【徹底解説】危険物取扱者甲種は就職に有利? 就職先や資格取得のコツも

危険物取扱者 資格取得危険物取扱者資格とは

危険物の取り扱いができる国家資格「危険物取扱者」の種類には、甲種・乙種・丙種(へいしゅ)の3種類があります。この中でも最も難易度が高く、幅広い職場で有利となるのが甲種です。甲種危険物取扱者は、すべての危険物の取り扱いと保管ができます。

乙種と丙種は取り扱いができる危険物が限られているため、働く現場も限られているのです。つまり、甲種を取得すれば、就職・転職に有利な状況となるでしょう。しかし、危険物取扱者甲種の就職傾向や就職先はどのようになっているのか気になるはずです。

そこで本記事では、危険物取扱者甲種の就職を解説します。

  1. 危険物取扱者甲種の就職傾向は?
  2. 危険物取扱者甲種の就職先は?
  3. 危険物取扱者甲種の資格の取得方法
  4. 危険物取扱者甲種の勉強法は?
  5. 危険物取扱者甲種に関してよくある質問

この記事を読むことで、危険物取扱者甲種の就職傾向と資格の取得方法が分かります。取得を考えている方は、ぜひチェックしてください。

1.危険物取扱者甲種の就職傾向は?

資格を取得する前に、危険物取扱者甲種の就職傾向をチェックしておきましょう。

1-1.危険物取扱者甲種のできることや特徴は?

資格種類によって取り扱いができる危険物の種類が異なりますが、危険物取扱者甲種はすべての危険物の取り扱いと定期点検、保安の監督が可能です。

また、立ち会いをすれば、危険物取扱者免状を有していない一般の人でも、取り扱いと定期点検を行うことができます。危険取扱者の資格の中で、最上級の資格と言えるでしょう。

1-2.就職に有利な資格か?

ガソリンスタンド・医薬品製造・化学薬品製造・運送と運搬業・ビルメンテナンス・設備と施設管理など、危険物取扱者を求める職場は多岐にわたります。危険物取扱者は、危険物の取り扱いと管理ができる唯一の国家資格なので、就職に有利な資格なのです。

特に、甲種は責任者・管理職的な立場として迎えられることが多いでしょう。危険物取扱者としてキャリアアップできる資格の1つなのです。

1-3.最近の傾向と求人率をチェック!

前述したとおり、危険物取扱者を求める職場は幅広く、さまざまな現場が必要としています。現在でも、危険物の取り扱いが多い薬品メーカー・保管場所・化学工場などで多くの危険物取扱者が活躍中です。危険物を扱う職場では重宝されるため、求人傾向が上昇しています。「資格を取得しても就職先がなかった」という状態にはならないので安心してください。企業の中には、手当・昇給の基準としているところもあります。

けれども、ほかの危険物取扱者の全国求人数と比較すると、それほど多くはないのが現実です。ちなみに、甲種の全国求人数は平均60件前後ですが、乙種は1,400前後、丙種が150件前後となります。ただし、甲種はすべての危険物の取り扱いが可能なので、乙種・丙種それぞれの求人に対しても応募が可能です。

危険物取扱者甲種は、乙種よりも就職に有利なんですね。
はい。すべての危険物の取り扱いや保安監督が可能なので仕事の幅が広く、需要も高くなっています。

2.危険物取扱者甲種の就職先は?

それでは、危険物取扱者甲種の就職先は、具体的にどこになるのでしょうか。ここでは、主な仕事内容と資格取得のメリットについても解説します。

2-1.主な就職先は?

危険物取扱者甲種の主な就職先は、危険物を取り扱うすべての場所が当てはまる資格です。たとえば、ガソリンスタンドをはじめ、危険物を運ぶ運送会社・ビルメンテナンス会社・医薬品や化学製品メーカーなどのさまざまな業種にわたっています。乙種と丙種よりも就職先が増えるため、希望条件に当てはまる求人先が見つかりやすくなるでしょう。

2-2.主な仕事内容は?

