引火点と発火点の特徴や違いとは? 間違えないように覚えましょう。

危険物取扱者の資格を取得するために勉強していると、「発火点」と「引火点」という言葉をよく目にします。では、この発火点と引火点の違いはなんでしょうか? よく似た言葉ですが、発火点と引火点を間違えると事故につながります。

そこで、今回は発火点と引火点の特徴や違いをご紹介しましょう。身の回りにある灯油などの危険物を取り扱う際にも、この2つを知っておくと便利です。また、危険物取扱者の資格取得を目指している方は必ず特徴や違いを覚えておきましょう。

  1. 引火点とは?
  2. 発火点とは?
  3. 引火点と発火点の違いとは?
  4. 引火点と発火点の違いとは?
  5. 石油類と引火点について
  6. おわりに

1.引火点とは?

引火点とは、可燃性蒸気が爆発下限値の濃度に達する温度のことです。といっても、意味が分からない方も多いでしょう。もう少し、分かりやすく説明していきます。

サラダ油などの食用油は熱すれば火がつきますが、常温の状態で火を近づけても着火しません。このように、「火を近づけた場合に着火する最低の温度」が引火点なのです。ちなみに、引火する場合は物質そのものではなく、物質から発せられた可燃性蒸気に火がつきます。可燃性蒸気は常に物質から発生しているのですが、引火点に達しない場合は火を近づけても着火しません。

また、危険物第4類に分類される「引火性液体」は、その危険性を引火点によって定義しています。特に、石油類は引火点によって第1~第4石油類に分類されているのです。

2.発火点とは?

発火点とは、火の気がなくても発火する最低温度のことです。もう一度食用油を例にとって、説明しましょう。食用油は340度~360度が発火点です。つまり、この温度まで熱するとたとえ火を近づけなくても自然に発火します。

「あげものをしていて、目を離したら鍋から火が上がっていた」という現象は、食用油が発火点に達したからです。毎年これが原因で火災がおこっています。ですから、油を火にかけているときはその場を離れてはいけないのです。危険物の中は、発火点が低いものがあります。「黄りん」の発火点は30度。これは、常温でも発火する危険性があるのです。

また、物質の中には特定の物質と結びつくと熱を発してやがて発火するものもあります。このようなものは、取り扱いに注意しなければなりません。特に、危険物第4類に分類されている「動植物油類」は、酸化熱によって自然発火します。

つまり、動植物油類をぞうきんなどで拭いてそのままにしておくと空気と油が結びついて酸化し、やがて熱を持って発火することもあるのです。ですから、危険物に指定された物質の保管は厳重に行ってください。

3.引火点と発火点の違いとは?

では、ここまでの内容を踏まえて引火点と発火点の違いを説明しましょう。いったいどのような違いがあるのでしょうか?

3-1.温度の違い

物質の種類にもよりますが、引火点のほうが発火点より低いのが普通です。中には、引火点がマイナスの物質もあります。引火点の低い物質は、「火気厳禁」で保管されることが多いでしょう。

3-2.火が必要かどうかの違い

物質が引火点に達しても、火がなければ着火しません。ですから、引火点が低い物質でも火気厳禁で保管すれば安全です。しかし、発火点はその温度まで上がってしまえば火の気がなくても発火します。ですから、引火点よりも発火点の管理が大切な物質もあるでしょう。

また、物質によっては特定の物質と結びついて熱を持つものもあります。それが、発火点に達すれば着火するでしょう。つまり、物質によっては一緒に保管する物質にも気をつけなくてはなりません。

3-3.物質が発火点に達すると……?

物質が発火点に達すると、着火します。つまり、火の気がなくても火事になる可能性があるのですね。この現象を「自然発火」といいます。

発火点は大抵の場合100度を超えていますが、前述した黄りんのように発火点が低いものもあるのです。さらに、特定の物質同士が結びついて発熱する場合は、たとえ危険物でなくても火災が起こしやすいものもあるでしょう。

一例をあげるとたい肥です。たい肥は、微生物の働きによって熱を持ちます。寒い冬に、たい肥から湯気が上がっている様子を見たことがある方もいるでしょう。あれは、たい肥が発熱しているからです。このたい肥に燃えやすい物質が混ざっていると、熱によって発火する可能性もあります。海外では、雑多に集められたごみの山が自然発火した例もあるのです。つまり、身近なものも発火点には十分注意した方がよいでしょう。

4.燃焼点について

引火点、発火点と説明してきたので、燃焼点についても説明しておきましょう。燃焼点とは聞きなれない名前ですが、燃焼が継続するために必要な温度を指します。燃焼点に達していなければ、たとえ着火しても燃え続けていられません。それを利用したのが、水による消火です。

水で物質の温度を下げれば火は消えます。ですが、危険物の中には水をかけた際に反応して爆発を起こす物質もあるのです。ですから、危険物を消火する場合は水による冷却消火のほかに、砂による窒息消化や中和剤による消火といった方法をとります。

5.石油類と引火点について

危険物第4類には、「引火性液体」が指定されています。引火性液体とは文字どおり引火しやすい液体のこと。つまり、引火点が低く火を近づければすぐに着火する液体のことです。灯油やガソリンといった私たちの身近にあるものも、この危険物第4類に指定されています。特に石油類は、引火する温度によって以下のように区分されているのです。

  • 第1石油類 引火点が21度未満
  • 第2石油類 引火点が21度以上70度未満
  • 第3石油類 引火点が70度以上210度未満
  • 第4石油類 引火点が210度以上250度未満

最も引火温度の高い第4石油類でも、250度以上になれば引火します。食用油より100度以上低いですね。

また、21度といえば、常温。つまり、第1石油類を保管する場合は絶対に火気を近づけないことです。火気というと、マッチやライターをイメージしますが静電気やまさつで発火することもあります。ですから、取り扱ったり保管したりする場合は静電気が起きないように注意しなくてはいけません。家庭で灯油や石油製品を扱う際も、高温になりすぎないように注意しましょう。

特に夏場は直射日光が当たるところに石油製品を保管しておけば、何かのはずみで引火する危険性も高くなります。

6.おわりに

いかがでしたか? 今回は、発火点と引火点の特徴や違いをご紹介しました。
まとめると

  • 引火点とは火気を近づければ着火する温度
  • 発火点とは火気がなくても着火する温度
  • 特定の物質同士が結びついて熱を持つと、発火点に達して着火する場合がある
  • 危険物に指定されていない物質でも、熱を持てば自然発火することもある

ということです。つまり、引火点や発火点が低い物質ほど厳重に保管しなければなりません。特に第4類危険物に指定されている引火性液体の中には、常温の状態でも引火するものが多いのです。ですから、灯油やガソリンを携帯する際も専用容器に入れる必要があります。

また、引火性液体は一般家庭にもあるのです。灯油やガソリンが代表的なものですが、それ以外にも軽油や消毒用のアルコール、ベンジンなども引火性液体。ですから、必ず専用のケースに入れて保管しましょう。東日本大震災が発生した際、携帯用のガソリン保管ケースの需要が一気に高まりました。これもまた、ガソリンの引火点が低いためです。