危険物取扱者とタンクローリーについて徹底解析!資格習得のコツは?

タンクローリーは石油・ガスなどの移送に用いられますが、危険物を運ぶ際は注意しなければなりません。法律に基づいて運ばなければ違反となり、また、火災や事故などのトラブルに発展する恐れがあります。そのため、タンクローリーや危険物について詳しく把握することが大切です。

そこで、本記事では、タンクローリーの基礎知識・危険物取扱者の資格について詳しく説明します。

  1. 危険物取扱者とタンクローリーについて
  2. 危険物とタンクローリーについて
  3. 危険物取扱者の資格について
  4. 危険物取扱者とタンクローリーに関してよくある質問

この記事を読むことで、危険物取扱者の資格を取得するための情報やタンクローリーの詳細を知ることができます。危険物取扱者とタンクローリーについて知りたい方は、ぜひ参考にしてください。

1.危険物取扱者とタンクローリーについて

危険物取扱者とタンクローリー、それぞれの基礎知識を習得しておかなければなりません。

1-1.危険物取扱者について

危険物取扱者は危険物の取り扱いや保管・管理をおこなう者のことです。一定数量以上の危険物を貯蔵・取り扱う工場やガソリンスタンド・貯蔵タンクなどの施設には必ず置かなければなりません。タンクローリーでの危険物の移送も、詳しい知識を得ている有資格者だけができる作業です。

1-1-1.危険物取扱者の職務

危険物取扱者の職務は、危険物の取り扱い・定期点検・保安の監督です。危険物を正しく扱うためには、保管している倉庫などの定期点検が大切なポイントといえます。定期点検をおこなうことで、危険物の異常を早く察知できるのです。また、無資格者が作業をおこなう場合、監視するのも危険物取扱者の大切な仕事になるでしょう。

1-1-2.危険物取扱者の必要性

ガソリンや石油など、身近なものも危険物の1つです。取り扱いや保管は、消防法によって細かく規定されています。もし、誤った取り扱いをしてしまうと爆発や火事など大事故を起こす恐れがあるのです。危険物に詳しい人が扱うからこそ、安全・安心を保つことができます。

1-2.タンクローリーについて

道路で大きなタンクローリーを見たことがある方は多いでしょう。タンクローリーは固体・液体・気体を運搬するための特殊用途自動車です。貸物自動車(トラック)の一種でもあり、石油・ガスなど危険物を運ぶときに使うこともあります。消防法におけるタンクローリーは、移動タンク貯蔵所に位置づけられているものです。移動タンク貯蔵所は「車両に固定されたタンクにおいて危険物を貯蔵し、または取り扱う貯蔵所」と定義されています。

1-2-1.タンクローリーの種類

消防法で規定される危険物ローリー(移動タンク貯蔵所)、毒物や飲料水などを運ぶ非危険物の粉粒体運搬車ローリー、高圧ガスを運搬する高圧ガスローリーの3つにわけられます。一般的に、タンクローリーの形は円筒です。これは、強度を確保するために考えられた形であり、耐久性を高くしています。保冷・保温材など特殊構造がなされているタンクローリーもあるのです。

1-2-2.タンクローリーで運べるもの

先述したとおり、タンクローリーは固体・液体・気体を運搬します。危険物では、石油やガス・劇薬類などが挙げられるでしょう。ほかにも牛乳などの飲料水・シロップや糖蜜などの食品を運搬するときも使います。また、稀(まれ)ですが、金属粉や塩酸などの危険物を運ぶこともあるでしょう。

2.危険物とタンクローリーについて

危険物をタンクローリーで運ぶ際、さまざまな決まりがあります。安心・安全に運ぶためには、きちんとルールを把握し守らなければなりません。危険物の運搬・移送に関する法律や決まりなど詳しく見ていきましょう。

2-1.危険物の運搬・移送に関する法律は?

