硝酸エステル類の種類や特徴とは?有名なあの物質も仲間です。

硝酸エステル類とは、部分構造 R-ONO2 を有する化合物のことです。
危険物取扱者、乙種第5類、および甲種を受ける方は、覚える必要があります。
そこで、今回は硝酸エステル類の特徴や種類をご紹介しましょう。
硝酸エステル類の中には自然に分解して発火するものも多いので、取り扱いには十分な注意が必要です。
また、消火方法や保管方法のポイントなども一緒にご紹介しましょう。
危険物取扱者の資格取得を目指す方や職場で硝酸エステル類を扱っている方は、ぜひこの記事を読んでみてください。

  1. 硝酸エステル類とは?
  2. 硝酸エステル類の種類と特徴とは?
  3. 硝酸エステル類は消火困難?
  4. おわりに

1.硝酸エステル類とは?

硝酸エステル類とは、硝酸の水素原子をアルキル酸に置き換えた化合物の総称です。
ですから、水素原子のHが-Rになっています。
硝酸エステル類は、まとめて危険物第5類に分類されているのです。
危険物第5類とは、「自己反応性物質」のこと。
これに分類される物質は分子内に酸素を含んでいるため、自然分解による自己燃焼をしやすいという特徴があります。
ですから、周りに火の気がなくても発火することもあるのです。危
険物第5類が原因の火災や爆発事故は現在でも起こっているため、保管は注意しなくてはなりません。
また、硝酸エステル類の中で最も有名なのは、ダイナマイトの原料でもある「ニトログリセリン」です。
しかし、ニトログリセリンは火薬の原料でもあるニトロ化合物とは別物になります。
ですから、覚え間違いに注意してください。

2.硝酸エステル類の種類と特徴とは?

では、硝酸エステル類にはどのようなものがあるのでしょうか?
この項では、危険物取扱者の資格試験に出題されやすいものを特徴とともにご紹介していきます。
試験勉強の参考にしてください。

2-1.硝酸メチル

硝酸メチルは、メタノールと硝酸を縮合させることで作られる化合物です。
爆薬の原料として使われるほか、圧縮空気の代わりに物質同士を機械的に撹拌(かくはん)するときに使われます。
硝酸メチルは毒性があり、吸いこむと頭痛などを引き起こすのです。
通常は、無色透明の液体で、水にはほとんど溶けません。
その代り、アルコールや特殊引火物でもあるジエチルエーテルにはよく溶けます。
また、なめると甘いです。さらに、引火点が15度と大変低く、自己分解の際に出る一酸化窒素が触媒となり自然発火します。
ですから、直射日光をさけ、容器に密封し通気性のよいところで保管しましょう。
また、摩擦(まさつ)や衝撃を与えても自然分解が始まるため、運搬にも十分な注意が必要です。

2-2.硝酸エチル

硝酸エチルは、光化学スモッグの原因物質としても広く知られています。
化石燃料の燃焼によって発生するため、工場や発電所などからも発生するのです。
特徴は硝酸メチルとほとんど同じですが、作成方法が違います。
硝酸エチルはマイナス10度の泡状のフッ化ニトロレイルにエタノールを通すことによってできるのです。
化石燃料の燃焼によって発生した硝酸エチルは自然発火する危険はありませんが、無色透明な液体の硝酸エチルは自然発火します。
ですから、硝酸メチル同様摩擦(まさつ)や衝撃にも注意してください。

2-3.ニトログリセリン

ニトログリセリンは、ダイナマイトの原料として広く知られています。
しかし、最近では「狭心症の薬」としても有名です。
ちなみに、薬のニトログリセリンは爆発することはありませみん。
ですから、品質が劣化しない場所に保管しておけば大丈夫です。
一方、ダイナマイトの原料として使われるニトログリセリンは、無色の油状になっています。
また、有毒で水には溶けませんが有機溶剤にはよく溶けるのです。
さらに、8度で凍結しますが、液体のときよりも爆発力が大きくなるという特徴があります。
そして、水酸化ナトリウムのアルコール溶液で分解すると「非爆発性」になりますので、覚えておきましょう。
ダイナマイトの原料として使われるニトログリセリンは、わずかな衝撃や摩擦(まさつ)で爆発する危険性の高いものです。
ですから、日本では液体のニトログリセリンがそのまま出荷されることはまずありません。
必ずダイナマイトなどに加工して出荷されます。
しかし、ダイナマイトの状態であっても、凍結と解凍をくりかえすとニトログリセリンがしみ出してきて危険です。
そのため、ダイナマイトを保管するときは、温度管理に気をつけましょう。

2-4.ニトロセルロース

ニトロセルロースとは、「セルロース」を硝酸と硫酸の混合液にひたして作ります。
窒素含有度が高いほど自然発火しやすいという特徴があるため、含有度(硝化度)によって名称が変わるのです。
窒素量が13%以上のものを「強綿薬」、12%未満のものを「弱綿薬」、12%~13%のものをピロ綿薬といいます。
水に溶けず直射日光や衝撃、摩擦(まさつ)により発火することもあるのです。
ちなみに、このニトロセルロースに樟脳(しょうのう)を混ぜると、おもちゃなどに使われるセルロイドになります。

3.硝酸エステル類は消火困難?

危険物取扱者の受験勉強をしていると、必ず危険物の「消火方法」を学びます。
消防法によって危険物と定められている物質は、不用意に保管しておくと爆発や発火の危険があるものです。
ですから、万が一に備えて消火方法を覚えておく必要があります。
しかし、硝酸エステル類は、「消火困難」と記されているのです。
これは、一度火がついてしまうと消し止めるのが非常に難しい、ということ。
ダイナマイトを例にとってご説明しましょう。
ニトログリセリンを主原料とするダイナマイトは、発火すると大爆発を起こします。
そのため、消火しようとするとかえって危険なのです。
硝酸エステル類の中で冷却消火ができるのは、ニトロセルロースのみ。
それでも、硝化度が高いものは発火すると激しく燃えるので、素人が初期消火をするのは難しいのです。
現在、硝酸エステル類を扱っている工場は、それほど多くはありません。
だからこそ、保管には十分に気をつけてください。
また、前述したように、ダイナマイトのように通常の状態では発火しにくいように加工されたものでも、条件によっては自然発火する場合もあります。
ですから、「加工してあるから安心だ」と油断しないことです。
衝撃や摩擦(まさつ)をさけるだけでなく、温度などにも気を配りましょう。

4.おわりに

いかがでしたか?今回は硝酸エステル類の特徴や種類などについて、ご紹介しました。
危険物第5類は、引火物質がなくても発火する危険があります。
ですから、ケースによってはガソリンや灯油などよりも、危険です。
保管する際は必ずルールを守りましょう。
また、危険物第5類を輸送するときにも、注意が必要です。
どんな手段で運んでも、衝撃や摩擦(まさつ)はさけられません。
ですから、衝撃緩衝材を使ったり爆発しないように加工したりして運ぶ必要があるのです。
また、医薬品のニトログリセリンは国によっては爆薬の原料になるということで、持ちこみや持ち出しが制限されています。
そのため、心臓に持病がある方でニトログリセリンを処方されている方は、海外旅行の際には気をつけましょう。
ニトログリセリンを持っていることが分かると、複雑な書類の記入が必要になったり飛行機に乗れなかったりする可能性もあるのです。
旅行前に必ず行き先の国のルールを確認してください。