危険物取扱者の年収はどのくらい? 収入アップのコツは?

危険物取扱者とは、危険物の取り扱いや保安監督業務を行うことのできる国家資格です。ガソリンスタンドで働く際に必要な資格、というイメージを持っている方も多いことでしょう。これ以外にも有資格者を必要としている職場は多く、転職や就職に有利な資格として、人気があります。取得すれば昇給ものぞめるでしょう。また、資格を活かして就職した場合の収入が気になる方も多いと思います。

そこで、危険物取扱者の年収について解説しましょう。

  1. 危険物取扱者の基礎知識
  2. 危険物取扱者の年収について
  3. 危険物取扱者の試験について
  4. 危険物取扱者に対するよくある質問

この記事を読めば、資格を取得すれば収入がどれだけ増加するかも分かりますよ。危険物取扱者の資格取得を目指している方は、ぜひ読んでみてくださいね。

1.危険物取扱者の基礎知識

はじめに、危険物取扱者とはどのような資格かということを解説します。取得すれば、どのような仕事ができるのでしょうか?

1-1.危険物取扱者とはどのような資格?

危険物取扱者とは、消防法という法律によって定められた「危険物」の取り扱いや保安監督業務を行うことのできる国家資格です。危険物とは、火災を起こす可能性が高い物質の総称で、貯蔵方法や取り扱い方も消防法で決められています。私たちの身近にある危険物としては、ガソリンや軽油・灯油などが有名です。

なお、危険物にはそれぞれ指定数量が定められており、それを超える量を扱ったり貯蔵する場合に、危険物取扱者の資格が必要になります。火災の危険が高い物質ほど指定数量は少なくなりますので、指定数量以上の危険物を貯蔵したり取り扱ったりしている場所は、皆様が思っている以上に多いのです。つまり、それだけ有資格者の需要もあります。

1-2.危険物取扱者の種類

前述したように、危険物取扱者の種類には甲・乙・丙の3種類があります。甲種を取得すれば、消防法で定められたすべての危険物の取り扱いや保安監督を行うことが可能です。乙種は、1~6類まで分かれており、取得した類の危険物を取り扱ったり保安監督業務を行うことができます。丙種は、危険物第4類のうちガソリンや灯油など限られた物質の取り扱いができる資格です。甲種や乙種と異なり、保安監督業務を行うことはできません。

甲種と乙種を取得し、6か月以上の実務経験を積めば、危険物保安監督者になることもできます。

1-3.危険物取扱者を必要としている職場

ここでは、危険物取扱者の選任が必要な職場の一例を紹介します。どのような職場があるのでしょうか?

1-3-1.ガソリンスタンド

危険物取扱者を求めている職場というと、ガソリンスタンドをイメージする方も多いことでしょう。ガソリンスタンドは指定数量以上のガソリンや軽油・灯油などを取り扱っています。ですから、最低1人は危険物取扱者の有資格者が必要です。危険物取扱者の代表格でもある、乙種4類(通称・乙4)を取得すれば、ガソリンスタンドで危険物取扱者として働くことができます。危険物取扱者の資格試験の中で、乙4だけ受験者が多いのは、それだけ危険物第4類を扱っている会社もたくさんあるからです。

1-3-2.工場

危険物を製造している工場・危険物を原料として製品を作っている工場・でも有資格者を求めています。工場では、取り扱っている危険物の種類もたくさんあるため、乙種の場合は複数の類を取得しておくと就職に有利でしょう。

1-3-3.販売所

指定数量以上の危険物を販売している場所でも、危険物取扱者の選任が必要です。ちなみに、ガソリンスタンドでも危険物を販売していますが、販売所とは消防法で「危険物を専用の容器に入れたまま販売している場所」と定められているため、ガソリンスタンドは販売所ではありません。販売所には塗料や有機溶剤を販売している業者などがあります。

1-3-4.タンクローリーの運転手

危険物を運ぶタンクローリーは消防法では移動タンク貯蔵所に分類されており、運転をするには危険物取扱者の同乗が必要です。大抵の場合、危険物取扱者の資格を持った方が運転手をしています。そのため、タンクローリーを所有している運送会社でも、有資格者の需要が高いのです。

1-3-5.ビルメン(ビルメンテナンス業務)業界

危険物取扱者の資格を取得していると、ビルメン業界に就職するときに有利といわれています。特に、ボイラー設備があるビルでは、燃料として指定数量以上の危険物を保管しているため、有資格者を優遇しているのです。

1-4.危険物取扱者の仕事

危険物取扱者の仕事は、

  • 危険物の取り扱い
  • 危険物貯蔵所の点検や整備(専門業者が点検・整備した後の確認も含む)
  • 消防設備士と協力し、消防設備の点検や整備を行う
  • 消防署への各種書類提出
  • 危険物の貯蔵所や取り扱いの機材を点検した結果の記録
  • 周辺住民との連絡
  • 危険物についての教育
  • 無資格者が危険物を取り扱う場合の監督

などを行います。職場によっては独自の仕事もあるでしょう。

1-5.危険物取扱者の資格を取得する方法

危険物取扱者の資格は、消防試験研究センターが主催する試験を受け、合格する必要があります。甲種は、大学で化学に関する単位を一定数取得することなど受験資格が必要ですので、センターのホームページを確認してください。乙種・丙種に受験資格は定められていません。誰でも受験することが可能です。

試験は、ほぼ毎月行われていますので、比較的チャレンジしやすいといえます。

2.危険物取扱者の年収について

この項では、危険物取扱者の資格を活かして働いた場合の年収について解説します。無資格の人と比べると、どのくらい収入にさがあるのでしょうか?

