【最新版】危険物の屋内貯蔵所の基準は? 構造や設備について詳しく解説

危険物取扱者の業務内容

「危険物を保管するために、屋内貯蔵所を設けたいが基準について知りたい」と思っている人はいませんか? 屋内で危険物を取り扱ったり貯蔵したりしたい場合は、消防法の基準に従った建物を作る必要があります。

また、中に保管する危険物にも一定の決まりがあるのです。さらに、危険物取扱者の資格試験に屋内貯蔵所に関する問題が出る可能性もあります。

そこで今回は、危険物の屋内貯蔵所の基準について解説しましょう。

この記事を読めば、屋内貯蔵所に保管してある危険物を管理できる資格などについてもよく分かります。危険物取扱者の資格取得を目指している人も、ぜひ読んでみてくださいね。

危険物屋内貯蔵所とは?

危険物の屋内貯蔵所とは、屋内で危険物を取り扱ったり保管したりする施設です。ちなみに、屋内で危険物を販売すると販売取扱所扱いになります。

また、屋内に専用のタンクを置き、その中に危険物を保管する場合は屋内タンク貯蔵所となり、設置基準が変わるので一緒にしないように注意しましょう。

危険物屋内貯蔵所の構造基準

危険物は、火災を発生させる危険性の高い物質です。そのため、危険物を安全に保管できるよう消防法によって貯蔵所の構造基準が定められています。この項では、構造基準を詳しく解説しましょう。

軒高(のきだか)・床面積の基準

危険物の屋内貯蔵所は、軒高6m未満・床面積1,000㎡以下の平屋であることと決められています。2階建以上の建物、地下室のある建物は屋内貯蔵所にすることはできません。

天井と屋根の基準

危険物の屋内貯蔵所の屋根は、軽金属などの不燃性材料を用い、天井は設けません。これは、万が一爆発事故などが起きた際、爆風が天井から抜けるようにするためです。かわら屋根やスレートぶきの屋根の建物などは貯蔵所にすることができません。

床や窓などの基準

危険物の屋内貯蔵所の・柱・床は、鉄筋コンクリートなどの不燃材料を使うことが決められています。また、床は危険物が床材や地下に染みこんでいかないような造りにした上で傾斜をつけ、こぼれた危険物がたまる「ためます」も必要です。むき出しになる梁は、コンクリートなどの不燃材料を用いなければなりません。窓は、網入りガラスを用います。

保有空き地の基準

保有空き地とは、危険物貯蔵所の周囲に設ける空き地のことです。万が一爆発や火災が起きたときに備えて、指定数量以上の危険物を保有する場合、空き地を設けることが定められています。空き地の幅は、以下のとおりです。

  • 指定数量の5倍まで:耐久構造:規定なし・それ以外:0.5m
  • 指定数量の5倍超え10倍以下:耐久構造:1m・それ以外1.5m
  • 指定数量の10倍超え20倍以下:耐久構造:2m・それ以外3m
  • 指定数量の20倍超え50倍以下:耐久構造:3m・それ以外5m
  • 指定数量の50倍超え200倍以下:耐久構造:5m・それ以外10m
  • 指定数量の200倍超え:耐久構造:10m・それ以外15m

危険物屋内貯蔵所の設備基準について

危険物屋内貯蔵所に設置が義務づけられている設備は、以下のようなものです。

  • 避雷針:危険物を指定数量の10倍以上保管や取り扱いする場合は、避雷針を設ける
  • 蒸気排出設備:引火点が70度未満の危険物を保管する場合は、蒸気排出設備を設ける
  • 採光設備:照明や天窓など、危険物を取り扱うのに必要な明るさを確保できる設備を設置する

危険物屋内貯蔵所の管理に必要な資格

この項では、危険物の屋内貯蔵所を管理するために、必要な資格を紹介します。

危険物取扱者について

屋内貯蔵所で指定数量を超えた危険物を保管・取り扱いする場合は、危険物取扱者の選任が必要です。なお、自治体によっては独自の条例で指定数量未満の量を貯蔵していても、選任が必要になっているところもあります。屋内貯蔵所内で危険物を保管したい場合は、一度自治体の決まりを確認してください。

危険物取扱者の職務

危険物取扱者の職務は、危険物だけでなく屋内貯蔵所自体の定期点検も含まれます。屋内貯蔵所の点検については、消防法で定められた決まりはありませんが、自治体によっては条例で独自の決まりを設けているところもあるでしょう。ですから、最寄りの消防署などで、点検の必要性や内容の有無などを確認してください。

危険物取扱者の資格取得方法

危険物取扱者の資格は、消防試験研究センターが主催する試験を受け、合格すれば取得できます。

危険物屋内貯蔵所に関するよくある質問

この項では、危険物屋内貯蔵所に関するよくある質問を紹介します。

Q.既存の建物を改造して屋内貯蔵所にすることはできるでしょうか?
A.はい。構造の基準を満たせば可能です。

Q.屋内貯蔵所に貯蔵できる危険物は1種類だけでしょうか?
A.類の異なる危険物を同時に貯蔵するのは基本的に禁止ですが、消防法で認められているもの(第1類と第6類など)は、1m以上離して貯蔵することを条件に認められます。

Q.屋内貯蔵所内では、容器入りの危険物は自由に置くことは可能ですか?
A.積み上げる場合は、高さ3m以下にする決まりがあります。それ以外は細かい決まりはありません。

Q.屋内貯蔵所には、危険物以外置くことはできないのですか?
A.はい。原則として危険物だけを保管してください。

Q.危険物屋内貯蔵所は、指定数量未満の危険物を保管する場合は設置する必要はないでしょうか?
A.原則としては必要ないのですが、自治体によっては指定数量未満でも貯蔵所を設けるように条例で定めているところもあります。

まとめ

今回は危険物の屋内貯蔵所の構造基準などを解説しました。危険物の販売所や屋内タンク貯蔵所などと混同しやすいので、試験勉強をする場合は基準の違いなどをしっかりと覚えておきましょう。また、危険物取扱者として屋内貯蔵所を管理する場合、危険物の保管状況だけでなく建物の状態や設備の劣化具合などを定期的に確認することが大切です。

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