危険物の運搬・移送については消防法で記載されています。消防法は火災の予防や災害に困る被害の軽減、安寧秩序の保持、社会公共福祉の増進を目的としている法律です。昭和23年7月24日に施行され、火災の予防から警戒や危険物に関するすべての大切な内容が記載されています。運搬に関する内容は、第3章と第4章に記載されているのでぜひご覧ください。

2-2.運搬と移送の違い

本来、タンクローリーで危険物を運ぶことを移送といいます。危険物が入っている容器をトラックに詰めて運ぶことを運搬、タンクローリーなど危険物が入っているものを丸ごと運ぶことは移送と呼ぶのです。そのため、タンクローリーはそなわっているタンクに直接危険物を入れる仕組みになっています。

2-3.危険物を運ぶ際の決まりは?

タンクローリーで危険物を運ぶ際の決まりについて説明します。きちんと守らなければ大事故にもつながるため、しっかり確認しておかなければなりません。

2-3-1.移送の基準

基本的に、運ぶ危険物の性質に応じて安全・安心が確保できる移送を心がけてください。主な移送の基準は以下のとおりです。

  • 危険物取扱者を乗車させる(免状の携帯が必要不可欠)
  • 移送前にタンクや消火器などの点検をおこなう
  • 連続運転時間が4時間以上の移送、または1日当たり9時間以上の移送は2人以上の運転人員が必要
  • アルキルアルミニウム(第3危険物類)を移送する場合、移送経路などを記した書面を消防機関に送付する
  • 一辺0.3メートル平方~0.4メートル以下の「危」の標識を移送タンク貯蔵所前後の見やすい位置に貼る(地は黒色で文字は黄色)

2-3-2.移送に必要な書類

危険物を移送する際は、車両に備えつけが必要な書類があります。必ず書類を準備しておかなければ法律違反とみなされるため注意してください。備えつけが必要な書類は以下のとおりです。

  • 完成検査済証
  • 定期点検記録
  • 譲渡・引渡届出書
  • 品名等変更届出書

以上の書類は、写しではなく本物を用意しておかなければなりません。また、タンクローリーに同乗する危険物取扱者も本物の免状を保持しておく必要があります。

3.危険物取扱者とタンクローリーの資格について

危険物取扱者は誰もがなれる役職ではありません。きちんと試験をパスして免状を得た者がなれる国家資格です。では、危険物取扱者とタンクローリーの資格について詳しく説明しましょう。

3-1.必要な資格は?

危険物をタンクローリーで移送する際、危険物取扱者やタンクローリーを運転するための免許が必要です。

3-1-1.危険物の場合

危険物取扱者は国家資格の1つであり、取得すると移動タンク貯蔵所の運転・同乗・点検ができます。移動タンク貯蔵所が活躍する場は幅広いため、危険物取扱者の資格を取得したほうが断然有利です。危険物製造所から工場へ運搬・移送するときも、危険物取扱者が付き添わなければなりません。また、取り扱う危険物の種類によって資格の種類が変わります。詳細は、後ほど【3-2.危険物取扱者の資格について】で説明しましょう。

3-1-2.タンクローリーの場合

危険物取扱者の資格を取得しただけではタンクローリーの運転はできません。タンクローリーはほとんどが大型自動車です。そのため、ドライバーは大型自動車に対応した免許が必要でしょう。危険物の運搬は危険物取扱者、毒物は毒物劇物取扱責任者、高圧ガスは高圧ガス移動監視者講習を修了した者が同乗します。ただし、火薬の場合は運転免許以外に必要な資格はありませんが、荷送人が都道府県公安委員会から交付を受けた運搬証明書の携帯が必要です。

3-2.危険物取扱者の資格について

では、危険物取扱者の資格について詳しく見ていきましょう。危険物取扱者は甲種・乙種・丙種(へいしゅ)と3種類があります。

3-2-1.甲種

甲種はすべての危険物の取り扱い・保管ができる資格です。危険物は第1類~第6類まであり、すべての危険物の知識を得ている甲種は、3種類の中でも幅広い現場で役立つ資格といえます。危険物取扱者としてずっと働きたい方は、甲種を取得するといいでしょう。

