次亜塩素酸ナトリウムの性質や特徴とは?

次亜塩素酸ナトリウム、とは聞きなれない名前ですが、漂白剤や消毒剤として幅広く使われている化学物質です。
次亜塩素酸ソーダともいい、希釈された水溶液はアンチホルミンとも呼ばれます。
しかし、身近な化学物質でありながらあつかいを間違えると事故が発生しやすいのです。
そこで、今回は次亜塩素酸ナトリウムの性質や特徴についてご紹介します。
また、次亜塩素酸ナトリウムは危険物などには指定されていませんが、不用意にあつかうと命の危険性もあるのです。
漂白剤や消毒剤を使っている方はぜひこの記事を読んで、あつかい方の参考にしてください。

目次

  1. 次亜塩素酸ナトリウムの性質と特徴とは?
  2. 次亜塩素酸ナトリウムは危険物ではないの?
  3. 次亜塩素酸ナトリウムの危険性とは?
  4. 次亜塩素酸ナトリウムの水溶液のあつかい方とは?
  5. おわりに

1.次亜塩素酸ナトリウムの性質と特徴とは?

次亜塩素酸ナトリウムとは、毒劇物に指定されている水酸化ナトリウムに塩素を通じて得られるものです。
また、海水を電気分解しても作ることができます。
固体の状態では不安定なため、通常は水溶液の状態で保存されているのです。
しかし、水溶液の状態で保存していても時間がたつにつれて分解し、酸素を放出しながら塩化ナトリウム水溶液に変化していきます。
高濃度の次亜塩素酸ナトリウム水溶液ほど早く分解され、紫外線や高温で分解が促進されるのです。
ですから、高濃度の次亜塩素酸ナトリウム水溶液は、使いきれる分だけ作らなければ、無駄になる分の方が多くなるでしょう。
次亜塩素酸ナトリウムは、独特の臭気があり、漂白、殺菌、酸化の作用があります。
プールの近くにいったり漂白剤を使ったりすると、鼻をつく臭いを感じることもあるでしょう。
それが、次亜塩素酸ナトリウムの臭いなのです。
次亜塩素酸ナトリウムは、キッチン用の漂白剤や水道水を消毒するためなどに幅広く使われています。
飲食店などだけでなく、一般家庭にも次亜塩素酸ナトリウムを使った製品は数多くあるでしょう。

2.次亜塩素酸ナトリウムは危険物ではないの?

消防法に指定されている危険物の中に、酸化性固体というものがあります。
危険物第1類に指定されているので、甲種や乙種1類をお持ちの方はよくご存じでしょう。
酸化性固体に指定されている物質は亜塩素酸ナトリウム、過塩素酸ナトリウムなど次亜塩素酸ナトリウムとよく似た名前のものも多いです。
これらの酸化性固体も水溶液の状態で保管されることが多く、一定の濃度を超えたものが危険物として指定されます。
しかし、次亜塩素酸ナトリウムは危険物に指定されていません。
ですから、濃度の高いものであっても取りあつかいに危険物取扱者の資格は必要ないのです。
しかし、だからといって次亜塩素酸ナトリウムが全く無害というわけではありません。
では、どのような危険性があるのでしょうか?
それを次の項でご紹介していきます。

3.次亜塩素酸ナトリウムの危険性とは?

では、次亜塩素酸ナトリウムにはどのような危険性があるのでしょうか?
この項では、その一例をご紹介していきます。

3-1.酸と反応する

次亜塩素酸ナトリウムは、酸と反応して体に有毒な塩素ガスが発生します。
実際に、酸性の洗剤(トイレの洗剤)と漂白剤を混ぜたことにより発生した塩素ガスで、死亡事故も発生しているのです。
ですから、キッチン用の漂白剤などには大きく「混ぜるな危険」と書いてあるでしょう。
また、酸性の洗剤ほどではないにしろ食酢や柑橘類(かんきつるい)の果汁や皮も、立派な酸性の物質になります。
今は、食酢や柑橘類(かんきつるい)の皮を使って掃除をする方法も、盛んに紹介されているでしょう。
エコな掃除方法ではありますが、漂白剤を使う場合は必ずよく水で流してから使用しましょう。
また、キッチン用漂白剤の中には、詰め替え用のタイプもあります。
これを別の洗剤の容器などに移し替えるのも危険です。
気をつけましょう。

