危険物の取り扱いができる資格者を「危険物取扱者」といいます。「危険物取扱者になりたいけれど資格取得法がわからない」「免状の書き換え、更新がわからなくて不安」と悩む人は多いです。
そこで、危険物取扱者資格、免状、保安講習など詳しく解説します。危険取扱者の資格、免状について知りたい方、資格を取りたい方は必読です。
- 危険物取扱者資格について
- 危険物取扱者免状について
- 危険物取扱者免状の申請方法
- 危険物取扱者免状の書き換え・再交付について
- 危険物取扱者免状の更新と保安講習について
- 危険物取扱者の資格・免状に関してよくある質問
この記事を読むことで危険物取扱者の資格内容や免状についてわかります。取得した資格を持ち続けるためにも免状に関する知識は必要です。
1.危険物取扱者資格について
危険物取扱者とはどんな資格なのでしょうか。資格取得のためには危険物取扱者について知らなければなりません。これから、危険物取扱者の職務や目的、準拠する法律、種類など詳しく解説します。
1‐1.危険物取扱者の職務
危険物取扱者の職務は主に危険物の取り扱いです。危険物の取り扱いのほかに、定期点検、保安の監督も職務になります。ちなみに、危険物取扱者の種類によって取り扱える危険物が異なるのです。資格取得前に扱える種類を把握しておきましょう。
1‐2.危険物取扱者の目的・必要性
危険物を正しく、安全に取り扱うことが危険物取扱者の目的です。知識を持っていない人よりも危険物に関する知識を持っている人のほうが安心して管理・取り扱いを任せることができます。危険物取扱者は危険物に詳しい知識を持っている証拠です。危険物による事故を防ぐためにも危険物取扱者の存在が必要不可欠になります。
1‐3.危険物取扱者に準拠する法律
危険物取扱者に準拠する法律は「消防法」です。消防法の第3章の規定に基づいて、「危険物の規制に関する政令」が定められています。製造所・貯蔵所・取扱所の位置や構造、危険物の運搬、危険物保安監督者、危険物取扱者および危険物取扱者免状など大切な内容が記載されている政令です。
危険物の規制に関する政令:http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S34/S34SE306.html
1‐4.危険物取扱者資格の種類
国家資格の1つである危険物取扱者には乙種・丙種(へいしゅ)・甲種と3種類があります。それぞれどんな資格内容になっているのでしょうか。
1‐4‐1.乙種
乙種危険物取扱者は第1類~第6類のうち、免状が交付されている類の取り扱いができます。第1類~第6類までの危険物は以下のとおりです。
- 第1類…酸化性固体
- 第2類…可燃性固体
- 第3類…自然発火性物質および禁水性物質
- 第4類…引火性液体
- 第5類…自己反応性物質
- 第6類…酸化性液体
1‐4‐2.丙種(へいしゅ)
丙種(へいしゅ)危険物取扱者は第4類の引火性液体のうち、ガソリン・灯油・軽油・重油など特定の危険物が取り扱えます。取り扱いのほか、定期点検も可能です。
1‐4‐3.甲種
甲種危険物取扱者はすべての危険物の取り扱いができます。危険物の取り扱いのほか、立ち会いも可能です。
1‐5.危険物取扱者の職場・就職について
ガソリンスタンドや石油貯蔵タンク、化学工場、タンクローリーなどの施設が危険物取扱者の職場になります。一定量以上の危険物を取り扱い、保管している貯蔵所・製造所・販売所には危険物取扱者を設置しなければなりません。危険物に関連する場所では資格取得者が就職に有利です。そのため、就職・転職のために資格を取得する人が増えています。
2.危険物取扱者免状について
危険物取扱者として働くためには「免状」が必要です。では、一体免状とはどんなものなのでしょうか。危険物取扱者の概要や必要性、携帯義務について詳しく説明します。
2‐1.危険物取扱者免状の概要
危険物取扱者資格を取得したと証明する公文書が危険物取扱者免状です。甲種・乙種・丙種(へいしゅ)にわかれています。試験に合格した後、申請することで都道府県知事から交付されるものです。免状は運転免許証と同じサイズで表面に氏名・生年月日・本籍地の都道府県・顔写真などが設けられています。裏面には危険物取扱者講習の受講状況記入欄があるカード型です。
2‐2.危険物取扱者免状の必要性
就職・転職の際、危険物取扱者資格を取得しているあかしとして免状を提示しなければなりません。ほとんどの企業・会社が免状の提示を要求してくるでしょう。試験に合格しても免状を申請しなければ無駄になってしまいます。
2‐3.危険物取扱者免状の携帯義務について