3-2-2.乙種

乙種は第1類~第6類のうち免状を交付されている類の取り扱いや保管ができます。たとえば、第1類の酸化性固体の免状を受けている場合、ほかの第2類~第6類の取り扱いはできません。取り扱いたい危険物の免状だけが取得できます。

3-2-3.丙種(へいしゅ)

丙種(へいしゅ)は、危険物第4類に属するガソリン・灯油・軽油・第3石油類・第4石油類および動植物油類だけの取り扱いができます。丙種(へいしゅ)とほかの資格の違いは、立ち会いができるかどうかです。丙種(へいしゅ)は危険物の立ち会いができません。3種類の中でも仕事内容が限られている資格でしょう。

3-3.資格取得のメリット

資格取得することで、危険物取扱者としての役割を持つことができます。危険物は有資格者だけが取り扱えるものなので仕事の幅が広がるでしょう。特に、すべての危険物が扱える甲種の活躍は多岐にわたります。また、就職や転職にも有利です。資格手当というボーナスももらえるため、収入にもメリットがあります。

3-4.就職について

危険物を取り扱う工場や製造所・ガソリンスタンドなどでは危険物取扱者の設置が必要不可欠です。そのため、危険物に関係する場所や企業では有資格者の求人を募っています。就職しやすい資格でもありますし、女性や中高年でも働き口につながるでしょう。国家資格の一種でもあるため、常に安定しています。将来性も十分な資格です。

3-5.取得方法について

危険物取扱者の試験は各都道府県の消防試験研究センターで実施されています。乙種と丙種(へいしゅ)に受験資格はありませんが、甲種は決まっているので注意してください。試験に合格しなければ資格は取得できません。丙種(へいしゅ)→乙種→甲種と難易度は上がりますが、レベルの高い資格ほど活躍の場が広がります。

4.危険物取扱者とタンクローリーに関してよくある質問

危険物取扱者とタンクローリーに関してよくある質問を5つピックアップしてみました。

4-1.タンクローリーに設置する消火設備は?

石油や灯油などの引火性液体の場合、消火器の設備が一般的です。消火器がそなわっているタンクローリーを見たことがある方も多いでしょう。また、設置する消火器は自動車用消火器(小型消火器)が挙げられます。

4-2.移動タンク貯蔵所の構造に規則はあるのか?

移動タンク貯蔵所の構造は、消防法で細かく決められています。一部を紹介すると、「移動タンクの厚さは3.2ミリメートル以上の鋼板」「移動タンクの容量は3万リットル以下」と定められているのです。容量が3万リットルを超える場合は、4000リットル以下ごとに間仕切板で区切る必要があります。

4-3.移動タンク貯蔵所の定期点検とは?

消防法により、移動タンク貯蔵所の定期点検は1年に1回以上と義務づけられています。点検項目は決まっていませんが、安全・安心に運搬できるかどうかきちんと確認することが大切です。特に、危険物を直接入れるタンクは入念にチェックしなければなりません。腐食やサビが発生している場合は、すぐ車両の整備を自動車整備工場などに依頼してください。

4-4.危険物取扱者の免状は更新が必要か?

危険物取扱者の免状は10年に1度、顔写真の更新が必要です。もし、更新を忘れてしまえば免状を失ってしまいます。ここで気をつけておきたいのは、更新のお知らせがないことです。そのため、資格保持者がきちんと更新時期を把握する必要があります。

まとめ

タンクローリーは危険物を運搬する際に大活躍する大型自動車です。危険物の取り扱いには十分に注意しなければならないため、危険物取扱者の有資格者の同乗が必須とされています。同乗する危険物取扱者は免状を常に携帯しておかなければなりません。危険物を運ぶタンクローリーを移動タンク貯蔵所といいますが、構造や運搬ルールが消防法で細かく決められています。危険物をタンクローリーで運びたい場合は、資格を取得してルールをきちんと把握しておかなければなりません。火災や爆発など事故を防ぐためにも、徹底した管理やチェックが大切です。自分に合った方法で危険物取扱者の資格を取得するための勉強を始めてくださいね。

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