危険物の取り扱いと保安点検が基本となる仕事内容です。取り扱いの仕事には、危険物の監督も含まれています。また、一定の数量を保管する場合は、定期的な点検が義務づけられているのです。これも、危険物取扱者だけができる仕事で、監督する立場として有資格者が在籍しなければなりません。さらに、ガソリンや軽油など危険物を移動輸送する際も、危険物取扱者が同乗することになります。甲種はこれらの仕事を含め、監督・管理者として現場をまとめる責任のある役職を任せられることになるでしょう。

2-3.資格取得と就職のメリットは?

資格を取得することで、就職・転職に有利な状況となります。危険物の特徴や保管方法などの知識を有している証(あかし)になるため、多くの職場で評価されるのです。乙種・丙種よりも甲種を取得しておけば、大企業への就職・転職も期待できるでしょう。取り扱いができる危険物が限られている人よりも、すべての種類の取り扱いが可能な甲種を採用する傾向があります。

また、資格手当がつくなど給与面で良い効果が生まれるのもメリットの1つです。大企業ほど福利厚生が厚く、給与面も安定する傾向があります。

就職先も多岐にわたるんですね。
はい。工場だけでなく、燃料などで危険物を多量に保管している施設でも需要があります。

3.危険物取扱者甲種の資格の取得方法

危険物取扱者甲種の資格を取得するためには、試験に合格しなければなりません。受験資格・試験概要・試験内容をチェックしておきましょう。

3-1.受験資格

甲種は受験資格が定められています。以下のいずれかに該当する方が、受験資格がある人です。

  • 大学等において化学に関する学科等を修めて卒業した者
  • 大学等において化学に関する授業科目を15単位以上修得した者
  • 乙種危険物取扱者免状を有する者
  • 修士・博士の学位を有する者

上記に当てはまる方は、証明書類を提出する必要があります。どのような書類が必要かは、試験の主催者である「一般財団法人 消防試験研究センター」をチェックしてください。

3-2.試験概要

甲種の試験日時と場所、受験料・申し込み方法を解説します。

3-2-1.日時、場所

北海道から沖縄まで、全国各所で甲種の試験が実施されています。試験は前期(4~9月)と後期(10~3月)に分かれ、試験場所によって開催日が異なるので注意してください。試験日程の一覧は、「一般財団法人 消防試験研究センター」で確認できます。

3-2-2.受験料、申し込み方法

甲種の受験料(非課税)は5,000円です。郵便局の窓口から支払うことになります。申し込み方法は、書類で申請する「書面申請」と、インターネットから申し込む「電子申請」の2通りです。書面申請の場合は、受験する試験の種類ごとに必要な書類をそろえ、各都道府県のセンターへ送ります。書面は郵送で申請するか、窓口で受け取る方法どちらかです。電子申請の場合は、「一般財団法人 消防試験研究センター」のホームページから申し込みます。

3-3.試験内容

甲種の試験内容と問題数は以下のとおりです。

  • 危険物に関する法令:15問
  • 物理学および化学:10問
  • 危険物の性質ならびにその火災予防および消火の方法:20問

すべて5肢択一で試験時間は150分となります。ほかの資格試験よりも問題数が多いため、試験時間も比較的長めです。

3-4.難易度・合格率は?

気になる甲種の難易度は、「やや易しい」程度となります。それほど難しくはありませんが、危険物取扱者の資格種類の中では範囲が広く暗記が困難な内容です。特に、化学と物理に関しては、難易度がグッと上がる傾向があります。公式を理解していないと解けない計算問題があるので、きちんと基礎知識を身につけておかなければなりません。また、合格率は約30%と、国家試験の中では高いほうです。

3-5.注意点

合格率が高く難易度がそこまで高くない試験だとしても、日ごろから勉強する習慣を身につけることが大切です。一夜漬けで勉強して合格できる試験ではありません。前述したとおり、公式の理解が必要な計算問題も出題されるため、自分に合った勉強法で知識を習得する必要があります。

資格取得方法は乙種と一緒なんですね。
はい。ただし、受験資格が必要になるので注意が必要です。

4.危険物取扱者甲種の勉強法は?

自分に合った勉強法とは、どのような方法となるのでしょうか。甲種の資格を取得するためにも、勉強法とポイントを押さえてください。

4-1.おすすめの勉強法は?