危険物取扱者は免状を携帯する義務はありません。ただし、タンクローリーなど移動タンク貯蔵所によって危険物を運ぶ場合は免状を携帯した危険物取扱者の同乗が義務づけられています。免状を持って同乗しなければ法律違反になるのです。ただし、移動タンク貯蔵所に該当しない車両で運ぶ場合、危険物取扱者の同乗義務、携帯義務は必要ありません。
3.危険物取扱者免状の申請方法
危険物取扱者の試験をパスした後、必ず免状を申請しなければなりません。スムーズに申請するため、危険物取扱者免状の申請方法を把握しておきましょう。
3‐1.危険物取扱者免状の申請方法
試験に合格すると免状交付申請書および試験結果通知書が送られてきます。免状交付申請書に必要事項を記入して、既得免状・免状送付用封筒と一緒に申請先へ送付してください。申請方法は郵送になります。
3‐2.危険物取扱者免状の申請先
新規免状の交付は受験した都道府県の消防試験研究センター支部へ申請しなければなりません。東京都の場合は中央試験センターになります。
3‐3.危険物取扱者免状の料金
危険物取扱者免状の申請にかかる手数料は1種類につき2800円です。複数の種類を同時に申請する場合は、1種類ごとに申請書を作成して収入証紙を裏側に貼りつけなければなりません。また、免状の郵送を希望する人だけ392円の切手代が必要になります。詳しい内容は以下のURL、一般財団法人消防試験研究センターのホームページで確認してください。
一般財団法人消防試験研究センター:https://www.shoubo-shiken.or.jp/license/new.html
3‐4.その他
送られてきた免状交付申請書と試験結果通知書を切り離す人が多いです。しかし、2つを切り離す必要はありません。一般財団法人消防試験研究センターでも「免状交付申請書と試験結果通知書は切り離さないでください」と記載されています。もし、誤って切り離した場合は透明のセロハンテープでつなぎ合わせたうえで申請してください。
4.危険物取扱者免状の書き換え・再交付について
危険物取扱者免状の書き換えが必要になるケースがあります。また、免状をなくした場合はすぐに再交付を申請しなければなりません。危険物取扱者免状の書き換え、再交付について詳しく説明しましょう。
4‐1.書き換えの必要性
危険物取扱者免状は原則として10年に1回、写真の更新・書き換えをしなければなりません。書き換え=資格の有効期限の延長ととらえる人がほとんどでしょう。しかし、危険物取扱者の場合、免状に有効期限はありません。そのため、写真の書き換えをしなければ危険物取扱者の資格が失効するわけではないのです。ただし、写真の書き換え期限がすぎてしまえば証明効力がなくなります。また、氏名や本籍地、生年月日の変更にも免状の書き換えが必要です。
4‐2.書き換え方法概要
写真を書き換える場合、居住地または勤務地の都道府県、免状の交付を受けた都道府県の消防試験研究センターへ申請します。申請に必要なものは書換申請書・写真1枚(6か月以内に撮影したもの)・現在持っている免状です。申請手数料に1,600円が必要になります。
4‐3.再交付の必要性
危険物取扱者の免状をなくした場合、再発行してもらわなければなりません。再交付を申請すれば新しい免状が交付されます。また、破損や汚損によって免状の内容が確認できない場合も再交付が可能です。免状の写真書き換え期限がすぎても再交付の申請をすれば新しい免状が発行されますよ。
4‐4.再交付の方法概要
再交付の申請方法は書き換えとほとんど同じです。免状の交付を受けた都道府県、または書き換えをしたことのある都道府県の消防試験研究センターへ申請します。申請に必要なものは再交付申請書・写真1枚(6か月以内に撮影したもの)・本人確認ができる身分証明書です。申請手数料は1,800円かかります。
5.危険物取扱者免状の更新と保安講習について
危険物取扱者免状の更新は顔写真の書き換えだけです。資格の所有期限はありませんが、定期的に保安講習を受けなければなりません。そこで、保安講習について詳しく説明します。
5‐1.更新・講習の必要性
危険物取扱者として危険物を取り扱うためには、常に新しい知識を身につける必要があります。危険物の取り扱い作業や保安に関係する新しい知識、技能習得を目的としているのが「保安講習」です。保安講習は定められた期間内ごとに各都道府県知事がおこないます。
5‐2.保安講習を受けるべき人
保安講習を受けるべき人は以下の項目に当てはまる人です。
- 継続して危険物取り扱い作業に従事している
- 新たに従事する人、または再び従事する人
- 新たに従事する人で過去2年以内に免状交付または講習を受けている人
