危険物取扱者試験の勉強を進める中で、多くの受験者が暗記に苦労するのが「消火設備」に関する分野ではないでしょうか。中でも、スプリンクラー設備は種類や仕組み、設置基準が細かく定められており、混乱しやすいポイントです。
しかし、この分野は「危険物の性質並びにその火災予防及び消火の方法」や「危険物に関する法令」で頻繁に出題される、合否を分ける重要な知識です。
この記事では、危険物取扱者の資格取得を目指すあなたのために、試験で問われる「スプリンクラー設備」について、頻出ポイントに絞って分かりやすく解説します。この記事を読めば、複雑な基準が整理され、得点アップに繋がります。
1.試験に出る!スプリンクラーヘッド3つの基本種類
試験対策として、まずはスプリンクラーヘッド(放水口)の基本となる3つの種類と、それぞれの特徴、主な設置場所を覚えましょう。
1. 閉鎖型スプリンクラーヘッド
最も一般的で、普段は放水口が熱で溶ける金属(感熱体)で閉じられているタイプです。火災の熱によって感熱体が溶けたヘッドからのみ放水されるため、火元に限定して消火活動を行えるのが特徴です。
- 主な設置場所:一般的なビル、マンション、病院、ホテルなど
2. 開放型スプリンクラーヘッド
閉鎖型とは逆に、普段から放水口が開いているタイプです。火災感知器と連動しており、感知器が作動すると全てのヘッドから一斉に放水されます。短時間で広範囲を水浸しにできるため、燃え広がりやすい場所に設置されます。
- 主な設置場所:劇場の舞台、化学工場、指定可燃物を扱う倉庫など
3. 放水型ヘッド(ドレンチャーヘッド)
建物の外壁や屋根などに設置され、水のカーテン(水幕)を作ることで、近隣の建物からの延焼を防ぐ(防火する)ことを目的とした特殊なタイプです。
- 主な設置場所:防火対象物(文化財など)の屋根や外壁、窓などの開口部
2.スプリンクラー設備の仕組み【試験のポイント】
次に、スプリンクラー設備全体の仕組みを理解しましょう。特に「閉鎖型」には、配管の状態によって3つの方式があり、この違いは試験で頻繁に問われます。
閉鎖型の3つの方式
- 湿式(しっしき)
配管内が常に水で満たされている最も基本的な方式です。火災時にヘッドが開くとすぐに水が出るため、消火効果が高いのが特徴です。ただし、配管の水が凍結する恐れのある寒冷地には適しません。 - 乾式(かんしき)
配管内に水ではなく、圧縮空気が満たされている方式です。火災時にヘッドが開くとまず空気が抜け、その圧力低下を検知して弁が開き、水が流れる仕組みです。凍結の恐れがある寒冷地の駐車場や倉庫などに用いられます。 - 予作動式(よさどうしき)
湿式と乾式の中間的な方式です。火災感知器が作動すると、まず配管内に水が送られます(予作動)。その後、実際に火災の熱でヘッドが開くと放水が始まります。ヘッドの誤作動や破損による水損事故を防ぎたい、コンピューター室やサーバールームなどに設置されます。
開放型の仕組み
火災感知器の作動信号を受けると、一斉開放弁が開き、全てのヘッドから同時に放水される仕組みです。手動で起動することも可能です。
3.【法令】スプリンクラー設備の設置基準 頻出ポイント
消防法では、建物の用途や規模によってスプリンクラー設備の設置が義務付けられています。試験で問われやすい設置基準のポイントをまとめました。
原則として設置が必要になる条件
建物の階数や面積によって、以下のような基準が定められています。
- 階数が11階以上の建物は、原則として全ての階
- 地階または無窓階で、床面積が1,000平方メートル以上の階
- 指定可燃物を指定数量の1,000倍以上貯蔵・取り扱いする部分
その他にも、病院や福祉施設、店舗、駐車場など、建物の用途ごとにさらに細かい設置基準があります。全てを暗記するのは大変なので、まずは上記の基本的な基準を覚えましょう。
ヘッドの設置個数と配置
スプリンクラーヘッドは、原則として「1つのヘッドから半径2.3m(耐火構造の場合)または2.1m(耐火構造以外の場合)の円に含まれる範囲」を有効に散水できるよう、規定に従って配置する必要があります。
4.暗記に役立つおすすめテキストと勉強法
今回解説したようなスプリンクラー設備の基準は、暗記が中心です。分かりやすい図解やゴロ合わせが載っている参考書を選び、問題集を繰り返し解くことが合格への最短ルートとなります。
おすすめテキスト・問題集
- ユーキャンの乙4危険物取扱者 速習レッスン
オールカラーで図解が非常に分かりやすく、複雑な設備の仕組みもイメージで理解しやすい定番書です。 - 乙種4類 危険物取扱者試験(通称:赤本)
公論出版から出ている、豊富な問題数が魅力の一冊。繰り返し解くことで、試験で問われるポイントが自然と身につきます。 - 本試験形式! 乙種4類危険物取扱者 模擬テスト
弘文社のシリーズ。本番さながらの模擬試験形式で、知識の定着度を確認するのに最適です。
独学が不安な方や、より短期間で確実に合格したい方は、要点が凝縮された動画講義とテキストがセットになった通信講座を利用するのも賢い選択です。
まとめ
今回は、危険物取扱者試験で問われる「スプリンクラー設備」の基準や種類について、頻出ポイントを解説しました。
湿式・乾式・予作動式の違いや、閉鎖型と開放型の特徴、そして設置が義務付けられる建物の基準など、覚えるべき項目は多岐にわたります。しかし、それぞれの設備が「なぜその場所で、その仕組みでなければならないのか」という理由とセットで理解することで、記憶に定着しやすくなります。
スプリンクラー設備は、危険物を取り扱う現場の安全を守るための最後の砦です。この記事で紹介したポイントとテキストを参考に、試験の得点源として、ぜひマスターしてください。