ビルに必要な防災設備とは?設置するだけでは不十分?

10年ほど前から東京や大阪などの都市部を中心に再開発が進み、新しい高層ビルが次々とオープンしています。
限られた土地を有効活用するには、ビルは大変効果的な建物です。
しかし、火災をはじめとする災害が発生すると大きな被害が出やすいでしょう。
そこで、今回はビルに必要な防災設備をご紹介します。
ビルに火災が起こるとどのような問題があるのでしょうか?
また、いざ災害が起きたときにどうすればよいのか、ということもご紹介します。
ビルのオーナーの方や建築物環境衛生管理技術者の方は、ぜひこの記事を読んで防災の参考にしてください。

目次

  1. ビルで災害に遭遇する怖さとは?
  2. ビルに必要な防災設備とは?
  3. 防災設備は備えるだけでは不十分?
  4. 防災設備をむだにしないためにしておくべきこととは?
  5. おわりに

1.ビルで災害に遭遇する怖さとは?

現在、「ビル」と名のついた建物の多くが5階以上の高さがあります。
東京や大阪などの都市部には、30階~40階建てのビルも珍しくないでしょう。
高速エレベーターやエスカレーターがあれば、高層階への移動も簡単です。
しかし、災害が起こるとビルにはさまざまな問題が発生するでしょう。
多くの方は、地震や火事が発生すると「ビルが崩れるのではないか?」という不安を感じると思います。
しかし、ビルは鉄筋コンクリート製のものがほとんどなので、よほどの大地震が来ない限り倒壊の危険性は低いです。
ビルが災害にあったとき、最も恐ろしいのは避難経路がなくなること。
火災でたくさんの犠牲者を出してしまったビルは、避難経路がふさがれてしまったケースがほとんどです。
特に、高層ビルで火災に遭遇した場合は、何十階もの高さを徒歩で下りなくてはなりません。
健康な方ならまだしも、高齢者や体が不自由の方は大変でしょう。
ですから、ビルは万が一火災が発生した場合、速やかに初期消火をする設備と利用者を安全に避難させるための設備、さらに火災を食い止める防火設備が必要です。

2.ビルに必要な防災設備とは?

ビルは、大きさによって消防法に基づき設置しなければならない防災設備があります。
そこで、この項では一般的なビルに設置する義務がある防災設備をカテゴリー別にご紹介しましょう。

2-1.警報設備

火災報知機をはじめとする、火災やガス漏れ、漏電などをいち早く察知して警報を鳴らす設備です。
誤作動があるというデメリットもありますが、人気のない場所で火事やガス漏れが起こった際は、警報機がなければ発見が遅れるでしょう。

2-2.初期消火設備

消火器やスプリンクラー、消火栓など、火災の拡大を防ぐ設備です。
スプリンクラーは自動消火設備、消火器は人が使う道具になります。
消火栓は、消防士が消火活動をするために必要な設備です。ただし、保管してあるものによっては水をかけてはいけないものもあります。そのようなものが保管されているフロアは、消火器の中身を水ではなく消火剤に変更する工夫が必要です。

避2-3.難設備

ビルには、避難階段をはじめとする避難設備の装備が義務づけられています。
避難階段が使えなくなったときのことを考えて、避難ばしごや避難袋も備えておくとより安全です。
ただし、高層ビルになると避難ばしごや避難袋が使えないところも少なくありません。
ですから、避難階段を複数用意したり防火設備を避難階段前に設置したりすることが求められます。

2-4.防火設備

防火扉やシャッターなど、類焼を防ぐ設備です。
ビルで火災が起こると、煙が上階へ登っていきます。
また、炎が燃え広がれば避難階段が使えなくなる可能性もあるでしょう。
ですから、防火扉やシャッターで、できるだけ類焼を防いで時間を稼ぐ必要があるのです。

3.防災設備は備えるだけでは不十分?

さて、ここまででビルに備えておかなくてはならない防災設備をご紹介しました。
現在、利用されているビルのほとんどに、このような防災設備が備えられています。
しかし、ビルで火災が発生すると、今でも犠牲者がたくさん出ることは珍しくありません。
防災設備が備えられているにもかかわらず、ビル火災などで犠牲者が出る理由はメンテナンス不足です。
防災設備は、災害が起こらない限り出番がありません。
今は、調理器具など火を使う道具の安全性も高くなり、火災がより起こりにくくなっています。
ですから、地震や利用者の不注意がない限り火災が発生することもありません。
そのため、防火扉の前にものが置かれてしまったり避難経路をふさぐようにテナントが入っていたりすることも珍しくないでしょう。
しかし、そのような状態を放置しておけば、火災をはじめとする災害が発生したときに防火設備が役に立ちません。
ですから、防災設備は備えておくだけでは不十分なのです。

4.防災設備をむだにしないためにしておくべきこととは?

では。せっかく備えてある防災設備をむだにしないためには、どうすればよいのでしょうか?
この項では、その一例をご紹介します。

4-1.定期的な点検

防災設備は、定期的に点検が必要です。
特に、非難扉や避難通路は荷物置き場になってしまうことが多いので、いざというときに備えてすぐに使えるようにしておきましょう。
また、スプリンクラーを誤作動防止に切ってしまうところもありますが、それではいざというときに役に立ちません。
誤作動する可能性があっても、必ずスイッチを入れっぱなしにしておくように指導しましょう。

4-2.定期的なメンテナンス

消火器などの初期消火設備は、時間がたつと劣化して使い物にならなくなります。
また、火災報知機についているセンサーなども劣化することがあるでしょう。
ですから、消防設備士などと協力して、定期的なメンテナンスが必要です。
特に、歴史あるビルほど消防設備が古いので、メンテナンスにも時間をかけてください。

4-2.定期的な避難訓練

ビルの規模が大きくなるほど、利用する人も増えるでしょう。
ですから、防災設備の場所が分からない人や使い方を知らない人も同じように増えていきます。
なので、定期的に避難訓練を行いましょう。
特に、商業施設が入ったビルの場合は、スタッフが利用客を誘導して避難しなければならないこともあります。
そのため、最低でもテナントの責任者は消火設備や避難設備の場所や使い方を知っておく必要があるのです。
難しいかもしれませんが、比較的忙しくない時期を選んで避難訓練を行いましょう。

5.おわりに

いかがでしたか?
今回はビルに備える必要がある防災設備についてご説明しました。
まとめると

  • ビルは火災などの災害が起こると、多くの犠牲者が出る可能性がある。
  • 消火設備だけでなく避難設備や防火設備も備えておく必要がある。
  • 定期的な点検やメンテナンスも必要である。
  • ビルの利用者で避難訓練をしておくとよい。

ということです。
かつて、日本で発生した大規模なビル火災は、ほぼすべて防災設備の不備で被害が拡大しました。
また、現在の法律では、防災設備の不備があるとビルのオーナーの責任が問われます。
レストランやカフェなど、火を使うテナントが入居していなくてもビル火災は発生する可能性があるのです。
ですから、「このくらいなくても大丈夫だろう」という油断は禁物。
念には念を入れて、募債設備のメンテナンスをしておきましょう。
また、規模の小さい雑居ビルは、管理者も常駐していないため防災設備がうまく機能していないところもあります。
そのような場所は、オーナーが与力を配る必要があるでしょう。