化学工場に就職するには危険物取扱者が有利? 役立つ資格を徹底解説

化学工場とは、化学物質を取り扱う工場全般を指す言葉です。化学薬品を製造したり化学物質を含んだ製品を製造したりする工場はもちろんのこと、顔料や塗料などを製造する工場も化学工場に含まれます。化学工場では、取り扱うのに資格が必要な物質を使用することも多く、危険物取扱者や高圧ガス製造保安責任者などの有資格者を求めているところも多いのです。

そこで、今回は化学工場に就職したり転職したりする際、取得しておくと有利な資格をご紹介しましょう。

  1. 化学工場とは?
  2. 化学工場で働くために必要な資格は?
  3. 危険物取扱者を取得する方法や勉強法について
  4. 危険物取扱者とはどのような資格?
  5. 化学工場に勤めるために必要な資格に関するQ&A

この記事を読めば、化学工場に勤める際に有利になる資格の種類や取得の仕方が分かりますよ。危険物取扱者の資格取得を目指す方も、ぜひ読んでみてくださいね。

1.化学工場とは?

化学工場とは、前述したように化学物質を製造したり化学物質を含んだ製品を製造したりする工場です。このように説明するととても危険な工場に思われるかもしれませんが、化粧品や塗料・肥料や接着剤などを製造する工場も化学工場に分類されます。また、高圧ガスを製造する工場も化学工場にあたるのです。大規模なものから小規模なものまで、私たちの身近にはたくさんの化学工場があり、求人も1年を通して行われています。

2.化学工場で働くために必要な資格は?

この項では、化学工場で働くために必要な資格のうち、代表的なものをご紹介します。どのような資格があるのでしょうか?

2-1.化学工場で働くために必要な資格とは?

化学工場では、取り扱いや保管に資格が必要な物質を必要としているところがたくさんあります。一例をあげると、危険物と高圧ガスです。

危険物とは、消防法によって火事の原因となる危険が高いとして取り扱いや保管の方法が決められている物質になります。ガソリンや灯油なども危険物です。化学薬品の中にも危険物に指定されているものが多いため、危険物取扱者の有資格者が採用の条件である職場もあるでしょう。危険物にはそれぞれ指定数量というものがあり、指定数量を超えた危険物を保管したり取り扱ったりする工場では、危険物取扱者の選任が義務づけられています。

高圧ガスとは、液化ガスやアセチレンガスなどです。カセットコンロに使用するガスボンベも液化ガスを使用しています。皆様もご存じのように、高圧ガスは取り扱いを誤ると爆発事故の原因となるのです。そのため、石油化学等コンビナート高圧ガス製造事業所などには、高圧ガス製造保安責任者の選任が義務付けられています。

2-2.環境保護に必要な資格

化学工場は、有害な煙や水を排出する危険性もあります。昭和40年代まで、化学工場から出る排水や排煙が原因でさまざまな公害病が発生しました。公害は一度発生すると、収束させるまで長い時間と莫大なお金がかかります。また、公害病が発生するとその被害は計り知れません。このような公害の発生を未然に防ぐために必要なのが公害防止管理者です。一定規模の特定工場では、公害防止管理者の選任が義務付けられています。さらに、一定以上のエネルギーを使う工場にはエネルギー管理者の選任が必要です。

2-3.資格の難易度はそれぞれどのくらい?

危険物取扱者・高圧ガス製造保安責任者・公害防止管理者の難易度を比べた場合、最も難易度が高いものは公害防止管理者です。合格率が20%と低く、資格の区分も13種類あるため取得する資格を選ぶのも大変でしょう。高圧ガス製造保安責任者と危険物取扱者の難易度は、どちらも同じくらいです。化学工場で働くことを考えた場合、より幅広い選択肢がある資格は、危険物取扱者でしょう。もちろん、両方取得しておけばそれに越したことはありません。

3.危険物取扱者とはどのような資格?

危険物取扱者とは、消防法で定められている危険物を取り扱ったり保管したりできる資格です。危険物取扱者の監督下ならば、無資格者でも危険物の取扱が可能になります。

危険物取扱者には、甲種・乙種・丙種の3種類があり、乙種はさらに1類~6類にまで分類されているのです。甲種を取得すれば、すべての危険物を取り扱うことができます。乙種は取得した類の危険物の取り扱いが可能です。丙種は危険物第4類のうちの限られた物質を取り扱うことができますが、監督はできません。化学工場で働くためには、甲種か乙種の必要な類を取得しておくとよいでしょう。ちなみに、乙種をすべて取得すれば甲種と変わりません。

なお、危険物取扱者といえば乙四という言葉をイメージする方もいるでしょう。これは、乙種4類のことで危険物第4類を取り扱うことのできる資格です。第4類に指定されている危険物を引火性液体といい、私たちの最も身近な危険物であるガソリンや灯油などが該当します。引火性液体を多量に保管したり取り扱ったりしている施設は多く、危険物取扱者の中では最も人気のある区分です。

4.危険物取扱者を取得する方法や勉強法について

この項では、危険物取扱者を取得する方法や勉強方法についてご紹介します。ぜひ参考にしてくださいね。

4-1.危険物取扱者を取得する方法とは?

