シアン化ナトリウムの性質や特徴とは? 扱う際は要注意!?

2015年8月12日に中国天津市で起きた、爆発事故を覚えている方は多いでしょう。あの事故が起きた原因のひとつとされているのが、今回ご紹介するシアン化ナトリウムです。シアン化ナトリウム自体は、毒劇物に指定されています。しかし、水と反応すると危険物第4類に分類される、シアン化水素が生成されるのです。シアン化ナトリウムはどんな性質や特徴を持っているのでしょうか? また、取り扱う際の注意点などもご紹介します。危険物取扱者の資格取得を目指している方やシアン化ナトリウムを職場で取り扱っている職場に勤めている方は、ぜひこの記事を読んでみてくださいね。

  1. シアン化ナトリウムってどんな物質?
  2. シアン化ナトリウムの保管方法は?
  3. 従業員教育をしっかりと行おう
  4. 危険物取扱者について
  5. よくある質問
  6. おわりに

1.シアン化ナトリウムってどんな物質?

まず始めに、シアン化ナトリウムの特徴や性質をご紹介します。工業製品を製造する工場で広く扱われていながら、非常に危険な物質なのです。

1-1.シアン化ナトリウムの特徴とは?

シアン化ナトリウムは、シアン化水素と水酸化ナトリウムの中和反応によって生成される物質です。特物の代名詞でもある青酸カリこと、シアン化カリウムによく似た物質で、毒性を持ちます。成人でも200mg~300mgを経口摂取すれば死亡するため、「毒物および劇物取締法」という法律で販売や製造、所持の方法が決められているのです。ただし、金属にメッキを行うときなどに必要な物質のため、工場などで広く使われています。

1-2.シアン化ナトリウムの性質とは?

シアン化ナトリウム自体は、発火したり爆発したりすることはありません。しかし、水と反応させると引火性で猛毒のシアン化水素が発生します。シアン化水素は、危険物第4類の中の、第1石油類に分類されている危険物です。たとえば、火災が起きた際にシアン化ナトリウムに直接水がかかるとシアン化水素が発生します。さらに、塩酸や硝酸アンモニウム、硝酸カリウムなどと一緒に保管されている場合は、これらの物質がシアン化ナトリウムと反応すると爆発する恐れがあるのです。前述した天津市で発生した爆発事故は、シアン化ナトリウムと酸化化合物が反応し、さらに水がかかったことで大爆発が引き起こされたのが原因とされています。

1-3.シアン化ナトリウムの取り扱いをまちがえると…

シアン化ナトリウムは、現在国内のさまざまな工場などで使われています。工業製品を製造している工場で、「シアン化ナトリウムを全く使用していません」というところの方が少ないかもしれません。シアン化ナトリウムは経口摂取以外にも、皮膚についたり目に入ったりしても、健康に影響があります。取り扱う場合は長袖着用の上手袋をはめ、マスクをしましょう。
猛毒の物質も毎日取り扱っていれば、慣れが出て扱いがいいかげんになることもあるかもしれません。

また、シアン化ナトリウムを廃棄するときも注意が必要です。シアン化ナトリウムを取り扱っているところでは、塩酸なども扱っているケースが多いでしょう。別の化学物質とシアン化ナトリウムを同時に廃棄すると、シアン化水素などの有毒ガスが発生する場合があります。特に、水も一緒に混じっていると危険度はさらに上がるでしょう。ですから、シアン化ナトリウムは廃棄するときまで注意が必要です。

1-4.シアン化ナトリウムの中毒症状とはどんなもの?

シアン化ナトリウムは、酸性の物質と交わると有毒な青酸ガスが発生します。つまり、空気中の二酸化炭素と交わっても、少量ですが青酸ガスが発生するのです。シアン化ナトリウムを少量吸い込むと、頭痛・めまい・嘔吐・頻脈(ひんみゃく)などが起こり、多量に吸い込むと血圧の低下や肺水腫・呼吸困難を経て、最悪の場合は心肺停止に至ります。

2.シアン化ナトリウムの保管方法は?

この項では、シアン化ナトリウムの保管方法や万が一火事が起きた場合の対処法をご紹介します。危険物と一緒にシアン化ナトリウムが保管されていた場合は、どうすればよいのでしょうか?

2-1.シアン化ナトリウムの保管方法とは?

シアン化ナトリウムは、空気や光に反応する物質ではありません。また、熱しても爆発などは起きないのです。ですから、単独で保管する場合は危険物保管庫のような場所に入れなくてもよい、という意見もあります。しかし、直接肌についたり吸いこんだりすると健康に重大な影響が出るでしょう。ですから、密閉できる容器に入れて盗まれたりしないように厳重に保管しておいてください。管理などは「毒劇物取扱責任者」の資格保持者が、責任を持って行いましょう。

2-2.シアン化ナトリウムを取り扱う場所が火事になった場合の対処法とは?

