ガソリンの取り扱いができる資格は? 資格がなければ何もできない?

危険物取扱者の業務内容

ガソリンは車やバイクの燃料として、私たちの生活に欠かせないものです。その一方で大変揮発性が高く引火点が低いので、扱い方を間違えると、火災の原因にもなります。

そのため、一定量以上のガソリンの取り扱いや保管には、危険物取扱者の資格が必要です。では、資格を取得するにはどうすればいいのでしょうか?

そこで、今回はガソリンの取り扱いや保管ができる、危険物取扱者について解説します。

  1. ガソリンの重要性と危険性について
  2. ガソリンを取り扱ったり保管したりする場所とは?
  3. 危険物取扱者について
  4. ガソリンの取り扱いに関するよくある質問

この記事を読めば、資格を取得するメリットや方法もよく分かることでしょう。興味がある人は、ぜひ読んでみてくださいね。

1.ガソリンの重要性と危険性について

ガソリンは原油から作られる石油製品の一種で、バイクや車の燃料としてなくてはならないものです。このほか、塗料やゴム製品などの材料にも、使われています。ガソリンは非常に揮発性が高く、密閉された容器に入れておかないと常温でも蒸発してしまい、危険です。

また、引火点が21℃と低いので、常温でも火気を近づければ火災の原因になります。そのため、ガソリンは灯油とは異なり、ポリタンクで販売されていません。

なお、ガソリンは消防法によって「危険物第4類」に指定されています。危険物に指定された物質にはそれぞれ指定数量が定められており、それを超えた量を保管したり取り扱ったりする場合は危険物取扱者を選任し、消防法に沿って行わなくてはなりません。ちなみに、ガソリンの指定数量は200Lです。

自治体によっては危険物の管理方法や取り扱い方に独自の決まりを設けているところもあります。

2.ガソリンを取り扱ったり保管したりする場所とは?

この項では、ガソリンの販売や取り扱い、保管している場所などについて解説します。どのような違いがあるのでしょうか?

2-1.給油取扱所

ガソリンは、製油所などを有している元売り会社や元売り会社と契約を結んだ特約店、特約店からガソリンを仕入れて消費者に販売する販売店などで販売されています。ガソリンスタンドは、特約店、もしくは販売店に当たるのです。消費者は、バイクや自動車、携帯容器などを持参して、ガソリンを購入します。

なお、ガソリンスタンドは消防法上では給油取扱所と呼ばれており、このほかに、ボイラーの燃料などを保管しておく一般取扱所などがあるのです。

2-2.製造所

ガソリンは原油を精製することによって作られます。2-1.で解説したようにガソリン元売り会社の中には、自前の製油所を持ち、ガソリンを製造しているところも珍しくありません。製造所も指定数量以上のガソリンを取り扱っているため、消防法の規制を受け、危険物取扱者の選任が必要です。

2-3.貯蔵所

貯蔵所とは、文字どおりガソリンを貯蔵しておく場所です。ガソリンスタンドでは一般的に地下に貯蔵所を設けます。また、ガソリンスタンドよりも小規模な給油施設は簡易貯蔵所と呼ばれるのです。

このほか、ガソリンを運ぶタンクローリーは、移動タンク貯蔵所と呼ばれます。これらの施設も危険物取扱所の選任が必要です。なお、日本には数少ないのですが、石油パイプラインは移送取扱所扱いとなり、貯蔵所ではありませんので注意しましょう。

2-4.個人で保管する場合は?

さて、これまで指定数量(200L)以上のガソリンを貯蔵したり取り扱ったりする設備を紹介しました。これ以外にも、ガソリンは車やバイクに入れて保管されます。これは多くても50L程度などで、特別な資格などはいりません。携帯容器や缶詰も同様です。しかし、これらに入ったガソリンを保管する場合も、火気を避けて密閉して保管しましょう。

3.危険物取扱者について

この項では、ガソリンの保管や取り扱いを行うことができる危険物取扱者について解説します。どのような資格なのでしょうか?

3-1.危険物取扱者の概要

前述のとおり、危険物取扱者とは、消防法で定められた危険物の取り扱いや保安監督業務を行うことのできる資格です。危険物取扱者には3つの資格区分があり、概要は以下のとおりになります。

  • 甲種:すべての危険物の取り扱いや保安監督業務を行うことが可能
  • 乙種:1~6類に分かれており、取得した類の危険物の取り扱いや保安監督業務を行うことが可能
  • 丙種:危険物第4類に指定されている引火性液体のうち、ガソリンや灯油など一部の物質の取り扱いができる。ただし、保安監督業務は行えない

このうち、ガソリンの保安監督業務や取り扱いができるのは、甲種・乙種4類・丙種(取り扱いだけ)です。

3-2.資格取得の方法

危険物取扱者の資格は、消防試験研究センターが主催する試験を受けて合格すれば取得できます。特定の学校を卒業したり、講習を受けたりして取得することはできないので、注意しましょう。なお、乙種と丙種は受験資格が定められていないので、学歴・職歴・性別・年齢問わず試験を受けることができます。

そのため、学生から社会人まで毎年多くの人が受験する人気の資格です。ただし、甲種は、大学で化学に関する単位を一定数取得したり、乙種を複数取得したりしなければ受験できません。詳しくは、センターのホームページを参考にしてください。

3-3.資格を取得するメリット

危険物取扱者の資格を取得すれば、前述したような取扱所や貯蔵所で常に一定の需要があります。特に、ガソリンは取り扱ったり貯蔵していたりする施設も多いので、資格を取得すれば転職にも役立つでしょう。また、資格を取得すればアルバイトでも時給がアップしたり、数千円の資格手当がついたりします。

3-4.資格取得の手順や勉強方法

危険物取扱者の試験は、消防試験研究センターが主催し、1年に複数回行われています。東京や大阪のような大都市の場合は、毎月試験が行われているところもあるでしょう。ですから、比較的挑戦しやすい資格です。

中でも乙種4類、通称乙4は受験資格も定められていないので、幅広い年代で人気があります。乙種4類の資格を取得したいと考えている人は、ぜひこちらの記事も併せて読んでみてください。

4.ガソリンの取り扱いに関するよくある質問

Q.ガソリンはペットボトルなどで保管はできませんか?
A.定められた携帯容器以外に入れると容器が変質し、ガソリンが外にもれます。絶対にやめましょう。

Q.ガソリンを燃料にする用途で蓄えている場合は、貯蔵所ではないのですか?
A.給油目的ならば貯蔵所、燃料にする場合は取扱所扱いになります。

Q.ガソリンスタンド以外でガソリンを購入することはできるでしょうか?
A.ガソリンの缶詰などは通販もされています。

Q.ガソリンと灯油を一緒に保管しておくことはできるのですか?
A.できますが、少量をそれぞれの保管容器に入れ、風通しのよい場所に置いておきましょう。

Q.ガソリンスタンドで働く場合は、必ず危険物取扱者の資格がいりますか?
A.すでに資格取得者が働いている場合は必要ではありませんが、取得していた方が仕事の幅が広がるでしょう。

おわりに

今回はガソリンの取り扱いや保管に関する資格について解説しました。ガソリンは灯油よりも引火点が低く、同じ石油製品であっても、保管にはより注意が必要です。個人で保管をする場合は、専用の容器に入れて火気のない場所で保管しましょう。

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