灯油を安全に保管できる置き場所は? 注意点や保管量の基準を解説!

灯油の保管方法危険物について

灯油は、私たちの身近にある危険物の一種です。ストーブや給湯器・自家発電機の燃料として使われているため、常備している家庭も多いでしょう。灯油は、専用のポリタンクに入れて保存しておくことが多いですが、置き場所によっては火災の危険が増します。また、灯油は危険物のため家庭で保管できる量には限度があるのです。

今回は、灯油の置き場所や保管する際の注意点、さらに個人で保管できる量などについて解説しましょう。

灯油は、冬の寒さを和らげ、暖かな家庭の象徴とも言える存在です。しかし、その便利さの裏には、取り扱いに伴うリスクも潜んでいます。家の中で快適に過ごすためには欠かせない灯油ですが、実は火災のリスクを高める危険物の一つであることをご存知でしょうか?ストーブ、給湯器、自家発電機といった生活必需品の燃料として広く利用されているため、多くの家庭で常備されていますが、その保管方法には最大の注意が必要です。

灯油を安全に、そして効率的に利用するための秘訣は、正しい置き場所と保管方法にあります。専用のポリタンクに入れて保管するのが一般的ですが、適切な場所を選ぶことで、火災のリスクを大幅に低減できます。また、法律で定められた家庭での保管量の限度を守ることも、安全な取り扱いのためには欠かせません。

この記事では、灯油を取り巻くリスクを軽減するための具体的な方法を紹介します。灯油の適切な置き場所選びから、安全な保管方法、さらには個人で許されている保管量の詳細に至るまで、あなたが灯油をより安全に扱うための知識を深める手助けとなるはずです。家庭や職場で灯油を常備している方は、この機会にぜひその正しい取り扱い方法を学んで、日々の生活をより安全なものにしましょう。

この記事を読めば、灯油を安全に保管する方法や危険物としての取り扱い方も分かります。灯油を家や職場に常備しているという人は、ぜひ読んでみてくださいね。

灯油の最適な置き場所は?

はじめに、灯油の最適な置き場所や灯油を保管する際の注意点を解説します。

灯油を無造作に置いてはいけない理由

灯油は、消防法で危険物に指定されている物質です。危険物は、火災を発生させる可能性が高い物質であり、消防法で保管方法や取り扱い方法が定められています。灯油は40℃になると引火し、揮発しやすい物質です。ガソリンに比べると危険度は低いのですが、引火点に達した灯油の側で火花が散るだけでも、引火して火災を引き起こします。ですから、灯油はポリタンクをはじめとする専用の容器に保管し、火気がなく、引火点に達することがない場所に保管することが大切です。

灯油の保管に適した場所は?

灯油の保管に適した場所は、火気がなく、灯油が40℃以上にならず、揮発した灯油がすぐに拡散できる場所です。たとえば、コンクリートや金属製の物置があれば、その中に保管しておくのがいいでしょう。

また、室内よりも室外に置いたほうが臭いも気にならず、揮発した灯油も拡散しやすいはずです。しかし、マンションなどの集合住宅では室外に置いておくのは難しいケースもあるでしょう。このような場合、ベランダ、玄関などが置き場所に選ばれがちです。

ベランダや玄関などに灯油を置いておく際の注意点

ベランダは、半ば屋外なので揮発した灯油はすぐに拡散してくれます。しかし、直射日光や雨水が灯油を劣化させてしまう恐れもあるでしょう。ベランダに保管しておく場合は、ベランダコンテナ等の中に入れておけば日光や雨水によって劣化する可能性は低くなります。玄関に灯油を置いておく場合は、こぼした場合などに備えてダンボールなどを下に敷いておきましょう。

また、臭いがこもった場合は、すぐに十分に換気することが大切です。なお、マンションやアパートでは規約により灯油の置き場所が決められていることもあります。灯油の置き場所を決める前に、まずは規約を確認しましょう。

通年灯油を保管する場合はホームタンクもおすすめ

ホームタンクとは、家庭や小規模な事業所向けの灯油保管タンクです。90~180Lの灯油を保管できる金属製の容器で、そこから直接給油をすることもできます。

ただし、自治体によっては市町村の火災予防条例により、ホームタンクを設置するにはコンクリ―トの基礎を作り、防油堤(ぼうゆてい)の設置も義務づけられているのです。ですから、ホームタンクを設置したい場合は、販売店とよく相談してください。販売店ならば、設置のルールなども知っていてアドバイスをもらえます。

個人で保管できる灯油の量は?