シアン化ナトリウムは、前述したように水をかけると有毒で引火性のあるシアン化水素が発生します。ですから、火災が発生しても水をかけてはいけません。ただし、容器の上から延焼を防ぐ目的で放水する場合もあります。その際は、容器が完全に密閉されているか確かめてから、水をかけましょう。シアン化ナトリウムにまで火が迫っている場合は、砂や消火剤による窒息消火を行います。

また、シアン化ナトリウムと危険物が一緒に保管されている場所が火事になった場合は、必ず危険物取扱者か毒劇物取扱責任者が消防に連絡をしましょう。その際、シアン化ナトリウムをはじめとする毒劇物や危険物があることを伝えます。そうすれば、消防も冷水消火でなく別の方法で消火する準備を整えて出動してくれるでしょう。シアン化水素が発生する恐れがある場合は、従業員や付近の住人を避難させる必要が出てくる場合もあります。

3.従業員教育をしっかりと行おう

前述したように、シアン化ナトリウムは取り扱っている職場が多いです。日本でも1980年代まで、シアン化ナトリウムからシアン化水素が発生する事故がたびたび起きています。また、大学でも実験などで使う機会が多い毒物でもあるのです。通常、シアン化ナトリウムのような毒物は、毒劇物取扱責任者が管理したり取り扱ったりします。しかし、シアン化ナトリウムのように製品の製造過程で使用する場合は、無資格者が扱うことも珍しくありません。ですから、シアン化ナトリウムの毒性や取り扱いをまちがった場合にどのようなことが起こるかなど、従業員に教育しておく必要があります。

マニュアルを作って渡すのはもちろんのことですが、定期的に安全講習会などを開くとより効果的です。また、シアン化ナトリウムを取り扱う作業をする前には、服装を整えることや廃棄する際の注意点なども教育しましょう。さらに、使わなくなったシアン化ナトリウムがある場合は、できるだけ早く廃棄を引き受けてくれる業者に引き取ってもらってください。雨ざらしにしていると、大変なことになります。

4.危険物取扱者について

4-1.危険物取扱者とはどのような資格?

危険物取扱者とは、消防法に指定されている危険物の取り扱いや保安監督業務を行うことのできる資格です。危険物取扱者には、それぞれ指定数量が定められており、指定数量を超えた量の危険物を取り扱ったり貯蔵したりする施設には、危険物取扱者の資格保持者の選任が必要になります。危険物を取り扱っている工場などで働く場合は、取得しておくと役立つでしょう。

4-2.危険物取扱者の種類

危険物には甲種・乙種・丙種の3種類があり、甲種は、すべての危険物の取り扱いや保安監督業務を行うことができます。乙種は、1類~6類に分かれており、取得した類の危険物の取り扱いや保安監督業務を行うこと可能です。丙種は、危険物第4類に指定されている引火性液体のうち、ガソリンや灯油など一部の物質の取り扱いができます。この3つのうち、甲種は乙種を複数取得していることなど、資格取得のための条件があるのです、乙種・丙種は資格を取得するための条件は指定されていません。学歴・性別・職歴問わずに資格を取得するための試験を受けることができます。

4-3.資格取得の方法

危険物取扱者の資格を取得するには、消防試験研究センターが主催する試験を受けて合格すれば可能です。資格取得についての詳しいことは、こちらの記事にも詳しく記載されていますので、ぜひ併せて読んでみてください。

5.よくある質問

Q.シアン化ナトリウム自体は危険物ではないのですか?
A.はい。水と反応すると危険物第4類に指定されているシアン化水素が発生します。

Q.シアン化ナトリウムは、空気中にあっても危ないのでしょうか?
A.はい。前述したとおり空気中の二酸化炭素とわずかですが反応する可能性があり、危険です。

Q.シアン化ナトリウムは、どうやって取り扱えばよいでしょうか?
A.厚生労働省の職場のあんぜんサイトを、確認してみてください。

Q.シアン化ナトリウムは単独で保管したほうがよいのでしょうか?
A.それが一番よいのですが、保管場所がないということもあります。専用の容器に入れておき、ほかの物質と交わらないようにしましょう。

Q.シアン化ナトリウムを危険物取扱者が管理することはありますか?
A.施設によっては、危険物と一緒に管理を任されることもあるでしょう。

6.おわりに

いかがでしたか? 今回はシアン化ナトリウムの性質や特徴についてご紹介しました。
まとめると

  • シアン化ナトリウムは、シアン化カリウム(青酸カリ)とよく似た毒物である。
  • 金属をメッキする際に使うので、工場などで広く使われている。
  • シアン化ナトリウムを取り扱うには、毒劇物取扱責任者という資格が必要。
  • シアン化ナトリウムが水と混じり合うと危険物のシアン化水素が発生する。

ということです。シアン化ナトリウムをは危険物には指定されていませんが、危険物と一緒に使われることも多く性質や特徴を知っておくと何かと役に立つでしょう。

また、青酸カリは毒物の代表格として映画やドラマなどでよく使われていますが、シアン化ナトリウムも毒性の強さや症状はほぼ同じです。ですから、いいかげんに管理しておいて紛失した場合は、大変なことになります。シアン化ナトリウムを保管しておく場合は、できれば鍵のかかる保管庫に入れておきましょう。大量に保管してある場合は、使う分だけ別の容器に移して量を管理すれば量も把握しやすいです。