湿度と静電気の意外な関係。冬になると静電気が発生しやすい理由とは?

秋が深まるにつれて、空気も乾燥してきます。
湿度が低くなるほど発生しやすいのが静電気。
冬になると不快感が怖くてドアノブにも触れない、という方もいると思います。
ではなぜ、湿度が低くなると静電気が発生しやすくなるのでしょうか?
そこで、今回は湿度と静電気の関係をご説明します。
一口に湿度と言ってもいろいろな種類があるのです。
今回は、湿度の種類についてもご紹介しましょう。
危険物を管理する上で、静電気の防止はとても大切です。
危険物取扱者の資格を持っている方や資格取得のために勉強中の方は、ぜひこの記事を読んでみてくださいね。

目次

  1. 湿度とは?
  2. 静電気とは?
  3. 静電気と湿度の関係
  4. 静電気と危険物の関係
  5. 静電気を除去するにはどうしたらいいの?
  6. 静電気をためやすい服装、ためにくい服装とは?
  7. おわりに

1.湿度とは?

湿度とは、空気中に含まれている水分の量を指します。
しかし、一口に湿度と言ってもいろいろな計測の仕方があるのです。
この項では、湿度の種類をご紹介していきましょう。

1-1.絶対湿度

絶対湿度とは、1立方メートルの湿潤空気中に含まれる水蒸気の量のことです。
気温は関係なく、単位はg/m3で表します。

1-2.相対湿度

こちらは、現在の大気中に含まれている水蒸気の量が、最大値(飽和水蒸気量)の何%にあたるかを表したものです。
私たちが一般的に言う「湿度」とは、この相対湿度を指します。
飽和水蒸気量は温度によって変わるため、相対湿度を測るには必ず温度を参照にするのです。
ですから、天気予報などでは温度と湿度がセットで表示されます。

1-3.実効湿度

これは、過去数日の湿度を考慮した湿度のこと。
木材の乾燥度をしめしたいときや、乾燥注意報、さらに火災注意報の目安になります。
たとえば、数日間乾燥した日が続けば相対湿度は下がってくるのです。
逆に、今日の湿度が低くても前日まで雨が降り続いていれば実効湿度は高くなるでしょう。
実効湿度が50%~60%を下回ると、火災が発生しやすくなると言われています。

2.静電気とは?

静電気とは、静止した電荷に生じる電気のことです。
と言ってもよくわからない方も多いでしょう。
ものとものとが触れ合うと、必ず摩擦(まさつ)が生まれます。
物理の授業で習った方も多いでしょう。
この摩擦(まさつ)によって生じる電気が静電気になります。
プラスチック製の下敷きをこすって髪の毛を逆立てて遊んだ、という経験がある方も多いでしょう。
これは、下敷きをこすったことによって下敷きが帯電したために起こる現象です。
また、静電気は「静」の字がつくため、微弱な電気と思う方もいますが、それは間違い。
雷も静電気の一種なのです。
また、静電気で痛みを感じる瞬間には、数百ボルトの電圧が発生している可能性もあります。

3.静電気と湿度の関係

静電気はものとものとの摩擦(まさつ)によって発生します。
ですから、季節に関係なく発生するのです。
しかし、静電気を意識するのは空気が乾燥する冬が多いでしょう。
電気は、物質によって伝わりやすかったり伝わりにくかったりするのです。
たとえば、水は電気を通しますが、ゴムなどの「絶縁体」と呼ばれるものは電気を通しません。
日本では、季節によって湿度が大きく変化します。
人体も電気を通しますが、水と比べれば電気を通しにくいのです。
ですから、湿度が高いと発生した静電気の多くが空気中に逃げてしまい、人体に伝わるのはほんの一部でしょう。
なので、発生した静電気の量は同じですが、夏と冬では体に伝わる量が違うのです。

4.静電気と危険物の関係

危険物取扱者の資格保持者や資格取得のために勉強をしている方はお分かりだと思いますが、危険物の中には常温でもわずかな火種で発火するものもあります。
一例をあげると、ガソリンです。
ガソリンは危険物第4類に指定されている引火性液体で、マイナス40度以上で引火します。
つまり、常温でも火種があれば一気に燃え上がるのです。
そのうえ、ガソリンは気化しやすいため入っている容器に火を近づけても、燃え上がる可能性があるでしょう。
そして、静電気の「パチパチ」という刺激は火花放電という現象です。
つまり、ガソリンがある場所で静電気が発生すると生じた火花によって、発火する危険性があります。
ですから、セルフサービスのガソリンスタンドには、静電気を除去する器具が備えつけられているのです。
このように、静電気の火花によって発火したり爆発したりする可能性がある危険物は、ガソリンだけではありません。
そのため、冬の危険物管理には静電気対策も必要なのです。

5.静電気を除去するにはどうしたらいいの?

静電気を除去するには、専門の器具を使わなければならないと思っている方も多いでしょう。
しかし、体内にたまった静電気を放電するのは意外と簡単です。
たとえば、壁に手をついても静電気は放電できます。
また、手を洗っても静電気は除去できるでしょう。
ですから、グッズがなくても慌てる必要はありません。
ただし、危険物の中には水と反応して爆発するものもあります。
手を洗ったらしっかりと水をきって危険物を取り扱いましょう。
そのときに、ハンカチでごしごしこすってしまうとまた静電気がたまってしまいます。
「これから危険物を扱う」という場合は、温風などで手を乾かしてください。

6.静電気をためやすい服装、ためにくい服装とは?

静電気は、服装によってもたまりやすくなったりたまりにくくなったりします。
静電気がたまりやすい服とは、「摩擦(まさつ)が発生しやすい繊維」のこと。
一例をあげるとウールです。ウールは、たくさんの起毛があります。
この起毛が下着などとこすれ合うと静電気が発生しやすくなるのです。
ですから、危険物を取り扱う際はできるだけつるつるした服を着るようにすれば、静電気も発生しにくくなるでしょう。
また、静電気の発生を防ぐ柔軟剤なども市販されていますから、利用してみるのもお勧めです。
静電気が発生すると困るのは、危険物を扱っている職場だけではありません。
精密機械を製造する工場などは、静電気が服に発生するとほこりを吸い寄せてしまいます。
ですから、部屋の湿度を高くするなど工夫が必要でしょう。
特に、相対湿度が低くなった場合、空気はより乾燥しており、静電気が発生しやすくなっています。
従業員の更衣室などに加湿器を設置して、湿度をあげるだけでも洋服に静電気がたまりにくくなるでしょう。

7.おわりに

いかがでしたか?
今回は静電気と湿度の関係についてご説明しました。
まとめると

  • 静電気は湿度が低い日ほど発生しやすくなる。
  • 静電気の火花放電は危険物を発火させる違憲性がある。
  • 静電気を除去するグッズがなくても手を洗うだけでも静電気は除去できる。
  • 静電気を発生させたくない場合は、つるつるとした服を着よう。

ということです。
静電気が原因の火災は、毎年意外に多く発生しています。
危険物ではなくても、綿やぼろ布など燃えやすいものの近くで静電気を発生させることは避けましょう。
また、セルフサービスのガソリンスタンドで給油をする場合は、給油口を開けっぱなしにしておけばガソリンが揮発する場合があります。
そこに静電気が原因の火花が散れば、給油口から火が吹きあがることもあるでしょう。
ですから、必ず静電気を除去する器具にタッチしてから給油を始めてください。
そうすれば、安全に給油できるでしょう。

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