2-1.危険物取扱者の資格と年収の関係

危険物取扱者には、複数の種類があります。この中で、最も取得者数が少なく仕事の幅が広いのが、甲種です。乙種も複数習得していれば、それだけ働ける場所が多くなるでしょう。年収も、丙種だけ・乙種を1種類だけ取得・乙種を複数取得・甲種の順で高くなっていきます。また、経験も重要です。資格だけ持っていても経験がない場合は、就職が難しいこともあるでしょう。

危険物取扱者の資格を取得し、それを活かして仕事をしている方の平均年収は500万円といわれています。しかし、危険物取扱者の資格を取得すれば無条件にこの年収が得られる、というわけではありません。職場によっては乙種の場合は4種だけでなく複数の種類を取得した方がよいでしょう。
また、6か月以上の実務経験があれば危険物保安監督者の職務に就くことができます。危険物保安監督者に選任されれば、昇給や資格手当の増額がのぞめるでしょう。

2-2.資格手当について

アルバイトやパートもの方も、資格を持っていると優遇されることがあります。資格手当として、無資格の方と比べて時給が50~100円高い職場も珍しくないでしょう。
また、正社員の場合は数千~数万円の資格手当がつく職場も多いのです。危険物取扱者しか行えない仕事が増えれば、資格手当もアップすることでしょう。

2-3.危険物取扱者の勤務形態について

危険物取扱者の資格を活かして働きたい場合は、いろいろな勤務形態があります。アルバイトやパートでも好条件で働けることでしょう。また、正社員では夜勤がある仕事も珍しくありません。24時間操業の工場やビルメン(ビルメンテナンス業務)の場合は、3交代制の勤務形態のところもあります。夜勤があれば収入は増えますが、体力的にきつくなることでしょう。しかし、ライフスタイルに合わせて働き方が選べるのは、大きなメリットです。

2-4.危険物取扱者の将来性について

危険物取扱者の仕事がなくなることは、ほぼないでしょう。ただし、試験の回数が多いので、毎月のように新しい有資格者が誕生します。資格を取得するだけでなく、それを活かした仕事に就いて経験を積みましょう。そうすれば、年収もアップします。また、危険物乙種を取得した後一定期間実務経験を積むか、乙種を4種類以上取得すると甲種の受験資格が得られるので、条件を満たしたらぜひ、チャレンジしてみてください。

3.危険物取扱者の試験について

危険物取扱者の試験は、前述したように消防試験研究センターが主催し、毎月行われています。ホームページから電子申請も行えますので、申し込みは自宅からでも可能です。試験問題は、

  • 危険物に関する法令
  • 物理及び化学
  • 危険物の性質並びにその火災予防及び消火の方法 (丙種は燃焼及び消火に関する基礎知識)

の3科目になります。乙種をすでに取得している方が別の類を受験したい場合、法令と物理・化学が免除されるのでより取得しやすくなることでしょう。
試験勉強のコツなどは、こちらの記事に詳しく記載されているので、ぜひ読んでみてください。

4.危険物取扱者に対するよくある質問

Q.危険物取扱者の試験は、たまに低年齢で合格する方が話題になりますが、簡単なのでしょうか?
A.危険物取扱者の試験勉強は暗記が中心ですから、参考書を丸暗記すれば理解ができなくても合格できます。しかし、決して簡単な試験ではありません。合格率は丙種でも50%前後ですから、挑戦した方の半分は不合格になります。

Q.危険物取扱者の仕事は、危険手当などはつくのでしょうか?
A.仕事内容によってはつく職場もあります。

Q.危険物取扱者と一緒に取得しておくと有利な資格はあるのですか?
A.消防設備士や電気工事士・ボイラー技士などを取得しておくと、より有利でしょう。

Q.危険物取扱者の乙種をすべて取得すれば甲種と同じですか?
A.はい。ほぼ同じような条件で仕事ができます。

Q.危険物取扱者は1年に何度受験できるのでしょうか?
A.何回でも受験可能です。

5.おわりに

いかがでしたか? 今回は、危険物取扱者の年収についていろいろと解説しました。危険物取扱者の中で最も人気があるのは乙種4類であり、資格取得者もたくさんいます。より高額な年収をのぞむなら、できる仕事が多いにこしたことはありません。ぜひ乙種の他の類も取得したり、実務経験を積んで甲種にチャレンジしてみましょう。甲種を取得すれば資格を活かして働ける職場も増えますし、年収もアップしやすくなります。

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