有機溶剤作業主任者とはどんな資格? 危険物取扱者との違いは?

有機溶剤とは、ほかの物質を溶かす性質のある有機化合物の総称です。
印刷や塗装などいろいろなところで使われていますが、閉鎖された空間で取り扱っていると中毒を起こす危険もあります。
そこで、有機溶剤を使って作業をする職場には「有機溶剤作業主任者」を配置しなくてはなりません。
今回は、この有機溶剤作業主任者についてご説明します。
有機溶剤の中には危険物に指定されているものもありますが、危険物取扱者との違いは何でしょうか?
有機溶剤作業主任者の資格取得を考えている方は、ぜひ読んでみてくださいね。

目次

  1. 有機溶剤とは?
  2. 有機溶剤作業主任者とはどんな資格?
  3. 有機溶剤作業主任者と危険物取扱者の違いとは?
  4. おわりに

有機溶剤作業主任者って?

1.有機溶剤とは?

有機溶剤とは?

有機溶剤作業主任者についてご説明する前に、まずは有機溶剤についてご説明しましょう。
有機溶剤は、大変便利ですが危険性の高い物質なのです。

1-1.有機溶剤って何?

有機溶剤とは、前述したようにほかの物質を溶かす性質のある有機化合物の総称です。
油や蝋(ろう)、樹脂(じゅし)など水に溶けないものを溶かすために用いられることが多いでしょう。
また、塗料や洗剤として使われる有機溶剤もあります。
ですから、有機溶剤を使用している職場はたくさんあるのです。
有機溶剤は液体ですが、大変蒸発しやすく常温でも容器のふたを開けておけばどんどん蒸発します。
つまり、密閉された空間で有機溶剤を使っていると、空間の中で気体となった有機溶剤が充満しやすいのです。

1-2.有機溶剤の危険性とは?

有機溶剤の中には、人体に有害な物質がたくさん入っています。
液体の状態であれば、誤飲したり皮膚にたくさんついたりしなければ問題ないでしょう。
しかし、気体になった有機溶剤は空気とともに肺に入りめまいや頭痛、吐き気といった中毒症状を引き起こします。
ラッカーなどの塗料を室内で使っていて、臭いで気分が悪くなったという経験をした方もいるでしょう。
少量ならばそのくらいの被害で済みますが、多量の有機溶剤を使っている職場では中毒症状で死亡することもあります。
つまり、有機溶剤は扱い方を間違えると大変危険なものなのです。

1-3.有機溶剤だと分かりにくいものも増えている

有機溶剤は、単独だと臭いの強いものが多いです。
しかし、別の物質と混ぜてしまえば臭いも少なくなり、有機溶剤だと分かりにくくなります。
現在、有機溶剤を使用している職場の中には、このような有機溶剤と別の物質を混ぜた「混合溶剤」を使用しているところも多いのです。
ですから、「有機溶剤と知らずに使っていて中毒を起こした」という例も、報告されています。

2.有機溶剤作業主任者とはどんな資格?

有機溶剤作業主任者とはどんな資格?

では、この項では、有機溶剤作業主任者についてご説明します。
どのような資格で、どうすれば取得できるのでしょうか?

2-1.有機溶剤作業主任者とは?

有機溶剤作業主任者とは、労働安全衛生法によって定められている作業主任者のひとつ。
つまり、国家資格です。
その役割は、有機溶剤による身体的な被害を防止するための指揮や監督をすること。
分かりやすくいうと、室内など閉鎖された空間の中で有機溶剤を使った作業を安全に進められるように、指導するのです。
有機溶剤を使って仕事をしている職場はたくさんあるので、有機溶剤作業主任者の需要は高いでしょう。

2-2.有機溶剤作業主任者の資格を取得するには?

