石油類に分類されている物質は、ガソリンスタンドを始めいろいろなところで取り扱われています。また、ガソリンなどはタンクローリーで全国各地に移送されているでしょう。

第1石油類を指定数量以上取り扱ったり貯蔵している場所では、危険物取扱者の選任が必要です。また、タンクローリーは消防法では移送取扱所に分類されますので、危険物取扱者の同乗が必要になります。そのため、タンクローリーの運転手は、危険物取扱者の資格保持者であることがほとんどです。
全国各地で求人があり、甲種や乙種4類を取得していれば転職や就職に役立つことでしょう。

3-4.試験勉強の方法

危険物取扱者の試験は、毎年大勢の方が挑戦します。特に、乙種4類は危険物取扱者の代表格であり、受験者数も他の類に比べると桁違いです。

試験勉強の方法には、独学や通信教材を利用するのが一般的であり、書店やインターネットショップにはたくさんの参考書や問題集が販売されています。
試験勉強のコツや試験の申し込み方などについては、こちらの記事にも詳しく記載されているので、ぜひ読んでみてください。

4.第1石油類に関するよくある質問

Q.第1石油類は、200リットル未満ならば無資格でも貯蔵や取り扱いは可能ですか?
A.消防法では可能になっていますが、自治体が独自に取り扱いや貯蔵に関する条例を定めている場合もあります。自治体の条例を確認したうえで、取り扱いなどをしましょう。

Q.第1石油類を少量保管しておきたいのですが、容器はどのようなものを使用すればいいですか?
A.専用容器が販売されていますので、そこに保管してください。

Q.危険物取扱者の資格は、甲種と乙種を同時に受験することはできるでしょうか?
A.都道府県ごとに試験日が異なりますので可能ですが、メリットはありません。甲種の受験資格があるならば、甲種を受験しましょう。

Q.危険物取扱者の乙種と甲種の違いはなんですか?
A.甲種は消防法で指定されている、すべての危険物の取り扱いや保安監督業務を行えます。乙種は取得した類の危険物の取り扱いや保安監督業務を行うことのできる資格です。

Q.第1石油類はどのような場所で取り扱われていますか?
A.ガソリンスタンドや石油プラント・塗装業者・化学薬品工場などで取り扱われていることが多いでしょう。

5.おわりに

いかがでしたか? 今回は第1石油類の特徴などを解説しました。第1石油類には、最も身近な危険物の1つであるガソリンが含まれています。ですから、危険物取扱者の試験でも出題されることが多いでしょう。引火点や消化方法などをよく覚えておくことが大切です。

タイトルとURLをコピーしました