この項では、個人で保管できる灯油の量について解説します。

消防法と指定数量

すべての危険物は、消防法によって指定数量が定められています。指定数量以上の危険物を保管したり取り扱ったりする場合は、「危険物取扱者」の資格が必要です。灯油の指定数量は1,000Lになります。しかし、消防署への届出を必要とせず、消防法で定められた保管方法が適用されない量は、指定数量の5分の1までです。

つまり、届出なしで個人がポリタンクなどを利用し、保管できる灯油の量は200L未満になります。なお、消防法以外にも、自治体が独自に定めた市町村の火災予防条例で、何らかの規制が設けられていることもあるため、必ず確認しましょう。

複数の危険物を同一の場所に保管する場合

灯油だけでなく、軽油やガソリンも一緒に保管したいという場合は、保管する量をその物質の指定数量で割った数をすべて足してください。その数が1未満ならば無資格者でも保管できます。つまり、たくさんの危険物を所有していれば1つあたり保管できる量が減っていくのです。

少量危険物について

指定数量の5分の1を超え、指定数量未満の危険物は「少量危険物」と呼ばれ、保管するためには消防署への届出が必要です。灯油の場合は、200L以上1,000L未満が少量危険物になります。少量危険物を保管するには、少量危険物保管庫が必要です。

また、「火気厳禁」と「少量危険物取扱所」、「危険物の類と物質名、取扱責任者の名前」の看板を設置しなければなりません。前述したホームタンクも、200L以上保管できるものは少量危険物保管庫として認められています。ただし、設置場所は消防法に沿った場所で、防油堤などの設備も必要です。つまり、18Lのポリタンク20個に灯油を入れて物置で保管、などということはできません。

事業所で灯油を保管しておく場合

事務所や工場など事業所で灯油を保管しておく場合、指定数量の5分の1未満までならば一般家庭と同じように保管できます。ただし、オフィスビルの廊下などに無造作に置いておくことはやめましょう。引火の危険が高まり、臭いもこもります。灯油の温度が高くなりすぎず、揮発しても拡散しやすい場所で専用の容器に入れて保管してください。少量危険物に指定される量を保管する場合、少量危険物保管庫を必ず用意しましょう。

また、市町村によっては独自の条例で灯油の保管に制限が設けられているところもあります。危険物を保管したい場合は、自治体のサイトで確認をしてから保管してください。

灯油の置き場に関するよくある質問

この項では、灯油の置き場に関するよくある質問を紹介します。

Q.灯油の保管は専用のポリタンクやホームタンク以外では不可ですか?
A.携帯したい場合は、専用の金属製の容器があります。また、一斗缶でも灯油は保管可能です。ただし、給油の手間を考えるとポリタンクやホームタンクが最も適しています。

Q.灯油はポリタンクに入れておけば、1年以上持つでしょうか?
A.いいえ。実は灯油の寿命は短く、冬に使いきれなかった灯油をポリタンクに入れて保管しておくだけで劣化してしまいます。春や夏に灯油を使わない場合は、灯油を購入した店に持っていって引き取ってもらいましょう。ただし、ホームタンクに入れておけば劣化せずに冬まで保管しておけます。

Q.ホームタンクはマンションのベランダには置けるでしょうか?
A.いいえ。ホームタンクはしっかりと地面に固定しなければならないため、マンションのベランダには置けません。

Q.屋外で灯油を保管する場合の注意点はありますか?
A.直射日光の当たらない涼しい場所に保管してください。また、周りに燃えるものを置いてはいけません。給湯器など熱を発する可能性のあるものの近くにも置かないようにしましょう。

Q.少量危険物は、危険物取扱者の資格がなくても管理できますか?
A.はい。管理はできますが事業所などで保管する場合は、可能ならば有資格者を管理者に選任しておいたほうがいいですね。

まとめ

今回は灯油の置き場所や保管する際の注意点などを紹介しました。家庭で100L以上の灯油を保管するケースは少ないと思いますが、事業所ではありえます。200L以上保管する場合は、必ず少量危険物保管庫を設置し、消防署に届出を出しましょう。

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