危険物取扱者の資格を取得していて、実際に危険物を取り扱う現場で働いていない人は受講しなくてもいいです。また、1と3に当てはまる人は前回保安講習を受けた日以降、最初の4月1日から3年以内、2に当てはまる人は従事した日から1年以内に受講しなければなりません。詳細は、各都道府県の危険物安全協会のホームページで確認できます。
5‐3.講習概要
危険物取扱者の保安講習では従事している危険物施設に当てはまる講習を受講しなければなりません。新しい知識を身につけるためにも、開催日時・開催場所・講習時間と概要をチェックしていきましょう。
5‐3‐1.開催日
危険物取扱者の保安講習は月に1回おこなわれています。開催日は都道府県によって異なるので、事前にホームページで確認してください。また、危険物取扱者として働いている人は会社や企業から指示されることもあるでしょう。
5‐3‐2.開催場所
開催場所は各都道府県の防災センターや職業訓練センター、消防本部などでおこなわれます。都道府県によって開催場所が異なるので、ホームページでチェックしてくださいね。
5‐3‐3.講習時間
講習時間は午前の部と午後の部にわかれどちらかを受講することになります。午前の部は9時30分~12時30分まで、午後の部は13時30分~16時30分とおよそ3時間の講習になるでしょう。講習時間も都道府県によって異なります。ちなみに、受付時間も午前と午後で違うので気をつけてください。
5‐4.更新・保安講習の料金
保安講習の料金は4,700円です。都道府県の警察署や県庁の地下総合売店などで領収証紙を購入します。銀行での手続きはおこなっていません。
5‐5.申し込み方法
保安講習の申込場所は各都道府県内の消防署や消防出張所、危険物安全協会になります。直接提出でもいいですが、郵送でも受付可能です。ただし、都道府県によっては協会窓口で申請書の受付をしていないところもあります。郵送の場合、申請書の記入もれがないかどうか徹底的に確認してくださいね。
5‐6.注意点
保安講習が面倒だから…と受けない人がいます。しかし、危険物取扱者は危険物を安全・安心に取り扱い、正しい方法で保管する大切な役割です。きちんと保安講習を受けなければ危険物を取り扱う資格はありません。また、保安講習を受けなければ消防法違反とみなされ、違反点数がつけられてしまいます。違反点数が積み重なると危険物取扱者の免状返納命令が出されるでしょう。せっかく合格して取得した危険物取扱者資格が無効になります。
6.危険物取扱者の資格・免状に関してよくある質問
危険物取扱者の資格、免状に関してよくある質問を5つピックアップしました。危険物取扱者の資格取得を考えている人、免状について疑問を持っている人も参考にしてください。
6‐1.危険物取扱者の免状に使われる写真は?
危険物取扱者の免状に使われる写真は証明写真と同じく、はっきりしている写真が好ましいです。サイズは縦4.5cm×横3.5cmになります。
6‐2.合格後、申請期間を過ぎたら免状は申請できないのか?
合格後、申請期間をすぎても免状の申請はできます。ただし、交付されるまで時間がかかるでしょう。素早く免状を得るためにも、期間中に申請をしてください。
6‐3.書き換え・再交付の申請書はどこで入手すればいいのか?
書き換え、再交付に必要な申請書は各都道府県の消防試験研究センター、または中央試験センター(東京)で入手できます。また、都道府県によっては消防本部・消防署でも配布されているでしょう。ちなみに、一般財団法人消防試験研究センターでも申請書のダウンロードが可能です。
ダウンロードページ:https://www.shoubo-shiken.or.jp/license/docs.html
6‐4.危険物取扱者免状の番号は?
危険物取扱者免状の番号は5桁、危険物取扱者免状の交付に必要になるのが12桁の番号です。免許番号は取得したあかしになります。また、1度取得すれば写真の書き換えをしても番号は変更されません。
6‐5.保安講習の申し込みに必要な書類は?
保安講習の申し込みに必要な書類は申請書、危険物取扱者免状です。郵送の場合、受講手数料を支払ったあかしになる領収証紙を申請書に貼りつけなければならないケースもあります。詳細は、各都道府県の消防署、または消防試験研究センターに問い合わせてください。
まとめ
危険物取扱者は1度取得すれば永久に所有できる資格です。ただし、危険物をより安全に取り扱うため定期的に講習を受けなければなりません。また、10年に1回の写真書き換えも必要です。あらかじめ、危険物取扱者の免状や書き換え、保安講習について把握しておけば、有効的に資格が活用できるでしょう。