次世代燃料のエマルジョン燃料、その3つの特徴を徹底解説!

現在、世界的に高騰を続けている原油価格。
燃料価格の高騰は事業主にとって大きな負担となり、その問題は世界的に問題となっているのです。
そこで、注目したいのが「エマルジョン燃料」について。
従来の燃料に水を混ぜたものであり、これまでと同等の燃焼効率を持っています。

  • エマルジョン燃料の特徴を知りたい
  • どのような使い道があるのか?
  • メリットとデメリットは?

そんな人たちのために、エマルジョン燃料に関する情報をまとめてみたいと思います。

目次

  1. エマルジョン燃料とは
  2. エマルジョン燃料の特徴
  3. エマルジョン燃料の用途
  4. まとめ

1.エマルジョン燃料とは

1-1.エマルジョン燃料の性状

エマルジョン燃料は、重油や灯油、軽油、廃油などの燃料油に水と界面活性剤を加えたものです。
また、界面活性剤を加えていないものもエマルジョン燃料と呼ぶことがあります。
重油と水を混合したものであれば重油の成分を含んだエマルジョン燃料になるように、水と混合する燃料によってその性質はさまざま。
水と油は本来分離してしまうものです。
しかし、界面活性剤を加えることで、脂の膜が水の粒子を包むようになります。

1-2.エマルジョン燃料の必要性

世界的に化石燃料が減少している今、限りあるエネルギーの有効活用が必要です。
そういった問題とともに、深刻な環境汚染もまた、エマルジョン燃料が注目を受ける背景にあるでしょう。
温室効果ガスの排出が増加したことによる地球温暖化、PM2.5などによる大気汚染。
そして、さまざまな健康被害。
化石燃料に頼った産業発展の影響で、世界的な環境汚染が問題になっています。
世界中で化石燃料に代わる新エネルギーの開発がすすんでいるのも事実です。
しかし、まだ完全な実用化に至るには時間がかかるでしょう。
そこで、注目を集めているのがエマルジョン燃料なのです。
燃料費を削減し、環境への負荷を下げることができるこの燃料のことを、もっと知ってください。

1-3.エマルジョン燃料の品質について

従来のエマルジョン燃料にはさまざまな問題点がありました。
品質の低いエマルジョン燃焼の場合、以下のような問題が発生します。

  • 粘性が高く着火しづらい
  • 油水分離してしまう
  • 二層化してしまう
  • 粒子のサイズが大きい

エマルジョン燃料の製造過程において、現在もさまざまな研究が続いています。
その結果、高品質なエマルジョン燃料の開発に成功したのです。
高品質なエマルジョン燃料は、粘性が低いため燃焼しやすく、油水分離もありません。
また、微粒子で形状、大きさともに安定しているでしょう。

2.エマルジョン燃料の特徴

2-1.燃料費を削減できる

エマルジョン燃料の大きなメリットは、燃料費を削減できるという点。
水を加えることで微爆発が起こり、完全燃焼に近い燃焼をします。
これまでの燃料以上によく燃えるようになったのです。
つまり、燃料の必要量が減り、その分の費用を節約することができるようになりました。
数字にすると、1リットルあたり約15%のコスト削減が実現したのです。
エマルジョン燃料の粒子は、油で水を包んだもの。
外側の油が燃えることで、中の水が沸騰して微爆発を起こし、粒子はさらに細かい微粒子になります。
空気と接触する表面積が大幅に増えるため、少ない燃料でもよく燃えるようになりました。
また、燃焼効率がよいというメリットも。
ボイラーでは通常、外気から多めに空気を取り入れて燃料を燃やしています。
しかし、外気を取り入れるとボイラー内の温度が下がってしまうため、常に空気を暖めなければならないのです。
エマルジョン燃料の場合、30%の水が含まれています。
燃料が70%まで減るため、燃焼に必要な空気の量を減らすことができるでしょう。
空気を暖めるためのエネルギー量が減るため、ボイラーを効率よく動かすことができるのです。

2-2.環境保全に貢献できる

燃料使用量を減らすことができるエマルジョン燃料は、地球の環境保全にも大きく貢献しています。
地球温暖化や大気汚染の原因物質は、化学燃料および空気の燃焼によって発生するのです。
エマルジョン燃料は、燃料を70%しか使用しないため、有害物質の発生を減らすことができるでしょう。
また、完全燃焼するためPMの発生も抑えることができます。
PMは、工場の煙突から出る煙に含まれる「すす」などのこと。
エマルジョン燃料を使用した場合、従来あった不完全燃焼がなくなるため、排出ガスに含まれるPMの量を大幅に減らすことができるのです。

3.エマルジョン燃料の用途

3-1.ボイラー用

エマルジョン燃料は、温水ボイラーや蒸気ボイラー、温風ボイラーなどの燃料として使用されることがあります。
通常のボイラー用燃料と同じように取り扱い、使用することが可能です。
既存のボイラーにそのまま使用できるため、特別に新たなものを準備する必要もありません。
エマルジョン燃料を使用することによって、燃料費の削減だけでなく、ボイラーの燃焼効率を高めることになるでしょう。

3-2.ディーゼルエンジン用

熱効率の高いディーゼルエンジンは、有害排出ガスであるPMの排出源でもあります。
ディーゼル排出ガスのクリーン化に向けて、新しいディーゼル燃料を導入する動きがすすんでいるのです。
その1つが、エマルジョン燃料。
エマルジョン燃料をディーゼルエンジンで使用するとPMの排出量を減らすことができます。
また、燃費も5~10%改善すると言われているのです。
海外でも、ディーゼルエンジンからの排出ガス対策として、エマルジョン燃料の研究が始まっています。
そして、エマルジョン燃料での運転実績が増えるに伴い、エマルジョン燃料の使用を容認するエンジンメーカーが増加しているのです。

4.まとめ

エマルジョン燃料の特徴についてご紹介しました。

  • エマルジョン燃料とは
  • エマルジョン燃料の特徴
  • エマルジョン燃料の用途

「エマルジョン燃料について知りたい」「特徴や用途は?」という人は、ぜひこの記事を参考にしてみてください。

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