独学、スクール通学などさまざまな勉強法がありますが、おすすめは「通信講座」です。資格を取得する方は働いている方が多いため、仕事と勉強を両立しなければなりません。毎日働きながら勉強を続けるのは思った以上に大変なことです。しかし、「通信講座」なら空いた時間を利用して勉強に充てることができます。

4-2.テキストの選び方

自分にとって分かりやすい内容かどうかをチェックしてください。たとえ、友人からすすめられたテキストだとしても、自分が理解しにくい内容なら勉強の意欲も湧きません。

また、試験のポイントを押さえているかどうかも要チェックです。分かりやすい内容のテキストは、ほとんどが試験のポイントを押さえています。範囲が広い甲種だからこそ、必要な内容だけ押さえることが大切なのです。

4-3.過去問の入手方法は?

テキストで基礎知識を理解した後は、過去問を何度も解いてみましょう。過去問は本屋で手に入れられますが、「一般財団法人 消防試験研究センター」で無料ダウンロードが可能です。過去問から同じような問題が出題されることもあるため、ぜひチェックしてください。また、過去問を解くことで自分の苦手分野が分かるのも大きなメリットです。

4-4.講座、講習はあるのか?

スクールでは、定期的な講座・講習を行うところがあります。近場に、講座・講習を実施しているスクールや施設がないか、インターネット等で検索してみると良いでしょう。ただし、受講するにはお金がかかることがほとんどなので注意してくださいね。

独学のほか、通信教材の利用もおすすめなんですね。
はい。特に効率よく勉強したい人は通信教材の利用がおすすめです。

5.危険物取扱者甲種に関してよくある質問

危険物取扱者甲種に関してよくある質問を5つピックアップしてみました。

Q.甲種の特権は?
A.すごいと言える特権が付与されるわけではありませんが、乙種と丙種にはない独自の特権があります。それは、防災管理者の資格を有する者として認められることです。危険物保安監督者に選任された甲種危険物取扱者は、防火・防災管理講習を受講しなくても防火・防災管理者として認められます。ほかにも、陸上自衛隊・航空自衛隊の技術陸曹や空曹の任用資格が得られるのです。

Q.甲種の合格基準は?
A.試験科目ごとの成績が、それぞれ60%以上取得すれば合格と判断されます。つまり、いずれかの試験科目が合格率60%を下回れば不合格です。甲種は試験科目が3つあるため、それぞれ均等に60%の合格率になるよう幅広く勉強しなければなりません。

Q.独学で勉強する際の注意点は?
A.勉強スケジュールを具体的に立てなければ、合格できないので注意してください。独学はテキストを用意して勉強することになりますが、自分でスケジュール管理を行わなければなりません。仕事が忙しくなるほど勉強時間がなくなり、疎(おろそ)かになりがちです。効率的に勉強しなければ、合格ラインまで達することができないでしょう。独学が不安な方は、試験ポイントを押さえたテキストが利用できる通信講座がおすすめです。

Q.勉強のコツが知りたい
A.基本的に、危険物取扱者の勉強のコツは「暗記」です。各論点をきちんと理解し押さえておけば、合格ラインに届くでしょう。中でも、法令はボリュームがあるため、最初に手を付けてください。後まわしにすると、試験当日まで必要な内容を頭に入れられなくなります。半年かけて勉強を続ければ、暗記項目が多い甲種の試験内容が理解できるでしょう。

Q.取得後に受けなければならない講習はあるの?
A.危険物取扱者の資格を取得した者は、都道府県知事あるいは総務大臣が指定する講習機関が行う保安講習を3年に1回受けなければなりません。なぜなら、危険物の種類や取り扱いの知識が年々変化しているからです。実務に就いていない場合は受講の義務はありませんが、自らの意志で受講できます。

まとめ

危険物取扱者甲種は、すべての危険物の取り扱いと定期点検、保安の監督ができる国家資格の1つです。危険物取扱者の資格の中で最も優位な位置にあり、幅広い企業や工場から重宝される資格となります。危険物取扱者としてのスキルアップやキャリアアップを目指したい方は、甲種の資格を取得すると良いでしょう。

取得すれば、就職・転職に有利な状況になるだけでなく、資格手当として給与面におけるメリットも生まれます。確実に資格を取得するためにも、試験のポイントを押さえ、勉強を毎日続けることが大切です。

タイトルとURLをコピーしました