3-2.次亜塩素酸ナトリウムを使った空間除菌剤に要注意

空間除菌剤とは首からつり下げて持ち歩くことで、周囲の空気を除菌するという触れこみの商品です。
現在、空間除菌剤には二酸化塩素が用いられています。
しかし、一時期次亜塩素酸ナトリウムを使用した商品も販売されていました。
空間除菌剤は肌に密着させるような形で使います。
その結果、汗などの水分と混じりあって高濃度の水溶液ができてしまい、肌がやけどのような症状を起こす事例が報告されました。
現在、次亜塩素酸ナトリウムを含んだ空間除去剤の販売は停止されています。
しかし、古い空間除去剤が家にあるという方は、成分を確かめてみてください。
次亜塩素酸ナトリウムが含まれている場合は、使用せずに処分しましょう。

3-3.有機塩素化合物の生成

家庭で漂白剤を使う分には問題ありませんが、高濃度の次亜塩素酸ナトリウム水溶液を使用して漂白を行う場合は、その過程で有機塩素化合物を生成してしまう恐れがあります。
高濃度の有機塩素化合物を吸引すると、人体にとって有害です。
ですから、高濃度の次亜塩素酸ナトリウムの水溶液を使って漂白をする場合は、通気をよくするかマスクなどを使って処理を行いましょう。

3-4.爆発事故

次亜塩素酸ナトリウム自体は、正しい使い方をしていれば危険はありません。
しかし、不均衡反応によって容易に塩素酸ナトリウムが生じてしまいます。
この、塩素酸ナトリウムは衝撃や摩擦によって爆発する危険物です。
ですから、次亜塩素酸ナトリウムを不用意に保管したりあつかったりしていると、爆発事故が起こる可能性が高いでしょう。
実際、1980年代にはいくつもの工場で爆発事故が起きました。
珍しい例ですと、次亜塩素酸ナトリウム溶液が衣服にかかったため、水洗いせずにそのまま干した結果、塩素酸ナトリウムができたというもの。
さらに、その衣服を身につけて作業を再開した結果、摩擦によって爆発した事故がありました。
ですから、次亜塩素酸ナトリウムの水溶液は取りあつかいに十分注意しましょう。

4.次亜塩素酸ナトリウムの水溶液のあつかい方とは?

次亜塩素酸ナトリウムの水溶液は、一般の方でもあつかう機会が多いです。
ですから、取りあつかい方をよく読んで、それを守りましょう。
工場などで使う場合は日なたに溶液を入れたタンクなどを置いておかないようにしてください。
酸素が放出されます。
高濃度の酸度に火気を近づけても爆発の恐れがあるのです。
保管は必ず冷暗所で行いましょう。

5.おわりに

いかがでしたか?
今回は、次亜塩素酸ナトリウムの性質や特徴についていろいろとご紹介しました。
まとめると

  • 次亜塩素酸ナトリウムは、漂白剤や消毒剤として幅広く使われている。
  • 危険物には指定されていないが、あつかい方を間違えると事故が起こる可能性がある。
  • 酸性の物質と混ぜ合わせると有毒ガスが発生するので気をつけよう。

ということです。
危険物に指定されていないということは、どうあつかっても無害ということではありません。
むしろ、専門の知識がなくてもあつかえる分、事故が起こりやすい物質といえるでしょう。
ですから、危険物取扱者が職場にいる場合は管理を一括して任せてもよいと思います。
また、家庭で次亜塩素酸ナトリウムをあつかう場合は、目や口などに入らないように気をつけましょう。
大人は注意できても、子どもがうっかり水溶液に指をひたしたり水溶液がついた指で、目をこすったりする事故は毎年発生しています。

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