有機溶剤作業主任者は、満18歳以上の人ならば誰でも取得できます。
ただし、工業高校に通っている生徒など、例外として18歳未満でも資格取得が可能な場合もあるのです。
詳しく知りたい方は、(財)労働安全衛生管理協会に問い合わせてみましょう。
有機溶剤作業主任者は2日間の学科講習を受講し、修了試験に合格すれば取得できます。
試験といっても、講習をきちんと受けていれば合格できるでしょう。
需要の高い資格のため、全国で月1回程度講習が開かれています。
受講を申し込みたい方は、先ほどご紹介した(財)労働安全衛生協会や各都道府県の労働安全課、労働基準協会連合会に問い合わせてみてください。
日程を教えてくれたり願書を送ってくれたりします。

2-3.有機溶剤作業主任者の資格を取得する費用とは?

有機溶剤作業主任者の資格を取得するには、講習料金11,000円が必要です。
また、講習会は2日間にわたって開かれるため、開催場所が家から遠ければ宿泊費も必要でしょう。
受講会場の中には宿泊施設が併設されている場所もあるため、そのような会場を選んで受講してもよいですね。
また、職場によっては受講費用を負担してくれるところもあります。

2-4.有機溶剤作業主任者の講習内容とは?

有機溶剤作業主任者の技能講習内容は、以下のとおりです。

  • 健康障害およびその予防処置に関する知識
  • 作業環境の改善方法に関する知識
  • 保護具に関する知識
  • 関係法令
  • 修了試験

決して難しいことはありませんが、予備知識なしで受講すると分からないことも出てくるでしょう。
書店には、有機溶剤作業主任者のテキストも販売されています。
「職場で有機溶剤を取り扱っているけれど、知識がない」という人は、テキストを買って予習復習をするとよいですね。

3.有機溶剤作業主任者と危険物取扱者の違いとは?

有機溶剤作業主任者と危険物取扱者の違い

有機溶剤の中には、危険物に指定されているものもあります。
ですから、有機溶剤作業主任者には危険物を取り扱う知識も求められるでしょう。
しかし、有機溶剤作業主任者の役割は、あくまでも有機溶剤を安全に取り扱うための指導や監督です。
有機溶剤以外の危険物を取り扱ったり、使用者を監督したりすることはできません。
また、有機溶剤の中で危険物に指定されているものを保管するのは、危険物取扱者の役目です。
有機溶剤作業主任者では、危険物に指定されている有機溶剤が指定数量以上あった場合、保管はできませんので注意してください。
また、危険物取扱者は危険物を取り扱う際の監督は行えますが、有機溶剤を安全に使うための指導は行えません。
注意しましょう。
危険物の保管や取り扱いと有機溶剤を安全に使うための作業や監督を全部行いたいという場合は、両方の資格を取得する必要があります。
働いている職場が危険物に指定されている有機溶剤を指定数量以上取り扱っていて、その管理のために危険物取扱者を取得したという場合は、有機溶剤作業主任者の資格も取得しておいて損はありません。
可能ならば挑戦してみましょう。

4.おわりに

有機溶剤作業主任者のまとめ

いかがでしたか?
今回は、有機溶剤作業主任者についていろいろとご説明しました。
まとめると

  • 有機溶剤作業主任者の役割、有機溶剤を安全に使うために監督や指導をする。
  • 有機溶剤作業主任者の資格を取得するには、2日間にわたる講習をと修了試験を受ける必要がある。
  • 有機溶剤作業主任者の資格を取得するには危険物の知識も必要だが、危険物取扱者には認められている指定数量を超える有機溶剤の保管はできない。

ということです。
有機溶剤は、急性中毒のほかに、慢性中毒を起こす可能性もあります。
慢性中毒になると、皮膚に炎症が起きたり気管支炎や貧血などを発症しやすくなったりするでしょう。
また、いらいらや不眠といった精神的な症状が出る場合もあります。
ですから、取り扱いには十分に注意しなくてはなりません。
有機溶剤作業主任者になったら使い方を指導するのはもちろんのこと、中毒症状の特徴なども説明し、症状が起きた際は早めに病院に行くように指導しましょう。
さらに、衛生管理者と協力して職場環境の改善をすることも求められることもあります。