危険物第5類の保管方法は? 注意点や発火時の対処法を解説

危険物とは、消防法で定められた「不用意に保管しておくと、爆発や発火の恐れがある物質」のことです。
ガソリンや灯油など私たちの身近にも危険物はあります。
そこで、今回は危険物第5類の保管方法などについてご紹介しましょう。
危険物はその性質によって第1類~第5類まで分類されています。
私たちの生活に深いかかわりがあるガソリンや灯油は第4類に分類されているのです。
では、危険物第5類はどんな特徴があるのでしょうか?
危険物取扱者の資格を取得したい方も、ぜひこの記事を読んでみてください。

  1. 危険物第5類の特徴とは?
  2. 危険物第5類を保管する際の注意点とは?
  3. 万が一発火した場合の対処法とは?
  4. 危険物第5類はどのような場所で保管しておくべき?
  5. 危険物第5類を搬送する方法とは?
  6. おわりに

1.危険物第5類の特徴とは?

危険物第5類には、「自己反応性物質」が指定されています。
自己反応性物質とは、分子中に酸素を含んだ固体や液体のこと。
第5類に指定されている物質は、酸素のほかに可燃性物質も含まれているのです。
ものが燃えるためには、可燃性物質と酸素供給源、さらに点火源が必要になります。
私たちの身近にある危険物であるガソリンを例にとって説明しましょう。
ガソリン自体は可燃性物質です。空気がある場所で点火源を近づければ激しく燃えます。
しかし、密閉して空気が無い状態であればどうでしょうか?
火を付近づけてもガソリンの周りに酸素が無ければ燃えません。
一方、危険物第5類はその分子内に酸素分子を持っています。
ですから、密閉した状態で酸素が無くても点火源さえあれば発火するのです。
つまり、保管場所に気をつけなければ、何も無い状態でいきなり発火することも考えられます。

2.危険物第5類を保管する際の注意点とは?

この項では、危険物第5類を保管する場合の注意点をご紹介します。
火気厳禁なのはもちろんですが、ほかにどのような注意が必要なのでしょうか?

2-1.衝撃や摩擦(まさつ)をさける

危険物第5類は、熱を加えただけでも発火するものもあります。
また、ものとものとがこすれあう「摩擦(まさつ)」も点火源になるのです。
たとえば、粉じん爆発も細かい粒子同士がこすれあうことによって熱源が生まれます。
また、衝撃によって摩擦(まさつ)が起こることも珍しくありません。
ですから、衝撃や摩擦(まさつ)が起こらないように保管しましょう。

2-2.通気性をよくする

危険物第5類に指定されている「メチルエチルケトンパーオキサイド」は、密閉して保管しておくと、分解が進んで発火します。
分解とは、結びついていた分子同士がバラバラになること。
つまり、酸素が発生して可燃性物質に触れて発火するわけです。
ですから、密閉しないように気をつけましょう。

2-3.乾燥させない

過酸化ベルゾイやピクリン酸は乾燥させると爆発の危険が増します。
ですから、乾燥させないように注意が必要です。
これらの化合物は業者から購入したとき、必ず保管の方法が書いてあるはずなので、注意書きを必ず守りましょう。

3.万が一発火した場合の対処法とは?

危険物第5類が万が一発火してしまった場合は、アジ化ナトリウムとそれ以外で消火方法が分かれます。
アジ化ナトリウム以外のものは、水や強化液、泡による冷却消火を行いましょう。
アジ化ナトリウムが発火すると、禁水性の金属ナトリウムが発生します。
ですから、水系の消火材を使うと大変なことになるでしょう。
アジ化ナトリウムが発火した場合は、乾燥砂による窒息消火を行ってください。
乾燥砂も消火剤の一種として販売されています。
また、危険物第5類が発火した場合は、必ず危険物取扱者の資格保有者が消防に連絡をしてください。
その際、発火しているものが危険物第5類に指定されている物質であることを伝えましょう。
そうすれば、消防もそれなりの対策をして消火に来てくれます。
また、危険物第5類は発火だけでなく爆発の危険もあるのです。
ですから、危険物第5類が発火したという場合や、発火の危険がある場合は取り扱っている場所の従業員や周辺に住んでいる方を避難させてください。

4.危険物第5類はどのような場所で保管しておくべき?

第5類に危険物に指定されているもの以外でも、危険物は通常の物質と一緒に保管してはいけません。
大抵の危険物は専用の保管庫に入れられて保管されています。
保管庫は備え付けのものから移動できるものまで色々なものがありますので、保管されている量によって選びましょう。
なお、「少量だから」といって保管をいい加減にしてはいけません。
少量の危険物は、危険物取扱者の資格が無くても取り扱ったり保管したりできます。
しかし、危険度に変わりはありません。
ですから、専用の容器に入れたり保管場所を作ったりしましょう。
また、危険物は高いところに保管しておくと、震災などが起きた場合に保管容器が落ちて破損することもあります。
そのため、できるだけ低い場所に保管しておいてください。
また、持ち運ぶ際は少量でも摩擦(まさつ)や衝撃が起きないように気をつけましょう。
複数の容器を一度に持って運ぶなどは厳禁です。

5.危険物第5類を搬送する方法とは?

危険物第5類に指定されている物質は、日本全国色々な場所で使われています。
ですから、危険物を製造している場所から搬送することもあるでしょう。
危険物第5類だけでなく、危険物は搬送方法も決まっています。
危険物取扱者の資格試験でも出題されるので、試験勉強中におぼえた、という方もいるでしょう。
危険物を運搬する方法には「運搬」と「移送」があります。
運搬とは、危険物を専用の容器に入れて運ぶこと。
危険物取扱者の資格は必要ありませんが、指定数量以下でも消防法の適応を受けます。
また、危険物第5類は、危険物第2類と第4類以外は混載して運べませんので注意しましょう。
一方、移送とはタンクローリーに入れて危険物を運搬することです。
タンクローリーに入れると、運搬よりもより多量の危険物を運べます。
この移送には、危険物取扱者の免許を取得した方の同情が必要です。
そのため、一般的には危険物取扱者の資格取得者が運転をして運ぶのが一般的になります。
車両には備え付けの書類が必要で、この書類が紛失したり記入していなかったりした場合は、罰則が適応されますので注意しましょう。
なお、危険物の運搬中に事故を起こせば大規模な火災や爆発事故を起こす危険性があります。
ですから、ドライビング技術の高い方が搬送をしましょう。

6.おわりに

いかがでしたか?
今回は、危険物第5類の保管方法についてご紹介しました。
危険物は、保管方法が悪いと爆発したり自然発火したりします。
特に、危険物第5類は物質内に酸素と可燃物を有していますから、ほかの危険物よりも発火や爆発の危険が高い、といえるでしょう。
1960年代に起きた化学工場の爆発事故も、危険物第5類に分類されていた物質が原因でした。
現在は、安全管理も厳しくなって危険物を保管する道具も進化しています。
しかし、毎日扱っている人の気のゆるみが事故を起こすこともあるでしょう。
たとえば、危険物の入った容器をうっかり高いところに置いた場合、何かの拍子にそれが落下すれば、摩擦(まさつ)と衝撃が同時に起こるのです。
ですから、危険物取扱者は従業員に対し、定期的に危険物の教育を行うことが理想でしょう。それか、危険物を取り扱う際は必ず監督をしてください。そうすれば事故が防げます。

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