危険物取扱者の資格を取得する方法は、定期的に開催される試験を受けて合格する必要があります。乙種と丙主は、年齢や性別・国籍を問わずに誰でも受験が可能です。甲種は大学で化学に関する単位を指定の数だけ取得しているか、乙種を取得して2年以上実務経験を積んだ方、乙種を4種類以上取得している方が受けることができます。

まったく畑違いの分野から初めて危険物取扱者の取得にチャレンジする場合は、まず乙種からチャレンジしましょう。

4-2.難易度など

危険物取扱者の難易度は、「ふつう」と紹介されています。このふつうとは、勉強をしっかりとしておけば予備校などで特別なテクニックを学ばなくても合格できるという意味です。問題が易しいということではありません。合格率は甲種が32%前後、乙種4類が44%前後、乙種の残りが75%前後となっています。乙種の中では4類の合格率だけが極端に低くなっていますが、これは乙4だけが特に難しいからではありません。ガソリンなどを扱うことができる乙4は化学工場以外でも需要が高く、他の類の倍近い受験者がいます。受験者が多くなれば、それだけ不合格者も多くなるでしょう。これが、合格率が低い理由です。

4-3.試験科目

危険物取扱者の試験科目は

  • 危険物に関する法令
  • 物理と化学
  • 危険物の性質と火災予防法・消化方法

の3科目です。甲種はすべての危険物に関する性質や火災予防法や消化方法を覚えておかなくてはなりません。乙種は受験する類の性質・火災予防方法・消化方法で大丈夫です。これだけでも、乙種の方が取得しやすいことが分かりますね。また、乙種はどれか1種類でも取得しておくと、他の類を受験する際に物理と化学・法令の試験が免除されるのです。ですから、乙種はぜひ複数の類と取得しておきましょう。試験時間は1時間30分で学科ごとの区切りはありません。前述したように、乙種の他の類をすでに取得している人など試験科目が免除になっている場合は、35分で試験が終了します。

4-4.申し込み方法

危険物取扱者の試験は、消防試験研究センターが主催しています。試験を受けたい方はホームページから電子申請を行うか、最寄りの消防署で願書をもらって郵送で申し込みましょう。願書は無料で配布しています。危険物取扱者の試験は、ほぼ毎月開催されているので、最短で1か月後には受けることが可能です。県によって開催日が異なりますので、必ずセンターのホームページで確認して申し込みましょう。受験自体は全国どこでも可能です。受験結果もセンターのホームページから確認できます。

4-5.勉強方法について

危険物取扱者の勉強方法は、独学か通信教材を利用する方法が一般的です。特に乙種4類は参考書や過去問題集がたくさん販売されているので、独学でも合格することができます。危険物取扱者の勉強は、暗記が中心です。たとえ内容を理解しなくても、丸暗記をすれば試験は合格するでしょう。ただし、わけの分からないものをそのまま暗記するのはつらいものがあります。

5.化学工場に勤めるために必要な資格に関するQ&A

Q.危険物取扱者の資格は学生でも取得可能ですか?
A.はい。工業高校や化学系の学部の大学生は在学中に資格を取る方もたくさんいます。

Q.乙種4類だけでも化学工場への就職は有利でしょうか?
A.無資格よりも有利ですが、できれば他の類も取っておくといいですね。

Q.危険物取扱者の資格は年に何回も受験可能でしょうか?
A.はい。何度も受験することができます。

Q.危険物取扱者と他の資格を同時に受験することは可能でしょうか?
A.試験の時期がかぶらなければ大丈夫です。

Q.危険物取扱者の丙種は取得しても意味のないものでしょうか?
A.意味がないことはありません。乙種4類のうちガソリン・灯油・軽油などが取り扱えます。これらを指定数量以上保管している施設で、取り扱える人が至急必要という場合には役立つでしょう。また、丙種を取得した後すぐに勉強を始めれば、乙種4類も合格できる可能性が高いのです。

おわりに

今回は、化学工場へ就職や転職する際に有利になる資格などをご紹介しました。危険物取扱者の資格は化学工場の他、ビル管理などの仕事に就く際に役立ちます。乙種4類を皮切りに複数の類を取得すればそれだけ就ける職場も多くなるでしょう。社会人になって何か資格を取得したいと思っている方にもおすすめです。また、高圧ガス製造保安責任者の資格も一緒に取得すれば、あらゆる化学工場で働けるようになることでしょう。危険物取扱者の試験に合格したら、勉強をする習慣がついているうちに早めに勉強を始め、取得しておくとよいですね。

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